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オリンピックは、カタチを変えた「感動ポルノ」かもしれない

2021-06-17 20:19:57 | 徒然

文春のWEBサイトに、バッハIOC会長の記事があった。
文春オンライン:東京五輪へ猪突猛進…日本国民猛反発でもバッハ会長が自信満々でいられるワケ

この記事を読んで、バッハ会長は今回のことだけではなく、サッカーの国際イベントまで関係していたのだな~ということを知った。
それは「本人の経歴に傷がつかない」という部分だ。
ここに書かれている内容を読んで、「あ~~あのことか!」と思い出された、サッカーファンはさほど多くはないかもしれない。
記事中にあるドイツのA社というのは、アディダス社のことであり、日本の大手企業というのは電通のことだ。
この2社がつくった、スポーツイベント会社(記事中ではスポーツマーケティング会社となっている)が、ISL社だった。
そしてこのISL社が絡んだスポーツイベントというのが「FIFAクラブ世界選手権」というサッカーの国際大会だった。
ただ開催する予定であった年に突然倒産をし、サッカー大会そのものが宙に浮き、カタチを変え「FIFAクラブワールドカップ」という名前になった、という経緯がある。
この第1回目を仕切り、第2回目を頓挫させた企業がISL社の倒産によるものだった。

しかし、この倒産劇も噂レベルでは「計画倒産」だったのでは?ということも、ささやかれていた。
というのも、設立に関わっていた電通が早々に手を引き、アディダス社についても、さほど大きな損害があったという話も聞かず、この倒産そのものがウヤムヤになってしまったからだ。

このような経過から、バッハ会長はスポーツをあくまでもビジネスとして捉えているのでは?という気がしたのが、この部分だったのだ。
であれば、バッハ会長にとっての「ビジネスとしてのスポーツ」は何を売っているのか?と、考えると、それはおそらく「感動」なのではないだろうか?
「感動というショーを見せる」というのが、IOCをはじめとする関係団体や企業にとって、今現在のオリンピックの位置づけなのではないだろうか?

日本人にとって、オリンピックそのものが、他のスポーツイベントよりも親しみがあり、様々な競技を見ながら「感動をする」。
「感動すること」が、悪い訳ではない。
このオリンピックを提供する側が「感動的でしょ。感動しないはずがないよね」という、感覚を持ってテレビ中継なり報道なりをするような仕組みの中で、多くの人たちが「感動をありがとう」と感じているのでは?という、気がしてきたからだ。

IOCをはじめ関係団体や企業にとって「ビジネス」という位置づけであり、ISL社の倒産劇などを見ると、受け手となる人達のことなど関係はない、と感じ・考えているのでは?という、気がしたのだ。
だからこそ、日本だけではなく海外からも「東京オリンピック中止論」が出ても、平気で推し進める事ができるのだ。
何故なら、ビジネスとして巨額の金銭が発生し、それによって儲けるチャンスだからだ。

「選手たちには関係ない」という意見が大半だと思うのだが、それでもオリンピックに出場することで、それまでマイナーだったスポーツにスポットライトが当てられ、スポンサー企業が出てくるという意味では、選手たちにとっても「自分の存在価値」を示す場であり、スポンサー探しの場でもある、と考えられる。
それが悪いのではない。
ただ、日本人が抱くオリンピックのクリーン過ぎるイメージが、バッハ会長をはじめとするIOC関係者やNBCのような放送権などの利権関係企業、などにとって都合が良かったのでは?ということなのだ。