日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

基礎研究の基金を、産業界全体で

2012-10-10 19:51:09 | アラカルト
京都大学の山中教授の研究「iPS細胞」がノーベル賞・生理学・医学賞を受賞したコトで、この分野の研究費の国の支援が決まりそうだ。
そのコトは、とても良いコトだと思う。
なぜなら、「iPS細胞」の研究はこれから益々盛んになっていくだろうし、何より「未来への投資」となるからだ。
今まで山中教授は、研究資金を得るため自ら資金集めに奔走されていらっしゃった、という苦労話を聞けば、なおのこと良かった!と思う。

ところで、日本の場合この様な基礎研究に対して、産業界全体が支援するというシステムが無い様な気がしている。
基礎研究をないがしろにしているとは思わないのだが、もっと産業界と大学が近くなっても良いのでは?と、思うのだ。
日本の企業の場合、「大学の卒業証書は重要だが、その内容については問わない」という傾向がコレまで強かった様に思う。
特に理工系の分野では、学生時代に研究したコトとは全く関係の無い仕事に就くことも、当たり前の様にある。
もちろん、企業側としては「様々な経験を積ませる」という目的が有るとは思う。
思うのだが、その様な考えがあったのは20年くらい前の話で、今はとてもその様な余裕すらないのでは?
また、「大学院を卒業したけど就職先が無い」と言う就職浪人が多いのも、日本の特徴だと言われている。
せっかく大学院でより専門的なコトを学んできているはずなのに、それが活かされるコトも無く終わる、と言うのは社会的資産という視点で考えると、勿体ない様な気がするのだ。

と言うのも、このところ拙ブログで頻繁に登場する名古屋大学の赤教授の「青色LED」の発明に、国の研究機関とは別に民間企業も参加していたからだ。
現在赤教授の「青色LED」関連の特許によってもたらされる収益は、国立大学が保有している特許収入の96%をしめ、その収入の半分が名古屋大学に入り、残りの半分を国の研究機関と民間企業が分け合う様な形となっている。
「青色LED」の市場は拡大し続けているコトを考えると、それらの収入を元に新たな基礎研究への投資をするコトも可能だろうし、企業内でするコトが難しい研究を大学などの研究機関と共同で行えば、企業の活性化にも繋がるのではないだろうか?
その足がかりとして、産業界全体で基金を作り、それぞれの提供したい研究を選び支援することで、企業にも「特許」という資産を得やすくなるのではないだろうか?

今回のノーベル賞の自然科学の部門の受賞者の研究を見ていると、本当に「基礎研究の重要性」というコトを改めて感じる。
そして「基礎研究」がもたらす社会的大きな利益などを考えたとき、国だけでは無く産業界全体での支援が、とても重要な気がするのだった。