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ネットフリックスは、次の映像文化の担い手となるのか?

2020-01-20 20:22:00 | ビジネス

Yahoo!のトピックスにも取り上げられていた「ネットフリックスのジブリ作品の世界配信」というニュース。
ブルームバーグ:ネットフリックス、ジブリ作品を世界配信へー日米とカナダを除く

このニュースを見て、ネットフリックスがこれからの映像文化を担うようになるのか?という、気がしたのは私だけではないと思う。
昨年のアカデミー賞でも、ネットフリックスの作品が候補となったことを記憶されている方も多いのでは?
今年は、ネットフリックス作品が米アカデミー賞の候補として昨年以上に上がっているという。
日経新聞:米アカデミー賞、Netflix作品が最多ノミネート

このような状況になってくると、ネットフリックスそのものが映画の製作会社であり配給会社である、ということになる。
ネットフリックスはオリジナルドラマなどを制作し、ネットで配信するという方法で、有料ユーザーを獲得してきという実績があるからだ。
それがテレビから映画へと移っただけのように思えるからだ。
とはいうものの、映画製作には莫大な費用が掛かる(はずだ)。
これまでのようなテレビドラマのような製作費以上の費用が、映画製作にはかかっているだろう。

そう考えると、ネットフリックスがジブリ作品を日本と米国およびカナダ以外の国での世界配信を決めた、というのは欧州でのネットフリックス有料ユーザーを獲得する為の足掛かりだとも考えられる。
ご存じの方も多いと思うのだが、ジブリ作品は欧州特にフランスなどで、とても評価が高く人気もあると言われているからだ。
元々、映画ファンが多いと言われる欧州であっても、ジブリファンの多くが映画館になかなか足を運べない(であろう)子どもたちである、ということを考えると、ネットフリックスを通じて好きな時に好きなだけ鑑賞できる、というのは、大きな魅力だろう。
もしかしたら、このようなネットフリックスの動きを見て、ディズニーなども欧州でのネット配信に本格的に参入するかもしれない。

これまで映像文化の中心となっていたのは、映画の制作会社ではなく世界に配給することができる配給会社だった。
それに代わろうとしているのが、ネットフリックスなのかもしれない。


「データ」の奪い合いが、国レベルで始まった

2020-01-20 14:46:40 | ビジネス

今朝の新聞各社の一面に掲載されたのは、「三菱電機へのサイバー攻撃」だった(のでは?)
一企業へのサイバー攻撃ではあるが、この事件そのものが意味するところは、一企業の問題ではないということを示していると思う。

3,4年ほど前だったと思うのだが、ITに詳しい方が「これからの『戦争はボタン一つで、相手の国のインフラを破壊する』ことになると思う」という趣旨の話をされていた。
敵対する国の建物などを、ミサイルや爆撃機を使って目に見える破壊をするのではなく、敵対する国の生活者が必要としているインフラをボタン一つで破壊する、それが近未来の戦争だ、という話だった。

今年トランプ氏のイランの指導者殺害指示、というのはある意味「古い戦争の仕掛け方」のようなことになるし、敵味方という構図が分かりやすい戦争の仕掛け方だともいえる。
もちろん戦争を仕掛けているようなものなので、その判断と行動は批難されるべきものではあるが、今回の三菱電機へのサイバー攻撃は、それよりも攻撃された時、誰が攻撃をしたのか?という点が分かりにくく、実質的な被害範囲も分かりにくいという点で、(表現として適切ではないかもしれないが)新しい「戦争」という気がしている。

もちろん、現在では攻撃した相手もほぼ特定されつつあるようだが、その証拠となるモノとなるとどれほど確証が採れるのか疑問な点が多いような気がしている。
言葉が悪いのだが、攻撃をした側は「知らぬ存ぜぬ」とシラを切り通すことも可能なのでは?という、気すらしている。
それほど、国家間でのサイバー攻撃は、被害を受けた側の損失が甚大なのに対して、攻撃を仕掛けた側は「何食わぬ顔」でいられるということになるのでは?という、気がするのだ。
しかも、防御を高めても網の目をくぐるように仕掛ける「イタチごっこ」のような状態、というのが今のサイバー攻撃だろう。

とすると、これから先仕掛けてくる相手が欲しいデータとは何か?ということを企業も国も十分理解し、サイバー攻撃にあわないような体制づくりが必要となる。
例えば年明け話題になった「銀行などの口座とマイナンバーとの連携」だ。
生活者側としては、マイナンバーそのものの信頼度が高くない(ように思っている)と思っているが、国としてはマイナンバー普及を目的として銀行口座や健康保険証と連携させる、という案が出ている。
国側は「マイナンバー普及」という目的があるため、様々な方法での連携を模索するとは思うのだが、今回のようなサイバー攻撃が国に対して行われるリスクを考えると、本当に「普及」を目的に銀行口座や健康保険証との連携は大丈夫だろうか?という、疑問を生活者が持つのは当然だろう。

そのリスク回避のためには、どのように考えシステムを構築しているのか、という回答が政府からされない限りは、とてもではないが「マイナンバー」登録をしようとする生活者は、皆無に等しいのでは?
何故なら、自分の知らない所で「自分の健康情報や、銀行の預貯金額、利用状況」などが、まったく関係のない国に渡り、場合によっては悪用される可能性があるからだ。

日本の場合、このようなセキュリティーにたいして危機感が薄いというか低い、という指摘は以前から再三されてきた。
担当大臣が「PCが使えない」と言ってしまったりしたこともあった。
今回の三菱電機へのサイバー攻撃は、「個人データが人質になる」可能性がある、ということを示していると思うし、そのための防御策を至急作らなければ、近未来型の「戦争」を回避することができない、という危機感を持つ必要がある、ということだと思うのだ。