日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

Howではなく、Whatが大切 

2012-10-06 20:12:48 | アラカルト
今日、名古屋大学が定期的に開催をしている、「高等研究院・公開講座」へ出かけてきた。
今年から、時々名古屋大学が開催をするこの様な市民公開講座へ出かける様にしている。
その理由は、複眼的な視点を持つため。
その様に言えば、何となく格好良さそうに聞こえるかも知れないが、本当のトコロは好奇心と言ったトコロだ。

そして今日の公開講座は、特別講演会だった。
内容は「青色LEDについて」。
「青色LED」と言えば、現在米国サンタバーバラ大学で教鞭を執っている中村修二先生を思い浮かべられる方も多いと思う。
私もそのひとりだったのだが、実は「青色LEDの基礎研究」をされ、世界で初めて「青色LED」を発明されたのが、名古屋大学特別教授・名城大学修身教授の赤勇先生。
その赤先生の、公開講座だったのだ。

といっても、筋金入りの文系の私としては、「青色LED」の出現によって、「光の三原色」をLEDで作り出すコトができる様になった、と言う程度のコトは知ってはいたのだが、赤先生のお話の半分も理解ができない。
もちろん、日本語としての理解はできるのだが、物理学とか化学的理解と言う点では、遙かに遠い。
トホホな自分は、場違いなモノを感じつつ講演を聴くことになってしまった。

実はこの「青色LED」の特許によって、名古屋大学の一角には赤先生の名前の付いた研究施設が有る。
この「青色LED」が無ければ、おそらく「iPad」や「iPhone」に象徴されるスマートフォンはもちろん、ガラケーと呼ばれる携帯電話も、ノートパソコンも、薄型液晶テレビ、デジカメも無かっただろう、と言われている程の研究成果だからこそ、特許取得後数年で立派な研究施設ができたのだろう。
言い換えれば、この「青色LED」の発明が与えた、社会的意味の大きさを現していると思う。

そして「省エネ」という点でも、「LED」が注目されているのは、ご存じの通り。
「LED照明」が使える様になった、と言うのも「光の三原色」が揃って初めて、実用化できた、と言うコトにも話は触れられるのだが、私が気になったのは、「LED」とそれまでの「白熱電球」や「蛍光灯」とは、全く違う異質の光であると言う点。
「半導体エネルギーとしてのLED」と言うお話もあったのだが、当然のコトながら私は理解できず・・・トホホ。

そんな理解を超える話ばかりだったのだが、最後に赤先生がおっしゃられた言葉が、とても印象的だった。
それは・・・
・それまで、常識だと思われているコトを疑ってみる
・Howでは無くWhatが大切。Howを求めても、新しい発想は生まれない

と言うコト。
これらのコトは、何も基礎理化学に限ったコトでは無いと思う。
昨今のビジネスの場面では「効率化」という名の下に「How」ばかりを求める傾向が有る様に感じている。
むしろ、今の閉塞感を打ち破るのは「How」では無く、「What」であり常識を疑うコトなのではないだろうか?

そして、日本がこれから先のグローバル化した経済の中で強みとなるのは、やはり「基礎研究」という地味ではあるが、根幹の部分のような気がした。

追記:赤先生が発明した「青色LED」による特許は、国立大学が「特許料」として得ている利益の何と!96%に当たるそうだ。
国立大特許料:96%が赤崎名大名誉教授の青色LED 『毎日新聞』2004年8月1日付
国立大学が「独立行政法人」となり、大学と言えどもそれなりの収益が求められる様になってきた。記事が書かれた2004年の頃には、まだまだ「薄型液晶テレビ」は普及しておらず、スマートフォンは存在していなかったと思う。とすれば、現在ではもっと多くの特許料が名古屋大学にもたらされている、と言うコトになる。
やはり、基礎研究というか技術の幹となる研究による特許(=知的財産)が、重要だと言うコトだろう。