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アメリカのイラン司令官殺害と報復、一体誰にメリットがあるのだろう?

2020-01-03 21:32:38 | 徒然

アメリカが「イランの司令官を殺害した」、と発表した。
そして当然のことながら、イランは「報復」を宣言している。
朝日新聞:「疑いなく反撃する」イラン司令官殺害、米に報復予告

まずアメリカが「イランの司令官殺害」というニュースを聞いたとき、何故今なのか?という気がした。
そして当然のごとく「報復」という言葉が、思い浮かんだ。
もう一つ思い浮かんだことは、「トランプ氏の弾劾裁判の引き延ばし。あるいはウヤムヤにする」ということだった。

トランプ氏に対する弾劾裁判が、下院で決まったのが昨年の暮れだった。
上院での決定がされていない状態なので、果たして「弾劾裁判」が現実に行われるのかは疑問だが、少なくとも「弾劾裁判」の決定は、トランプ陣営にとって大打撃になった、事は事実だと思う。
この決定で「再選は難しい」という状況に追い込まれたと考えた方も、多かったのではないだろうか?
それから年明けいきなり、トランプ氏の指示によって「イランの司令官殺害」が起きた。

これまでトランプ氏は、自分の都合が悪くなると必ずと言ってよいほど、「自分のスキャンダルから目を背けさせる」ようなアクションを取ってきているような印象がある。
だからこそ今回の「イラン司令官殺害指示」も、同じような考えがあったのでは?と、感じてしまうのだ。

しかし今回の「イラン司令官殺害」は、これまでのような「自分のスキャンダルから目を背けさせる」ような、軽々しい問題ではない。
何故なら、イラン側は「報復をする」と予告しているからだ。
この予告によって、トランプ氏は「イラン=テロ国家」として、軍事派遣をする理由ができる。
それが、中東和平の道を遠ざけるだけではなく、場合によっては再び「9.11テロ」のような事件を、引き起こす可能性もあるのだ。
もちろん、原油価格などにも大きな影響を及ぼすだろうし、その結果として日本経済にも大きな影響が出てくる、ということは暗に想像ができる。

トランプ氏としては、この「イラン司令官殺害」はメリットがあることだったかもしれない。
米国の主要産業である「軍事産業」もプラス材料となるだろう。
米国の「軍事産業」は、日本における自動車産業以上に裾野の広い産業とも言われていることを考えると、「軍事産業」に対するプラス材料は、米国の雇用などにもメリットがある、という考え方もできる。

だが、米国から遠く離れた中東では、無関係な人たちの多くが命の危険にさらされ、亡くなり「憎しみの連鎖」が再び起こり、そして戦火を逃れ、行き場を無くした難民を多くつくりだすことになる。
そして、報復合戦によって失われる「経済的損失」も、米国の軍事産業の儲け以上だろう。
グローバルな視点で見れば、トランプ氏の考えるメリットよりもデメリットの方が、遥かに多いのだ。