朝日新聞のWebサイトを見ていたら、「ビッグマック390円は安すぎる?」という見出しがあった。
朝日新聞:ビッグマック390円は安すぎる?物価停滞「日本人の欲求が後退」
「コロナ禍」になる前から、マクドナルドに行くことはあっても、ハンバーガーではなくドリンク類しか注文をしていなかったので、ビッグマックの価格そのものを知らなかった(ハンバーガー類を注文をしないのは、加齢と共に食べられなくなったため)。
ただ、20年位前まではビッグマックはもう少し値段が高かったような印象がある。
20年以上前、ハンバーガーショップの「390円合戦」のような時期があり、マクドナルドだけではなく、ロッテリアを含むハンバーガーチェーン店では、ベーシックなハンバーガー+ポテト小+ドリンクSのセットで390円という、価格設定をしたセット商品が人気となった。
そのころの日本の経済状況というのは、バブル経済崩壊後の影響が残り、金融機関が倒産するというニュースもあった頃だったような記憶がある。
日本の経済全体が、落ち込み続けている最中での、価格競争だった、ということになる。
と同時に、サラリーパーソンの給与そのものも賃上げが厳しい状況で、上述した「ハンバーガーセット390円」が人気になる一方、「ワンコイン(=500円)ランチ(や持ち帰り弁当)」等が人気となった頃でもあった。
当然だが、その当時1杯が400円程度であった「牛丼」は、サラリーマン定番の人気外食だった。
そう考えると、現在のビッグマック390円というのは、安いというよりも20年ほど前から大幅な値上げがされていない、という印象になるような気がしている。
もちろん、ビッグマックだけを購入するという人は、さほどいないと思うので、利益採算の良いといわれるフライドポテトやドリンクをプラスすることで、お店としての収益を何とか確保しているのかもしれない。
ただ、ビッグマックに限らず、バブル崩壊後の日本の生活者の「商品選び」の一つの基準の中に元々あった「安さ」の順位が上がったことには、間違いないだろう。
元々「品質」等にも一定の高さを求める、日本の生活者なので「安い」だけが、商品選びの基準ではない。
「安くて、ある程度品質の良いモノ」という、暗黙の条件のはずだ。
とすると、日本国内での生産から人件費の安い海外生産へと、切り替える事になる。
特にアパレル等は、圧倒的に海外で作られるようになった。
それが、日本国内においての製造業全体の生産力の減退となり、生産地であった地方経済に影響を及ぼしている、ということになるのではないだろうか?
今の日本の生活者の状況は、国産の商品を買いたくても、手が届かない、という場合も多いはずだ。
何より、「安いから買いたい」という気持ちよりも、「安くても買えない」という経済的な不安の方が強いようにも思える。
「安ければよい」というのではなく、「品質に似合った価格」という、生活者の意識変化が求められている、というだけではなく、企業や国の経済政策等も、「品質やサービスに似合った適正価格が、ベストプライスである」という考えと共に、そこにかかる人件費や製造コストの重要性を考える必要があるように思うのだ。
何故なら、「人件費=生活者の所得」であり、「製造コスト=下請け・孫請け等に対する費用」であり「下請け・孫請けで働く人たちの人件費+製造コスト」だからだ。
大企業だけが利益を上げ、給与が上がるのではなく、中庸零細企業で働く人たちの給与が上がらなくては、「安くても買えない」という生活者の感覚は無くならないと思うのだ。
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