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女性マーケターから見た日々の出来事

データが示す、日本経済の現実

2020-01-14 22:31:29 | ビジネス

今朝FMを聴いてたら、やや衝撃的な話題があった。
それは、1月8日に厚労省が発表した2019年11月の勤労統計調査によると、日本の労働者の賃金が減っている、という話題だった。

「アベノミクスで日本経済が上向き」と、安倍さんは胸を張るが実際には実質賃金は下がり続け、生活者の多くは好景気の実感は全くない!というのが現状だろうし、それが国の統計データとして分かってしまった、ということなのだ。
厚労省:毎月勤労統計調査 令和元年11月
このデータの中で注目していただきたいのは、「実質賃金指数」だ。
実質賃金そのものが、どんどん減り続けているのだ。

他にも、「時間当たりの賃金」データを見ると、日本の賃金の安さが際立っているだけではなく、賃金そのものが下がり続けているということが良く分かる。
東京新聞:<働き方改革の死角>日本、続く賃金低迷97年比 先進国で唯一減

時間当たりの賃金が下がり続けていれば、当然のことながら「景気実感」などは無いだろう。
にもかかわらず、安倍さんが「アベノミクスで日本経済が上向き」と言ってしまうのは、企業の収益が上がっているように見えるからだろう。
確かに、ここ数年企業の「内部留保」が増え続けている、というニュースはいろいろなところで聞いた。
「内部留保」が増えれば、企業にとって「万が一の時」の心配は減る。
リーマンショックのようなことが起きても、企業存続の為には必要!という考えなのだと思う。
しかし、21年間で「-8.2%」という数字は、余りにも大きな数字だと思うのだ。
しかも「先進諸国の中で、唯一減」ということは、日本の経済そのものが「縮小」し、企業がいくら「内部留保」を増やしても、経済全体から言えばプラスになってはいない、ということになる。

FM番組でも指摘していたのは「アベノミクス」で誰に、メリットがあったのか?という点だ。メリットを享受できたのは「GAFA(Google・Apple、Facebook、Amazon)」という、2000年代に入ってから急激に成長することができた一部のIT企業である、という点だ。
それが、日経新聞に掲載されていた「黒字でもリストラを進める企業が増えている」という問題にも、繋がってくるのではないだろうか。
日経新聞:「黒字リストラ」拡大、19年100人 デジタル化に先手

この「デジタル化に先手」と言えば聞こえは良いが、これまでの「年功序列型」の賃金形態の見直しをし、若い人たちの活躍を期待しているのか?と言えば、そのような印象もあまり感じられない。
言い換えれば「企業の肥大化」が、かつてのような「好景気」に結びつくのではなく、むしろ生活者が使えるお金をどんどん減らしている、ということになっているのだ。

結果として「GDP」にも影響を及ぼしている、というデータがyoutubeに動画としてあった。
youtube: Top 10 Country GDP Ranking History(1960-2017)

目まぐるしく変わるランキングだが、直近10年ほどで日本の「生産性」が急激に落ち込んできている、ということがわかる。
かつてのように「GDP世界2位」などは幻想となってしまい、「アジア経済を牽引する日本」でもなければ、「アジアの中の一つの国・日本」である、ということを冷静に受け止める必要があると思う。
以前のような「GDP世界2位」をもう一度目指すことは無理でも、「アジア経済における日本の立ち位置」を真剣に考える時期に来ている、ということだろう。