日々是マーケティング

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一元的な見方では、本質を見落とすのでは?

2021-06-13 22:35:57 | ビジネス

日経新聞に、「代替肉」についての記事があった。
日経新聞:代替肉、日本出遅れ 資金調達で海外に見劣り(有料会員記事)


「代替肉」と言っても、興味のある方と興味のない方とでは、持っている情報量が違うのでは?という印象を持っている。
というのも、ベジタリアンやベジタリアンよりも厳しい菜食主義を指す「ヴィーガン」と呼ばれる人たちと、普通に肉や魚を食べている人とでは、「動物由来の食品」に関する情報量が、全く違うからだ。
当たり前のように肉や魚を食べている人達にとって「代替肉」と聞くと、「肉の代用品」というイメージを持つだろうし、日本人にとって「大豆食品」そのものが、とても身近な食べ物でありその種類も多いため、「何も、大豆を代替肉にしなくても…」という、感覚を持たれるのでは?という、気がしている。
しかし、大豆を食べるという食習慣がほとんどない欧米では、「代替肉」そのものが「注目食材」ということになるのだ。

日経の有料会員記事で読める範囲で感じることは、「日本の代替肉市場はとても小さく、大型資本が入っていない。また、海外への輸出なども少ない」という印象がある。
確かに、上述したように日本では「代替肉」ではなく、「大豆製品」そのものの種類が多く、それらの製造企業そのものも中小零細であるため、大型資本の下でのは行われていない。
また「日本の食生活」の中では、「大豆製品を「代替肉」として使う必要が無い=市場規模そのものが小さい」ということがあると思う。

その視点を忘れて「代替肉」という特定の製品だけに注目し、「出遅れている」と考えるのはどうなのだろうか?
むしろ「日本の食文化」をアピールするチャンスなのでは?と、考えるのだ。
元々ベジタリアン生活をしている人たちが、身近にいる。
「仏教の食事=精進料理」は、「殺生を排除した食事=ヴィーガン食」に近いからだ。
そのような食生活の中から、僧侶たちは大豆を美味しく上手に使う方法を生み出し、発展させてきた。
お坊さんたちからすれば、「何を今更ヴィーガン?自分たちは、昔からそんな食事を続けてきた」と、言いたくなるのでは?という気すらしている。

そう考えれば「代替肉」という、限定された食材の市場を考えるのではなく「大豆食品」という視点で考えれば、日本の市場は世界の中でもトップクラスの市場が既にある、ということになる。
日本人にとって、一番馴染みがある大豆食品「豆腐・納豆」等は、日持ちがするものではないし、独特のにおいに抵抗感を持たれる食材でもある。
しかし「高野豆腐」や「豆乳」、最近ダイエットの味方と注目されている「おからパウダー」のような製品は、十分輸出が可能だ。
そのような既に日本で商品化され「代替肉」よりも調理の幅が広がるような、日本の食をシッカリアピールし、市場を国外に広げるという考えのほうが、「大豆製品」という市場の本質的な見方なのでは、ないだろうか?