日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「医療向け美容」と言う市場はできるか?

2012-10-15 16:48:18 | マーケティング
昨日、名古屋で開かれた「ピンクリボンフェスティバル シンポジウムin名古屋」に出席した。
イベントとしての「ピンクリボン」には、やや疑問を感じるトコロはあるのだが、シンポジウムなどで、臨床の現場で活躍をされている医療関係者からお話を伺う、と言うのは患者にとっても有意義なコト。
そのため、私も乳がん患者のひとりとして積極的に参加をしている。

そのシンポジウムの中で、出席をされていた乳腺外科の先生から、こんなお話があった。
「抗がん剤などの化学療法を受けている患者さんは、爪が黒ずんだり割れやすくなったりする」というお話だ。
私は幸いなコトに、外科的治療(=手術)以外の治療を必要としないほどの早期だった。
そのため、「ホルモン療法」も「抗がん剤治療」も受けていない。
もちろん「ホルモン療法」や「抗がん剤治療」などの知識はあるのだが、治療を受けていない分、その辛さ・苦しさなどは判らない。
そのため、「抗がん剤治療中の患者さんの爪の状態」など、知るよしも無かった。

丁度同席をしていた「乳がん看護認定看護師」の方が、「マニキュアをして、爪を保護して下さい」というコトをお話をされた時、思ったコトが「医療美容」というコトだった。
その様な言葉が有るのか知らないが、美容整形など「美しくなるための医療」ではなく、「医療を受けるための美容」という視点での「美容」となると、日本は二の次三の次となっているような気がしたのだった。

例えば「抗がん剤」による副作用で脱毛をした時、一般的には「医療用かつら」をイメージすると思う。
しかし「医療用かつら」を利用する期間は、僅か半年~10ヶ月程度。
その短い期間の為に「かつら」を躊躇する人も、少なく無いのでは?
それだけはなく、副作用による脱毛というのは、頭皮だけではない。
眉毛やまつげ、体毛総てが抜け落ちる。
コレは、女性でも男性でも同じだ。
「眉毛のない顔」というのは、相当「怖い印象」となってしまうのは、想像できると思う。
また「癌」に限らず、何らかの手術をした痕がケロイド状になっても、我慢をしているという方もいらっしゃるのでは?

何故、この様なコトが余り問題とならなかったのか?と言えば、「病気なんだから」というコトで、治療を優先する余り心のケアを医療者側も、患者側も重視してこなかった、と言うコトが大きいと思う。
しかし「抗がん剤」などの進化により、治療をしがら仕事をすることが十分可能となりつつある。
医療の現場でも、盛んに「患者のQOL」というコトを言い始めているが、実態として伴っていない、と言う面がクローズアップされてきている。

「爪の変色やもろくなる」というだけでは無く「脱毛による容姿の変化」や「顔色の悪さ」、「術後のスキンケア」など医療的面からみた「美容」というコトもこれからは必要となっていくのでは?と、感じたのだった。