北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【M-5撮影特報】琵琶湖飛行艇救難訓練,南海トラフ地震想定南海レスキュー事前訓練(2024-10-17)

2024-10-31 20:01:49 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■US-2琵琶湖に
 US-2飛行艇、むかし”あしやからの飛行”という九州の芦屋基地を舞台にした救難飛行艇部隊の映画が有りましたが今回は琵琶湖からの飛行、というべきでしょう。

 琵琶湖へのUS-2着陸、いや着水、こころなしか白波に緑がかっているような印象があるのだけれども、うまくいきました。海水を念頭に浮力計算しているということで、淡水に着水して大丈夫かは新明和が二日がかりで計算したとのことでしたが。

 南海レスキュー事前訓練、滋賀県警の警備船と会合し負傷者を輸送するという訓練、前ニューズウィークにて新宿が核攻撃を受けた場合の死者数は15万という数字が示されたことがありますが、南海トラフ地震の最大死者総定数は32万、核兵器二発分だ。

 津波の影響を受けないとともに、地滑りを別とするならば琵琶湖は飛行艇を運用するには南海トラフ地震においてほぼ安全が確保された発着点ということになるます。天正地震では琵琶湖も地滑り被害が多発したが、南海トラフは震源がかなり遠い。

 高島市に陸海自衛隊の統制所が設置され、けっこう大きな、折りたたむと担げるのだけれども通信アンテナを設置して天幕まで広げていました。が、安全を第一に、沖合7kmほどのところに降りていました、琵琶湖の中央、ということですね。

 統制所、実はこの発着は月曜日に予定されたもおが悪天候で二日延期されたという経緯があるのですが、延期された初日には通信アンテナや天幕などは無く、US-2だけがゆっくりと上空を飛行しただけと謂うことでした、本番は、本番らしい雰囲気になった。

 海抜85m、琵琶湖の水面その海抜は実は京都駅よりも高いところにありまして、すると海上自衛隊が慎重なのは、高い海抜に降りる初の経験と謂うこともあるのかなあ、と思ったりはします、海抜の高い飛行場はあっても湖面というとなにしろ淡水湖が初だ。

 彦根城と長浜城がみえるのかあ、と高島市からの風景に驚くとともにここは風車村という、
US-2飛行艇、琵琶湖に飛行艇、といいますと不思議な印象をうけるのですけれど、歴史を見ますと大津海軍航空隊、という戦時中に水上戦闘機強風などを運用していた部隊が。

 長浜城は、先代の長浜城が天正地震で倒壊し琵琶湖に沈んだ、ということを思い出しますと、ちょっと複雑な気分ではある。いまの長浜城は鉄筋コンクリート、雲仙普賢岳の島原城のように次回は長浜城に指揮所をおいては、とおもったりもするのですけれど。

 大津駐屯地、海軍航空隊はいまの大津駐屯地にいました。あの紫電改に繋がる水上戦闘機強風です。駐屯地には海鷲の石碑など、当時を思わせるものが資料館にありまして、F-1支援戦闘機やF-86D戦闘機なんかが並べられている。F-1戦闘機、か今は。

 強風の設計と生産は川西飛行機、いまの新明和工業です、するとUS-2飛行艇を製造している新明和工業ですので、琵琶湖とUS-2という関係も、まあ1940年代と2020年代というけっこうな期間が空いてしまったけれども、無関係、というほどではないのだなあ。

 大津駐屯地には強風のスロープがもう周りの建物はかわってしまっているのですが、考えるとあんな7km先に降ろすよりも、PS-1飛行艇なんかの時代は大村航空基地にスロープを活用していたのですから、そのまま大津にあげてしまえ、ともおもったりする。

 岩国から展開した今回の発着は来年の南海レスキューにおける本番に備えての発着と謂うことですので慎重さが求められたのでしょう、ただ、実績を積んでゆきますと、なにしろ大津海軍航空隊以来の所縁、案外思い切った運用が将来できるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-セリダヴがポクロフスク周辺での激戦地!ロシア軍が構築するハリコフ占領地地下要塞

2024-10-31 07:00:56 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 機械化部隊の重要性というものは自衛隊が予算上棚上げしてきた問題です。

 ロシア軍は地下要塞の建設を開始している、これはISWアメリカ戦争研究所10月24日付ウクライナ戦況報告においてハリコフ方面のウクライナ軍旅団報道官の発言を紹介したもので、この背景としてロシア軍は長期間にわたり機械化部隊による攻撃を実施していないため、冬期においての陣地構築に苦慮した結果、地下陣地を構築している可能性がある、と。

