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女性マーケターから見た日々の出来事

年齢や性別で、ファッションを制限するのはなぜ?

2020-01-16 19:37:00 | ライフスタイル

朝日新聞のWEBサイトを見ていたら、「何故?」と思う記事があった。
朝日新聞:ロリータ服着る私、気軽に否定される「普通」との闘い

インタビューに応えている女性は、看護師として仕事をしながら「ロリータファッション」のモデルをされている、という方だ。
普段から、ロリータ風のファッションをされているようだが、この記事のタイトルにある「否定」と「普通との闘い」という言葉に、引っ掛かりを感じる。

ワークマンなどで販売されている「実用着」であれば、年齢・性別などは関係が無い。
何故なら、服そのものが実用性が高く、機能性や安全性などを優先に考えられているからだ。
昨今のように、工事現場などでも女性が活躍し始めると、性差による「服の違い」は意味をなさなくなってくる。
その意味で「実用着」には、性差よりも優先されるモノがある、ということになるだろう。

その一方で、セレモニーなどで着る服には、TPOや「ドレスコード」と呼ばれる「決まり事」があり、「男性であれば○○、女性であれば××」という制約がある。
例えドレスコードがあっていたとしても、その場の雰囲気や周囲の人たちと大きく違う服装をした場合、「常識が無い人」と、言われてしまう。
今年の「大嘗祭」での安倍昭恵夫人の服などは、その一例だろう。
ドレスコード云々ではなく、その場にふさわしい服装が、求められるということだ。

と考えた時、このロリータファッションの女性はどうなのだろう?ということになる。
普段からロリータファッションの服装をしているが、看護師として仕事をしている時には看護師の服装をしている。
おそらくセレモニーなどの特別な場で、ロリータファッションで出かけるということはあまり考えられないのでは?という気がしている。
何故なら、彼女は「普段からロリータファッション」をしているからだ。

では、彼女がロリータファッションをすることで、何か問題があるのか?と言えば、問題となるモノ・コトは無いはずだ。
ここで考えなくてはいけないのは「普通の服装って、どんな服装?」という点だ。
女性であれば、どんな時でもスカートを着用する、という考え方が随分前にはあった。
しかし、仕事をする女性が増えていく中で、動きやすい服装が自然と求められ、今ではパンツスーツで仕事をする女性も少なくない。
「普通」という基準は、時代と共に変化していく、とてもあやふやなモノなのだ。

とすれば、彼女に「普通じゃない」という言葉を投げかけられるのは、「ロリータファッション=10代の女の子のファッション」という、思い込みがあるからなのでは?
周囲が不快に思うのは「いい大人が、子どものような服装をして、恥ずかしくないのか?」という、ある種の価値観の押し付けがあるからではないだろうか?
あくまでも個人的な意見だが「30代でもロリータファッションが似合っていて、そのファッションを楽しんでいるのなら問題はない」と思っている。
実際、写真で見る彼女はロリータファッションがとても似合っている、ように思える。

何より、これから先のファッションはどんどん性差が無くなっていくような気がしている。
「男性がスカートをはくようになるのか?」というのではなく、自己表現の一つとして「○○でなくてはならない」という思い込みの枠が、外れていくのでは?ということなのだ。
女性がメンズ物を着たりするのは、既に当たり前になっている。
逆に女性用のスカーフなどを、お洒落に使いこなしている男性を見かけることも多くなってきた。

柔軟なファッションの思考が、日本の社会の閉塞感に少しだけでも風穴を開けるかもしれない。
「○○でなければならない」という、思い込みのフレームを一番外しやすいのはファッションではないだろうか?
そう考えると、少しだけ今の服の思考をずらしてみる、というチャレンジがあっても良いと思う。