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がん征圧月間に思う

2012-09-23 19:52:42 | 徒然
今月は「防災月間」。
そして「がん征圧月間」だと言うコトをご存じの方が、どれくらいいらっしゃるだろう。
実は、私も自分が罹患するまで知らなかった。
それほど「がん」という病気は、遠い存在だった。
いざ「がん」になると、自分がどれほど「がん」という病気についての知識が無かったのか、と言うコトを感じ・知った。

そんなコトを思いながら先日、あるニュースに目がとまった。
「フクシマ事故」で避難を余儀なくされた子どもたちへの、健康診断の様子のニュースだった。
このニュースを見て、多くの人は「可哀相・・・」と思われたと思う。
おそらく私も、罹患していなかったら単純に「可哀相・・・」と思ったと思う。
それは「フクシマ事故さえ無ければ、この様な検診を受けなくても済むのに」というコトと、「がんと言う病気に一生怯えなくてはならない」というコトだと思う。

しかし、「がん」と言う病気を知る様になると、その「可哀相・・・」の意味が違うモノになった。
それは「避難地域の出身である」という社会的差別への心配だ。
昨年の夏「福島出身」と言うだけで、全国各地で謂われのない差別を受けた方々がたくさんいらっしゃった。
今年は、そんなコトを聞かないが定期的に「甲状腺がん」の検査を一生受ける、と言うコトで、彼らが大人になったとき「がんが遺伝するのでは」という理由で、社会的差別が起きるのでは?と言う心配だ。

言い換えれば、「がん」に対する社会の無理解さ、と言う点だ。
「がん対策基本法」が施行されて5年余り。
その内容について、ほとんどの方は知らないと思う。
それだけでは無く、今でも日本人にとって「がん=死の病」というイメージが強くありすぎる。
現実を見れば、日本人の死因第一位は「悪性新生物=がん」で、ここ30年変わっていない。
男性の2人に1人、女性の3人に1人が癌に罹患している。
「フクシマ事故」以前から、既に日本は「がん大国」なのだ。
むしろ日本のがん治療は世界でもトップレベルにあり、問題なのは患者側の治療に対する意識だ、という指摘が医療関係者の間では言われている。

何故患者となった時、治療に対する意識に問題が起きるのか?というと、「がん」に対する知識不足、と言う点が上げられる。
実は今の医療現場は、患者本人に治療の決定を迫る場面が多分にある。
それが顕著なのが「がん」と言う病気でもある。
ところが「先生にお任せします」と、担当主治医に丸投げするケースが少なからずある、と言われている。
結果、患者本人だけでは無く患者家族の納得ができる治療が受けられない、と言う悲劇が起きてしまう、とも言われている。

だからこそ、患者になる前に「がん」と言う病気を知る必要があるのだが、子どもの頃からその様な機会が無いコト。
社会に出ると、逆に「がん=治療のために退職せざる得ない」という社会通念の様なモノが、企業も働く側も持っている様に思う。
実は、早期の状態で治療ができれば、多くのがんは完治が期待できるトコロまできている。
ところが「がん=死の病=仕事を失う恐怖」という構図ができあがっている為に、治療開始が遅れるケースのほうが遙かに多い。
その様な患者さんを知る度に、「企業におけるがん教育」の重要性を感じる。

助かる優秀な人材を「がん」と言う病気で失わせない為にも、企業は「がん教育」に力を入れて欲しい・・・そんなコトを考えた「がん征圧月間」だ。