 地下要塞、とは地下に数階分の陣地を構築する、この背景にはウクライナ軍旅団報道官の発言に、ハリコフ方面でロシア軍はほとんどの期間、機械化部隊を運用していないためで、厳しい冬期を地下にこもることで乗り切ろうとしている可能性があるとのこと。この日、ウクライナ軍はクルスク州のコレネヴォ南東で前進に成功したとしています。

 ウクライナ軍のクルスク州逆攻撃は、ロシア軍によるハリコフ州再侵攻をうけてロシア軍に兵力分散を強要するために第二前線を構築したと繰り返し強調されていることから、ロシア軍がハリコフ州において機械化部隊による攻撃を行えないことは、ウクライナ軍の戦略目標が達成されたともいってよいでしょう。■

 ポクロフスク周辺の戦況について、ISWアメリカ戦争研究所は10月24日に新しいウクライナ戦況報告を発表、これによればロシア軍は10月21日にポクロフスク南東のセリダヴへ大規模な攻撃を加えたとしています。攻撃はセリダヴの北方と東方と南方から攻撃を加えたが、ウクライナ軍は攻撃を阻止することに成功したとのこと。

 セリダヴがこの時点でのポクロフスク周辺での激戦地となっており、ウクライナ軍はセリダヴへの攻撃を阻止するとともにセリダヴ北東のヴォロディフカ鉱山に構築されたロシア軍陣地へ攻撃を加え、これを奪還したという。他方でこの日ロシア軍はクレミンナ北西のノボサドベやシヴェルスク南東のヴィムカ近郊で前進したとのことです。

 ポクロフスクへの攻撃について、ロシア軍は優先度を高く設定しているとされ、ウクライナ軍報道官の発表としてセリダヴ周辺にロシア軍は予備選力を集中、ただ、装甲車両を投入する頻度は少なく、基本的に歩兵部隊による攻撃を行い、発見した防御のうすい地域に第二次攻撃として歩兵部隊を更に集中する運用を行っているという。

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【京都幕間旅情】寂光院,平家物語-変革と変容,クリエイターとアニメーター・AIとアニメーション,日本アニメーションの将来を考える

2024-10-30 20:24:56 | 写真
■古刹で考える未来
 未来への展望と云えば大阪関西万博なのかもしれませんがわたしはこういう古刹でこそ考えがまとまったりします。

 寂光院でここまでアニメーションについて考えるとは思わなかったのですが、素晴らしい毛氈と目の前に本堂、放火され再建されたというも尾ですが来年で本堂再建から20年という風月を経て質感が情緒を醸すように至った堂宇を前に、思想が広がる。

 POMERA,愛用していた100が遂に不具合を起こすようになり、買い置きのPOMER200を使い始めましたが、若干重く大きくはなったもののバッテリー駆動、数日に一回充電しますとほぼほぼ丸一日、執筆に活用してそん色ないという性能は気に入った。

 執筆という視座からは、ふと思ったときにどこか座るところがあれば長文を作成できてしまうのは嬉しいところ。まあ、長時間居座られては寺院の方にも迷惑かもしれないので、混雑してきますと当方も空気を読むことは吝かではないのだけれど、も。

 AIとアニメーション、これからはAI生成画とアニメーションの問題が、調和できるのか著作権の問題で対立するのか、という分水嶺が、そう遠くない将来、場合によっては次の政権交代くらいまでに深刻な問題として取り上げられるのではないか、と。

 画像生成、そう画像生成、結局現在の生成AIは既存の写真や絵画や作品などから人口学習して出力しているものなので、現時点で既に倒錯問題が生じている、恐らく古い作品で、AI学習利用を禁止する、と明示されていない作品や著作物が狙われる段階だ。

 JR西日本の車内広告に広告募集としてAI生成の写真や風景や、これは同じか、あとは水墨画などをそのまま張り付けていますが、あれはどこからか訴訟の対象とならないか、過払い金訴訟のように大手弁護士事務所の訴訟対象となるのは近いように思います。

 著作権、すると、今後考え得るのはキャラクターデザインをアニメーターが体系化して、いわばデジタルツインのように肖像権を持つキャラクターを一人ひとりアニメーター個人の人物、もしくは小説などの原作者が持ち、世界を形成するようなるのでは。

 街路や背景などは、これは京都アニメーションの現地取材方式ではないのだけれども、個々人が撮影した写真などをもとに人口学習させた、個々人にカスタマイズされたAI人口学習アルゴリズムを構築して、著作権上の問題を回避する時代となるのではないか。

