北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新しい"海洋国家日本の構想"を考える(1)平和憲法が抑止力となり得た時代の懐古~新年防衛論集2025~

2025-01-04 20:25:01 | 北大路機関特別企画
■平和憲法と抑止力
 防衛と憲法はどうしても切り離せない視座でもありますが今回はこちらの視座について。

 新しい世界の海に向けて。海洋国家日本の構想というものを60年を経て再構築する場合、日本にとり重要な要素は、日本国憲法9条とその成立背景が大きく転換しているという認識を持たなければ成り立たないという点を挙げておきたいのです。無論、憲法が古くさいという意味ではなく。

 外国を占領せよという意味ではありません、しかし日本国家として、結局日本は1960年代の高度経済成長時代に夢見たような"特別な国"ではなく世界の一つの国で有り、しかも1980年代に示唆されていた”多極化時代”の到来が現実となる中、世界の国々との関係下でしか生きられません。

 防衛力を含めて、いやこれまで関係してこなかった分野であるからこそ、防衛力を世界との関係性の中に包含した、地球的視野、こうしたものの中で安全保障環境を見てゆかなければ、日本にとり次の戦争の始まりは、昭和20年8月、あの夏の続きから始まると言うことにもなりかねない。

 日本国憲法九条はその制定当時には太平洋戦争の記憶鮮明な時代で有り、大東亜戦争という1941年12月8日以前の戦争についてまで踏み込んだ終戦という概念が曖昧模糊としていた時代にあっては、結局我が国国力への警戒感が非武装平和を盛り込まなければ成立が難しい時代でもありました。

 平和憲法が抑止力、という理解がある一部の知識層の方々の視点をお聞かせ頂くことが過去多くありましたが、第二次世界大戦の敗戦、しかし敗戦にいたるまでの激烈な戦闘そのものが、逆に抑止力を形成していたという視座をみるべきなのかもしれません、そして今日再考すべきことは。

 敗戦に至る激烈な戦闘とその結果というものから生じた抑止力は、いまでは、昭和は遠くになりにけり、という視点ではないか、ということです。結果的に、過去の戦争の反省というものの、その反省に思い当たる記憶を体験としてお持ちの方は年々少なくなっている実情と向き合う必要が。

 平和を悪用させない。この視座はこの数年強調している視点です。日本が平和、いや軍事に無関心であることを平和と言いくるめる視座を背景に防衛を考えるならば、それは戦争が始まる危険な小火を看過することで大戦争を誘発することを無視する危険な行為と言うほか在りません。

 ステイクホルダーとして、日本に直接関係ないと一見思われるような懸念に対しても、世界大戦への拡大を阻止する、こうした地球的視野において安全保障、防衛力の投射、パワープロジェクションを行うよう、日本と世界の関係を見てゆく必要を考えるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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迎春二〇二五:運営開始二〇周年迎えるWeblog北大路機関~運用正常化復帰が原点にして最初の課題~

2025-01-04 14:11:44 | 北大路機関特別企画
■二〇周年を前に
 2025年は昭和100年となる一つの節目ではあるのですが、同時に2025年、Weblog北大路機関も創設20周年を迎えます。

 Weblog北大路機関、2025年の計画としましては、重ねて一日二回の掲載を維持するとともに、現在一時的に不定期掲載となっている第二北大路機関の平常化復帰とともに第52北大路機関の運用再開、また既に試験運用を開始しています(仮称)第3北大路機関の定期運用化を目指します。

 第3北大路機関は、制式には北大路機関とは別枠運用の形をとりますが、小説投稿、という従来の北大路機関にはない運用を、二次創作に対する創作という三次創作という不規則な形式で試験運用中ですが、活字の能力と可能性を示すことが出来る運営が出来れば、と思っています。

 20周年を迎えるWeblog北大路機関、目標は、原点回帰です。それは無理な遠征や行事写真の羅列ではなく、限られたものではあるものの着実な行事紹介とともに、防衛関係の最新情報をお伝えし、重ねて、グルメに鉄道や寺社仏閣と映画などの話題を合間合間に掲載出来ればと思う。

 戦車や戦闘ヘリコプター、大きな課題は、北大路機関創設当時には考えられないほど、この二つの装備を撮影することは難しくなっているという実情です。これは上記の視点とは矛盾しますが、重ねてこの二つの装備を撮影できるよう、可能な範囲内で撮影の機会を探そうと考える。

 SNS全盛の時代に在ってWeblogという媒体は古いものではありますし、このためにSNS版北大路機関として第52北大路機関も運営し、多角化を目指しています。多角化は執筆というリソースの限界を分散することにはなるのですが、2025年も一年間精一杯、運営したいと思います。

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北大路機関2025:気づけば新年-遅きに失しましたが改めて新年のご挨拶を

