今日、岸田首相が臨時国会の中で「景気対策」の一つとして、「所得税減税」を指示した、というニュースがあった。
Bloomberg:岸田首相、所得税減税検討を与党に指示-経済対策で税収増を還元
今回の岸田首相の「所得税減税検討」というのは、おそらく今週初めの「非課税世帯に対する給付金」に対する、疑問が多かったからだろう。
「非課税世帯に対する給付金」よりも「所得税減税の方が、効果があるのでは?」ということは、拙ブログでも書いてきた。
まさか「非課税世帯に対する給付金」を観測気球のようにあげ、世間の考えを拾ったという訳ではないと思うのだが、どうも岸田首相の発言は、フラフラしている感がある。
無理を通すよりも、多様な意見を聞きその都度方針を微調整していく、ということは企業でも良く行われることだが、そのような印象もあまりない。
勿論、新聞各社の「内閣支持率」が軒並み「危険水域」と呼ばれる30%を切っている、という状況では、打開策としての「所得税減税」ということも十分に考えられる。
日刊ゲンダイDIGITAL:岸田内閣「若者の支持率」ついに10%!安倍、菅内閣と真逆・・・大醜聞ないのにダダ下がりのナゼ
ただこの「所得税減税」も1年という期限付きなので、どこまで景気回復の起爆剤となるのか、疑問な点が多い。
むしろ、「消費税」の減税を打ち出した方が、遥かに効果的なのでは?という気がするのだ。
というのも、今日の日経新聞に「世帯に対するエンゲル係数」という記事が掲載されていたからだ。
日経新聞:食費が圧迫、細る家計 エンゲル係数40年ぶりに26%超
エンゲル係数については、ご存じの方も多いと思う、
収入に対して、食費が占める割合を指す係数のことだ。
収入に対して、食費が占める割合が高い=教育費、趣味や旅行、衣料品に使えるお金が少ない、ということになる。
「食べていくだけで、精一杯。余分なことに使うお金はない」という、生活実感を持って生活をしている生活者が多い、ということでもある。
景気対策というのであれば、食費以外の消費を上げるようにしていかないと、生活者は「景気が上向いている」という実感を持つことは難しい。
何故なら、上述した通り「食べていくだけで、精一杯」という生活者心理であれば、様々な消費活動を制限するようになる。
子どもに対しての教育費であったり、病気になったからと言って病院で診察してもらうことを躊躇するような人達もいるかもしれない。
それらは、最終的に「将来の社会保障費の増大につながる」可能性を含んでいる、ということでもある。
とすれば、現在の消費税の内、食品に関しての軽減措置をするようなコトをしない限り、生活者の「景気実感」は起きないのではないだろうか?
政府にとって、「消費税」は「広く浅く誰からも無条件に得られる税収」だが、様々な商品の物価高騰により、生活者の買い控えが起き始めているというのが、現在であるという認識をしなくては「本気の景気対策」にはならないように思うのだ。
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