日々是マーケティング

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人は「孤独感」から、買い物をするのか?

2021-06-15 16:47:21 | ビジネス

拙ブログにこられる方は、ご存じかもしれないファッション専門誌・WWD。
そのWWDに「生活者の消費意識」という調査データがあった。
WWD:アパレルブランドは信用できない?サステナに関する米消費者アンケート

「な~~んだ、米消費者のアンケート調査なのか」と、思い興味が失せた方もいらっしゃるかもしれない。
確かに米国の消費者アンケートによる、データではあるのだが、日本の生活者に対しても当てはまる部分はあるのでは?と、考えている。
特にZ世代と呼ばれる、10代後半から20代の若者たちの「モノ・コトの見方」は、米国も日本も共通する点が多いような気がしている。
それは、情報の国際化という点が大きく、米国の若者たちは「(経済格差や人種的格差)による社会不安」を抱えており、日本は「経済的不安」がある反面、この世代の若者たちは「社会に対する関心も高い」という、共通点もあるからだ。

記事の見出しとなっている「サステナブル」という言葉そのものは、「なんとなく理解している」という方のほうが、多いのではないだろうか?
他にも「エシカル」等という言葉も、最近よく聞くようになった。
このような、カタカナ言葉は「ふんわり」と「なんとなく雰囲気やイメージで理解をしている」という方のほうが多く、現実には「何がサステナブルなのか?エシカルとは何ぞや?」という方は多い。
ただ「SDGs」という国連が定めた「17の持続可能な開発目標」を達成するための、キーワードとして使われる事が多い、ということだけはご存じの通りだ。
そしてこれらのキーワードは正にZ世代の消費キーワードの一つなのだ。

この米国での生活意識調査から見えてくる点は
①環境に配慮した製品である、ということは当然で、人権などについてもどのように考え行動をしている企業なのか?
②物流においても、どのようなシステムで行われているのか?
③「安い」ことが、購入の動機とはならない
等が挙げられる。

しかし、これらの生活意識の変化を覆すような消費行動となったのが、「新型コロナ」の感染拡大による「孤独感」からの衝動的買い物だ。
この「孤独感からの衝動的買い物」を可能にしたのは、言うまでもなくネット通販だ。
そして「買い物をする」ということ自体は、決して悪い事ではない。
悪い事ではないのに、購入後ある種の罪悪感的なモノを感じてしまうのは、上述したような「サステナブル」な買い物をした、という感覚が持てず、その最たるものがアパレル商品である、ということになるのだと考えられる。

おそらく「孤独感から衝動的に買ってしまった服」というのは、安価で既に似たような服があるのに、なんとなくネット通販で購入してしまった、というものなのだろう。
だからこそ、罪悪感のような「後ろめたさ」があるのだ。

この意識調査でわかることは「人は孤独感から、さほど欲しいと思っていなくても、ネット通販などであれば購入する」ということだろう。
それが、ネット通販ビジネスでは有利になった、ということ事ではなく、「孤独と消費行動」という視点を持って目先の利益以外の生活者とのコミュニケーション法、というものが必要になってきている、視点が必要なのでは?と、考えている。