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揺れ動く「資本主義経済」?

2020-01-04 21:10:36 | ビジネス

日経新聞のWEBサイトに「逆境の資本主義」という、新春連載企画がある。
会員向けの記事なので、読むことはできないようになっているのだが、その中で唯一見られるのが「アニメーションで学ぶ資本主義」だ。
このアニメーションを見た時、「経済の変遷」や「資本主義とは?」という、ビジネスパーソンの基礎知識を分かりやすくまとめてあるな~と、感心をした。
日経新聞: 「見えざる手」とは?アニメで学ぶ資本主義

アダム・スミスの「国富論」やカール・マルクスの「資本論」など、内容に詳しくなくても概要としてどのような考えなのか?ということだけではなく、現在の米中の「保護主義」的経済などにも触れている。
そして、このアニメを見て考えることは「資本主義と民主主義」との関連だ。

アダム・スミスの「国富論」を基にした、その後の自由経済主義の考えは「政治は、経済に口をはさむべきではない=市場の自由闊達な経済活動が、社会を豊にする」という考えだ。
いわゆる「小さな政府」という考え方で、英国のサッチャー首相や米国のレーガン大統領などが行った経済政策だ。
そこまで大胆ではなく、どこか中途半端で弊害ばかりが目立つ結果となってしまった感があるのが、竹中平蔵氏をブレーンにした、小泉政権での経済政策だったような気がしている。

マルクスの「資本論」に関しては、「社会主義を促した」という認識を持たれる方も多いかもしれないが、「資本論」で注目すべき点は「労働」という点に目を向けた点だと思う。
「資本論」の中では「経営者は労働者に対して、配慮すべき点がある」という指摘をしている。
それは「労働環境」であったり「(表現は好きではないが)次世代の優秀な労働力を育てる」などだ。
今の言葉で言うなら「ブラック企業の問題」であり「子育て支援や教育」ということになる。
このような問題点が「資本主義にはある」ということを、マルクスは指摘している。

確かにマルクスの指摘している「資本主義」の問題は、一向に解決する気配を見せていないが、1989年のベルリンの壁が崩壊したことを考えれば、「少なくとも『社会主義経済』よりも『資本主義経済』のほうが、最良ではないが、まだ良いのでは?」という考えが、今の経済のグローバル化を促進させた結果だろう。
そして「特定の政治的権力者が、富を握ることがない」という点では、「資本主義」がもたらす「民主主義」の側面を表しているようにも思えるのだ。

もちろん、加速度的に進む「富の集中と経済格差とその固定化」という問題はあるが、民主主義の考えが進んでいない国ほど、一部の政治的権力者に富が集中し、最貧国という状況に陥らせている、という現状をみれば、「経済と民主主義」には深い関係性がある、と考えることもできると思う。

ただこの「民主主義」という考えは、とても脆弱なところがある。
「民主主義」の基本となっているのが、生活者自身が「民主主義を維持・より良いものにしていこう」という考えと、行動だ。
香港の大学生たちが起こした「民主化デモ」などは、民主主義を維持する為には「自分たちの考えを表明し、行動しなくては危うい」ということを示したような気がしている。
もちろん、その手法については問題すべき点もあるとは思うが、「民主主義」を生活者自身が維持していく為には「寛容性」や「議論の自由」など、手間がかかるものである、ということを実感させたように思う。
何より、香港の人たちは「自分たちの民主主義の維持と、北京の経済的コントロールを嫌っている」ように思えたのだ。

民主主義も資本主義も、完璧な社会や経済のシステムではない。
だからこそ、丁寧に考え議論し、他者に対して寛容と理解という努力が必要なのではないだろうか?