2025-01-04 07:00:38 | 北大路機関特別企画
■北大路機関2025
 体調が回復しましたので。

 遅きに失しましたが、改めて新年のご挨拶を。実は昨年の十二月は史上稀に見る、安請け合いした仕事と断れない仕事と長年のご縁故に受けた仕事が重なりまして、やりがいはあって愉しいのだが、仕事場から出ることが出来たのは19日に仕事の出張という、しかし出ることが出来たので外食できたという気分転換でした。

 多忙というのはこういうことをいうのだと0700時まで仕事をして仮眠して起きてという、0700時なんて普通だと言われましたが1900時ではなく0700時で徹夜明けということです、そんな生活を三週間、早ければ0400時には寝れていたのですが、夕食が0200時とか滅茶苦茶な状況となり、唯一の気晴らしが仕事場に持ち込んだプロジェクターで。

 デスクからは見えない位置にてBGM代わりに映画を愉しみ、コーヒーメーカーの前で一休みする瞬間だけ映像を見たという状況、皇帝のいない八月とか激動の昭和史沖縄決戦とかシンドラーのリストなどをみながら、ああ自分は恵まれているなあと自己満足しお仕事を続けていました。ご承知の通りWeblog運営がぎりぎりの状況でしたが。

 そして仕事納めは2024年が終わる十数分前となりましたが、その直後に動悸が激しく発熱があり倒れまして、夢の寝正月、という親戚参りもなにもできず、そういやクリスマスってどうなったんだっけか、と思う状況でした。年賀状も漸く起きれるようになったところで今度は自動車のセルモーターがイカれて身動きが大変になりました。

 面白そうな一年が始まりました次第です。倒れたもののまあ達成感はありまして、こういうことってあるんだなあと、異世界に飛ばされぬよう気をつけたいということを抱負としまして、新年の挨拶とさせて頂きます。本年もWeblog北大路機関をどうかよろしくおねがいいたします。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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新しい"海洋国家日本の構想"を考える(2)核なき抑止力-日本の覚悟~新年防衛論集2025~

2025-01-03 20:23:21 | 北大路機関特別企画
■核なき抑止力-日本の覚悟
 核兵器は日本にとり現実の脅威です。

 日本の安全保障を考える場合、直視しなければならないのは核の脅威に対してどのように向き合うか、ということです。ウクライナでは核兵器が使われていない実情に鑑みて、核兵器の脅威は無視できる、こう考えるのは現実的ではありません、その理由として、ウクライナで核兵器が使われた場合はNATOが直接介入する、というNATO理事会の一致が2022年にあり、使えない状況にあるのです。

 難しいのは日本における核兵器の運用は、ウクライナにおける核兵器の有用性、戦術核兵器により戦況を好転かさせるという全面戦争における戦域優位獲得のための核兵器、という位置づけではなく、日本の場合は指揮中枢破壊や産業基盤破壊など、いわば、日本本土へ地上部隊を侵攻させ戦況を優位とさせるための核兵器ではなく、地上戦を度外視した核兵器の使用そのものが目的となっている。

 核兵器が使われた場合に米軍が介入する、という言質があっても、京浜地区や京阪神地区が核攻撃を受けた後では、米軍の介入は意味がありません、すると、核兵器を保有しないという前提のもとでの抑止力構築というものが重要になります。その一つの選択肢が、ミサイル防衛能力整備でした。これは計画当初、もう22年前か、不可能であると識者の一部さえ嘲笑したものでしたが。

 ミサイル防衛はある程度、具現化した、2024年にはイランの中距離弾道弾を宇宙空間において迎撃成功した事例がありますので、いままでのクウェジェリン環礁からの迎撃試験よりも実戦、実戦に近いというのではなくイスラエル本土攻撃に向かうミサイルの撃墜という実戦の戦果をたたき出したわけです。すると、迎撃ミサイルの数さえ揃えば、核攻撃を無力化出来うる、とうう可能性を示した。

 ただ、問題はその巨額のミサイル防衛に関する費用を捻出できる見通しがなくなり、一応海上自衛隊はイージス艦の数的増強を行う方針ではありますが、とてもではないが足りない状況にある。政府が進める反撃能力整備というものは、迎撃一辺倒だけでは日本のミサイル生産能力からして早々に在庫が払底することを自覚したもので有り、この現実に向き合った結果が反撃能力、と。

 核兵器の脅威に対して通常兵器で対応できるのか。この問題に一つの解決策を示したのが、昨年韓国が国軍の日において発表した新型ミサイル"玄武5"です。弾頭重量が6t程度と通常弾頭のミサイルとしては破格に大きく、バンカーバスター弾頭を備えるため、地下指揮中枢を破壊できる、ということ。宇宙空間から落下し高速度を発揮するミサイル、地下100mでも安全とは言いがたい。

