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中国依存のインバウンドを考え直す時期かもしれない

2020-01-27 17:08:21 | ビジネス

このところ連日ニュースのトップとなっているのは、中国・武漢で発生した「新型コロナウィルスによる肺炎」だ。
今現在は、罹患者数死亡者数ともに増える一途をたどっており収束の目途が全く立っていない、という状況だ。
このため、発生現地である武漢に住む邦人の急遽帰国を促す為に、政府専用機を用意をする、ということになっている。
WHOは、「緊急事態宣言」を見送ったが、中国からの観光客が多い日本としては何とか手立てを打つ必要が出てきている、ということには間違いないだろう。

この「新型コロナウィルスによる肺炎」の拡大は、丁度中国の春節と重なったこともあり、インバウンドにも大きな影響を与える、という懸念の声もある。
ただYahoo!などのコメントを読むと「インバウンドと新型コロナウィルスの感染拡大のリスクとでは、感染による経済的ダメージが大きい」という指摘が数多くみられることから、生活者のほうが冷静にこの状況を見ているのでは?という、気がしている。
確かに、日本国内に新型コロナウィルスが持ち込まれ、感染拡大となった時の経済的ダメージは大きいだろう。

一方で、このような中国からの観光客を当てにしたインバウンドの発想で良いのだろうか?という、気もしている。
韓国との関係が悪化して以来、韓国からの訪日が減っているのは当然で、代わりに伸びているのが中国ということになる。
中国からの観光客は、年々増えていて以前ほどの「爆買い」は減ったかもしれないが、買い物目的で訪日する中国人観光客は、変わらず多いというのは事実だろう。
JTB総合研究所:訪日外国人動向2020・観光統計

その一方で、支出額となると中国というわけでもなさそうなのだ。
日経新聞:インバウンド統計リポート
昨年のデータではあるが、旅行支出額となると中国に代わってフランスがトップとなっている。
支出額の増減はタイが増えており、逆に中国は減少している。
宿泊費や飲食費なども、欧州の国々のほうが多い、ということがわかる。

中国からの観光客は、団体旅行ということもあり人数が多く、全体で考えれば訪日で使うお金も多いが、個々の使い方を見ると、思ったほどの支出をしていない、ということがわかる。
「春節」による中国からの観光客の減少は、観光業にとって手痛いことかもしれないが、これらのデータから考えれば「中国依存のインバウンド」という考えは、現実と違っているということにもなる。
中国からの観光客ばかりに注目していると、将来的な訪日観光客を見誤る可能性もあるのではないだろうか?