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「カーボーイ思考」は、いつまで続くのだろう?

2020-01-06 19:15:46 | 徒然

イラク指導者殺害によって、窮地に立たされているのはおそらく米国だろう。
この事件によって、ロシア、中国はイラクを支持している。
欧州諸国での反応は、米国に対する非難するところまではいってはいないようだが、「米国の内政干渉」という考え方でまとまりそうだ。
肝心の日本だが、米国とイラクとの両方との関係をこれからも維持・継続していきたい、という意思がるにもかかわらず安倍さんの態度は玉虫色のようにあいまいだ。
「こちらを立てれば、あちらが立たず」という、状況だとしても「同盟国」として米国に一言あっても良いのでは?という気がしている。それだけの勇気が安倍さんにあれば・・・という話だが。

今回の事件の報道を読みながら感じることがある。
それはトランプ氏の「カーボーイ思考」だ。
何もトランプ氏に限ったことではないと思うのだが、過去アメリカが中東やアフガニスタンなどで起こした、軍事行動などを見ていると「いつまでカーボーイ思考を持ち続けるのだろう?」ということだ。
ここでいう「カーボーイ思考」というのは、「自分たちを守るためにはやられる前にやれ」という、思考のことだ。
1950年代から1960年代につくられた「西部劇」のような、カーボーイのイメージだ。
または、タバコの「マールボロ」のコマーシャルのような「強い男」という感じだろうか?

このような「カーボーイ思考」または「マールボロの強い男」というイメージは、トランプ氏の選挙基盤である中南部の支持層ともイメージが重なる。
この地域は別名「忘れられた人々」と、先の大統領選で注目を浴びた地域でもある。
それまでの主要産業が廃れ、若くして職を失った白人男性が持っている「男性像」というべきかもしれない。

この地域の人たちの中には「日本企業の進出によって自分たちの職が失われた」とか「代々男は、○○という仕事に就いていて、誇りをもっていた」という、かつての経済発展の中心は自分たちにあり、今は外的要因により失われてしまった、という趣旨の言葉を言う人達も多い。
本来であれば、時代の変化伴い教育や仕事そのものを変える必要があるにもかかわらず、「昔はよかった。何故俺たちがこんな目に合わなくてはいけないのだ!」という思考で、ストップしてしまっているように感じている。

このような問題は米国内の問題ではあるが、トランプ氏はそのような「不満」を持つ人達に積極的にアプローチをし、支持をえられてきた、という事実を理解すべきだと思う。
そのような支持者に対して、トランプ氏は「強いアメリカ。強い大統領」を演じる必要があり、それが今回の事件に繋がっているのでは?という、気もしている。

このような「カーボーイ思考」は、時として「米国全土を一体化させる」ことには向いているのかもしれない。
過去にもこのような手法で、米国にある種の高揚感などを与えることに成功した大統領はいる。ブッシュ元大統領(父と子の両方)だ。
特に、息子のブッシュ大統領時代に起きた2001年9月11日の「同時多発テロ」は、このような「カーボーイ思考」による国全体の一体感と高揚感をもたらした。
そしてこの「同時多発テロ」を引き起こした原因の一つが、父親のブッシュ大統領政権時代の「湾岸戦争」だとも言われている。
「湾岸戦争」もまた「世界の警察」である米国の威信にかけ、介入をした戦争だった。

このような経験をしているにもかかわらず、今だに米国が「カーボーイ思考」に縛られているのは、「カーボーイ」という存在が米国のアイデンティティーだと思っているからかもしれない。
しかしあえて言うなら、時代遅れの「カーボーイ思考」では米国そのものが、時代から取り残されるだけだと思うのだ。