 クリエイターとアニメーターの融合というような時代がそう遠くない時代に到来するのではないか、と思うのです。無論、大手アニメーター、というよりも中小を含めて、これでは存続できなくなるとして反対論が業界を揺るがすために一筋縄ではいかないが。

 声優さんの声を人口学習することについては、恐らく肖像権の延長線上に、近く法整備が必要になる、実際に声の人口学習を禁止する運動は始まっています故に。ただ、一作当たりの本人への出演料というかたちで妥協する可能性はあるのでは、とみている。

 業界団体をしっかりと構築する必要があるとは思うのですが、結局、一人で自己完結のアニメーション長編がAI生成により可能となるのは現実的に近いのではと思う。それは前述の通り、個人の投稿作品という形で、最初はグレーな扱いを受けるかもしれない。

 変革と変容、この背景には予算不足、いや予算は社会全体で一定程度あったとしても、その配分は多様化しているという実情からクリエイターに潤沢に回せない時代が来ています。その収斂と変容がどうなるのか、そんなことを古刹で、考えてしまいました。
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【京都幕間旅情】寂光院,平家物語-日本アニメの将来,平家物語のアニメーションは素晴らしかったのですが

2024-10-30 20:05:33 | 写真
■朱毛氈の上にて
 この寂光院探訪の際には未だ暑い日々であったのだけれども流石に大原までやってきますと若干ではあるがおんどは涼しく。

 寂光院、平家物語、アニメーション、と。最後少し飛躍したぞ、と思われるかもしれませんが実際、あのアニメーションの平家物語は記憶によく残るような名作であったと思いますし、寺務員さんの解説でもふと触れられ、所謂聖地巡礼というすがすがしさ。

 平家物語のアニメーションは素晴らしかったのですが、同時にこう言ったアニメーションは今後どのようになるのだろう、という、いわば担い手、アニメーターと技術の進歩について思うのです。朱毛氈の上にゆったり腰かけながらふと考えてしまった。

 特撮、日本のお家芸というべき映画技法はかなりのぶぶんCGにとってかわられたように思う、実際問題特撮の新作はテレビでは逸翁は造られているのだけれども低予算が響いていて、これは1974年オイルショックの景気後退の時機と比べてもかなり厳しい。

 映画という視点では特撮は、ほぼほぼ、昔であれば特撮が用いられた部分でもCGが用いられ、いや原点回帰として特撮は実物を用意できなかった際の代用であったのだからCGはそれこそ特撮の正統進化では無いのか、と言われるかもしれませんけれども。

 特撮は費用が掛かる、とはいわれるところ。ただ、CGも安価なのか、と問われますと、例えばシン・ゴジラなどは実質ゴジラが動く様子は17分間であったといい、質感を求めれば求めるほどCGも費用が掛かってしまう事もまた現実のようでして。

 CGも費用が掛かる、けれども将来的にAI描写によりCGの費用の掛かる部分はかなり解消されてゆくのかもしれないが、現実問題として大画面で再生するには、やはり資金力がものをいう、と、資金力で特撮草創期の日米映画資金力の話に戻ってしまう。

 蒼き鋼のアルペジオ、CGを大胆に使ったアニメーションとしてはあの作品がテレビでは草創期になるのか、無論前にもいくつかはあるのですが一応の成功を見たのはテレビアニメーションではあの作品、映画となりますと、アップルシード、なのかなあ。

 アップルシードから蒼き鋼のアルペジオ、思い起こせばこれもCGといいますかポリゴンの制作費用が提言した事で劇場映画でなくともTVアニメーションの予算でCGが使えるようになったのか、と。背景の写真からの転用は、雲の向こう約束の場所、か。

 予算になるのか、こう結論付けるのは早計かもしれないのですけれども、雲の向こう約束の場所、は写真を画像に起こす技法でキャラクター描写にアニメーターさんが、あの場合は監督さんほとんど一人でやったとも当時聞きましたが、予算を抑えた構図で。

 風立ちぬ。対極にあるのが背景をすべて手書きで頑張った、ほぼほぼ美術作品のような背景で形成されているスタジオジブリの作品なのですが、美術品は量産が利かない、一作制作するのに時間も費用もかかり、一本転ぶと大変なことになってしまうという。

 AI生成の作画によるアニメーションが主流になるのも、また時間の問題なのかなあ、と予算面で日本のアニメーションが潤沢ではない実情を背景にこう、思ってしまうのですね。勿論、大手であれば、いや中小零細もストなどで声を上げるのは必至でしょうが。

