1月1日に発生した「能登半島大地震」から2週間が過ぎ、救援の内容も徐々に変わりつつある。
例えば、被災地の中学生が学校丸ごと2次避難場所へ移動し、寮生活のようなカタチで生活と勉学を両立させたり、タブレット端末をNTTをはじめとするキャリア各社が提供し、勉強の補助的なサポートを始めるなど、29年前の「阪神淡路大震災」や13年前の「東日本大震災」とは違う、避難生活や支援がされるようになってきた。
特に「タブレット端末を活用した授業」というのは、「コロナ禍」で休校を余儀なくされた時の学習支援として、試みられた経験があってのコトだろう。
その中で、新しい支援スタイルとして注目されてもよいのでは?と感じるのが、大手飲食店会社の「キッチンカー」による被災地支援だ。
「コメダ珈琲」や「すき家」と言った、馴染みの飲食店だけではなく、日清もキッチンカーによる被災地支援をはじめている。
まいどなニュース:コメダ珈琲店のキッチンカーが被災地で活躍「避難所にコメダが」「久しぶりの温かいコーヒーうれしい」
時事通信:キッチンカー、被災地で始動 外食業界が牛丼・カレー提供 能登半島地震
食品新聞(Yahoo!ニュース):能登半島地震 日清食品がキッチンカー派遣し4か所で炊き出し 被災者の栄養状態を考慮し「完全メシ」を提供
29年前の「阪神淡路大震災」、13年前の「東日本大震災」という二つの大震災の時、被災者の生活の質という点で問題となったのが「暖かい食事」だった。
それまでの「避難生活の食事」と言えば、おにぎりと炊き出しの味噌汁や豚汁だった。
これらが悪いわけではない。
とはいえ、いくら暖かいお味噌汁があったとしても冷たいおにぎりという食事が続くことで、被災者の「食に対する意欲」のようなモノは減退しただろう。
そのような状況の中で、食べなれたチキンラーメンや牛丼、暖かいコーヒー等は、食べるというだけではなく心理的な安心感のようなモノがあるはずだ。
キッチンカーによる支援は、それだけではないのでは?と、考えている。
数量は限られているとはいえ、機動力があるので被災地を巡回することができる。
そこで得られた被災者の生活状況等の「情報伝達」という役割も担える。
被災者側にとっても、外からやってくるキッチンカーの存在は「自分たちのコトを支援してくれている」という、安心感があるのではないだろうか?
能登半島のように、地形が複雑で道路そのものが狭く、土砂崩れにより孤立してしまった地域等がまだまだあると聞くが、安全が確保されればキッチンカーによって運ばれる食事以外の安心感は、とても大きいのではないだろうか?
そう考えれば、今回の震災をきっかけに食品業界・飲食業界全体が「災害支援の為の支援の在り方」の協業という発想も生まれてくるかもしれない。
もう一つ企業の連携として必要なのでは?と考えるのは、オフィス街の企業同士が「災害支援チーム」を組み、企業が保有している「緊急災害支援品」を、ローリングストックとして消費期限の迫っている飲料水を飲料水以外目的として、災害地で使ってもらうという考えだ。
何となくだが、企業が災害用としてストックしている飲料水の内、消費期限が近いモノ等が案外あるのでは?と、想像しているからだ。
飲料水ではなく、手洗い用の水としてであれば十分使うことができるだろうし、水そのものは衛生面でも必要なことが多い。
災害発生時から問題になるのは、食事と衛生面だ。
そのどちらにも「水」は必要であり、飲料用の水をそれ以外の目的で使うことに、躊躇する被災者も多いのでは?
まして、今回のように個人からの支援を受けしにくい時等は、企業が集まり大きな支援品として、提供できるものがあるのではないだろうか?
企業の災害支援として、単体で出来ること、業界全体やオフィス街全体で出来ること、支援の在り方はいろいろだが、「企業として何ができるのか?」という、ことを考えた新しい企業支援は、その企業や業界団体に対して、生活者からの大きな信頼を得られる社会行動なのだと思う。
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