 日本の周辺国で核兵器を保有する諸国は、権威主義国家である。これは結果論なのですが通常兵器による抑止力が機能するのかと問われるならば、権威主義国家は国民すべてを目標とせず、指導者に対する抑止力がその最大限の意味を持つため、広範囲を核の焔で巻き添えにする必要が無い、ということです。故に韓国のミサイル開発は核抑止に対抗する通常兵器の限界の強さを見せた。

 日本の防衛政策は、核攻撃を受けてから措置が為された後では意味が無いという大前提のもとで、通常兵器による独自の対核恫喝への抑止力というものを真剣に見てゆく必要があるでしょう。一方、防衛政策を左右するものは国民の世論であるため、日本は核の脅威にさらされているという現実を共有することが、抑止への方策を前進させるまず最初の難関なのかもしれませんが、ね。

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新しい"海洋国家日本の構想"を考える(1)間に合った決断-反撃能力整備~新年防衛論集2025~

2025-01-02 20:05:00 | 北大路機関特別企画
■新年防衛論集2025
 海洋国家日本の構想刊行60周年という事で本年の新年防衛論集を掲載してゆきましょう。

 ロシア軍による日本本土原子力施設攻撃計画、こうしたものが存在したというイギリスメディア報道が今年に入り早速為されまして、日本の防衛力というものをどの段階まで考えるか、という命題を突きつけられた印象です。反撃能力、自衛隊の新しい段階の防衛力整備は、場合によっては、若干遅かったものの、間に合った部分があったのかもしれません。

 原子力施設攻撃、首都圏に近い東海村の原子力施設が標的となっていたといい、これは2014年時点の、つまりいまのロシアウクライナ戦争開戦前の時点で計画され、この実行のために爆撃機などを用いた自衛隊の即応体制の検証まで実施していた、とのこと。こうした計画というものが存在することは予見できていましても、報道されると改めて衝撃におもう。

 間に合った、というのは自衛隊の反撃能力整備が進めば、ラズボイニク湾の陸上原子力施設を破壊してウラジオストク軍港を使用不能に追いやることが可能ですし、射程の長い反撃能力は水上戦闘艦に搭載し大西洋まで進出した上でロシア心臓部を直接攻撃出来る能力、を示すことにより相手の攻撃を抑止させることができるわけで、この点の意味は大きい。

 カリーニン原子力発電所、東海第二原発が攻撃された場合には自衛隊は必ずカリーニン原発を攻撃し、モスクワを東京と同じ状態に追い込む、かりにこうした覚悟を政治が示すならば、少なくとも攻撃目標から原子力施設を外させることは出来るでしょう。厳しい話ではありますが、現在の安全保障情勢はこうした選択肢を求められる段階まできている。

 反撃能力整備、射程を聞いた際にその射程が目指すものは何であるかを考えたものですが、射程から四川省まで届くということが判明しますと、四川省南部の核ミサイル施設をその射程に収めていることから、これは大陸中国が政権交代などにより過激化した場合に最後の覚悟を行い、日本本土への核攻撃を決意した場合への阻止の手段なのだろうと直感しました。

 四川省、続いて日本が必要と考えるならば、もう少し踏み込んだ射程を付与させることも出来るかもしれない、いわば、岸田ドクトリンというものは必要な防衛力を必要な水準で対応させるという段階へ、踏み込んだ、ようやく日本国家は脅威を直視し、直視した脅威を評定し、必要な防衛力整備を具現化する段階まで、リアリズムの段階に到達したのだ、と。

 反撃能力整備について、実のところ岸田ドクトリンには北大路機関は批判的でした、それは明らかな専守防衛政策からの転換を、現行憲法はそのままとしても、一内閣の方針転換として行い得るのか、という危惧でしたが、結局とのこと、法整備を待てない故に現行法の最大限の解釈を行わざるを得ないという、いままでのモラトリアムが一気に具現化した、とも。

 憲法改正などは冷戦時代の内に覚悟を決めておくべきであったのかもしれないが、逆に解釈の幅を残すことで冗長性ある制度運用基盤を構築し、現行憲法のままでも安全保障法整備、いや、小泉内閣時代の有事法制整備も起点であったというべきか、橋本内閣時代の日米新ガイドラインまで含めて考えるべきか、冗長性ある法制度の延長線上に今があるともいえるか。

 ともあれ、反撃能力整備は、日本を攻撃した場合のアメリカ軍の抑止力、という従来型の抑止構造が成り立たない、1980年代に既に提唱されていた"多極化時代"の具現化を前に、専守防衛というものごとのあり方も変容せざるを得ないという厳しい現実を反映したものといえるのかもしれません。しかし同時にこれは、間に合った、という視点でも考えるべきです。

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謹賀新年二〇二五 新しい一年もどうぞよろしくお願い致します

2025-01-01 20:25:46 | 北大路機関特別企画


謹賀新年二〇二五 新しい一年もどうぞよろしくお願い致します

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