人気店が「楽天市場」から撤退した理由

私が時折購入していた靴屋さんが、５月末で楽天市場から撤退した。
このことだけを見ると、「楽天市場」での売上が伸びなかったから、と受け止められるのだが、実は、この靴屋さん楽天ランキングでも上位に入るほどの人気店だったのだ。
それなのに撤退するというのは、売上とは違う理由があってのこと。

撤退を決めた後、「撤退理由」と「ご挨拶」のメールがきた。
そのメールを読むと「なるほど・・・」と納得がいくのもだった。
それは「お客様に対応しきれない」というコトだったのだ。

この靴屋さんについて少し説明をすると、靴の製造販売をしていた。
楽天で見られる多くの靴販売店が、卸業や小売業（実店あり）というのではなく、お客様の声を聞きながら、製品作りに反映させながら販売する、という小さな企業だった。
それが人気店となり、本来である靴作りに力を入れたいのにそれが難しい、というコトとなり、「楽天市場」からの撤退を決めたようだった。

実は他にも、今治のタオルメーカーさんなどもいつの間にか撤退をしていた。
この今治のタオルメーカーさんは、「楽天人気店」としてテレビ番組などでも取り上げられるほどだった。
撤退理由ははっきりしないのだが、もしかしたら「認知度を上げる」という目的を達成したことや、一時人気になった「わけあり品」中心の注文などが多く、撤退を決めたのかもしれない。

「楽天市場」という売り場は、企業規模が小さな企業や新しい企業にとって、メリットが大きい。
それは、小さな初期投資で全国、場合によっては海外までを「売り場」とするコトが出来るからだ。
それだけではなく、ある程度楽天からのサポートやアドバイスなどがあるはずだ。
Ｙａｈｏｏのショッピングサイトなどでも、モール内のお店が人気店になるようなサポートやアドバイスをしているのではないだろうか？

一方、楽天やＹａｈｏｏなどのショッピングサイトを、利用しないお店もいっぱいある。
私の知っている京都の漬物店は、自店でショッピングサイトを持っている。
この漬物店もとても小さいのだが、全国からお取り寄せがあったり、わざわざタクシーで乗り付ける観光客が、引きも切らさないほどの人気店なのだ。
だが、漬物の味にこだわるためにあえて、手広く商売を広げるという気は無いという。

「楽天市場」を始めとするネットのショッピングサイトは、事業を大きく展開する時には期待できるし、それを期待し出店している企業も多い。
反面、事業拡大ではなく事業充実のためにあえて撤退する。
そういう企業も、これから出てくるのではないだろうか？
そんな気がする、小さな靴屋さんの「楽天市場」の撤退の挨拶だった。