 インディーズ作品でAI生成画によるアニメーションがまず怪物のような作品が出てくるのだろう、例えばあの月姫、のような作品がいきなり静止画ノベルゲームではなくアニメーション作品で出てしまうような、そんなところから変容が始まる、気がするのだ。

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ウクライナ情勢-ウクライナでは秋の泥濘期が始まった,泥濘期を前にしたロシア軍機械化部隊動向

2024-10-30 07:00:12 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 不整地突破能力を考えると機械化部隊の重要性が。

 ウクライナでは秋の泥濘期が始まった、ISWSアメリカ戦争研究所は10月18日付ウクライナ戦況報告において、ロシア軍はウクライナ国内での秋の泥濘期が始まったとの報告を挙げていると戦況分析に記載しました。ウクライナでは冬はバケツ一杯の水がスプーン一杯の泥を生み、夏はスプーン一杯の水がバケツ一杯の泥を生むといいます。

 泥濘期は真夏の乾燥した期間ではなく、春と秋に訪れており、逆に冬には地面が凍結します。泥濘とは、戦車を含めた装軌車両さえ通行が困難と成程、運用に支障をきたし、機械化部隊の機動を阻害するとともに兵站線も麻痺させ、攻撃を行う側には非常に不利となります。また近年は気候変動により冬季にも泥濘期が続くことが確認されています。■

 泥濘期を前にしたロシア軍機械化部隊動向についてISWSアメリカ戦争研究所は10月18日付ウクライナ戦況報告において、コスティヤンチニフカ付近で大隊規模の、マクシミリャニフカ付近で大隊規模、セリドブ近郊で中隊規模、クラホフ方面で複数の中隊規模という攻撃を実施しているとのこと。これらの地域の多くはドネツク市近郊にある。

 ウクライナ国家警備隊のムジチュク報道官によれば秋の泥濘地を前にロシア軍は機械化部隊による攻撃を強化しているとのこと。具体的にはポクロフスク放免とクラホフ方面において歩兵突撃の支援に装甲車を投入する事例が増えているものの、ウクライナ軍は対戦車火力や無人機を集中しこれら装甲車両にこうか的な打撃を与えているとのこと。■

 10月16日0404時キエフ発共同通信電によればロシア軍は北朝鮮兵3000名規模の部隊を編成しているとのこと。ウクライナ情報機関筋として15日にこれら北朝鮮兵がウクライナ国境に接するロシア西部クルスク州およびブリャンスク州で確認されたとのこと、現時点で戦闘任務に就いているかどうかについては不明としています。

 ゼレンスキー大統領はこの北朝鮮軍に関する問題について14日の声明で触れており、ロシアによる侵攻に北朝鮮が実際に関与している、と発言しています。関与については従来、法案の供給が主なものとなっていましたが、此処に人員の派遣という踏み込んだ軍事行動が為されるようになった構図です。

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【防衛情報】アメリカ国防総省三沢基地へF-35戦闘機48機前方展開決定と嘉手納基地F-15C戦闘機後継にF-15FX戦闘爆撃機前方展開

2024-10-29 20:01:31 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は先ず在日米軍の話題から。

 アメリカ国防総省は三沢基地へF-35戦闘機48機の前方展開を決定しました。インド太平洋地域でのF-35A戦闘機前方展開は初の事となり、在日米軍航空戦力近代化の一環とされています。増強ではなく、現在三沢基地第35戦術航空団に配備されているF-16戦闘機2個飛行隊の代替と位置付けられ、これにより日本のF-16飛行隊はなくなります。

 三沢基地は航空自衛隊が約40機のF-35戦闘機を配備しているため、アメリカ空軍のF-35戦闘機と併せて約80機のF-35戦闘機が揃う事となります。これはF-2戦闘機と現行のF-16戦闘機と併せて、F-16っぽい形状の戦闘機が80機揃っていた時代とともに、E-2C早期警戒機、E-2D早期警戒機配備を加えれば北東アジア最大規模の戦略拠点となる。

 北部航空方面隊司令部も置かれている基地ですので、有事の際には最大規模の高付加活目標となり、今後日米は三沢基地へペトリオットミサイルなどの弾薬増強に加え、アメリカ陸軍THAADミサイル部隊展開を含めた防空能力強化や三沢基地周辺の代替滑走路建設といった三沢基地の防衛強化を課題としてゆく必要があるのかもしれません。■

 アメリカ国防総省は嘉手納基地のF-15C戦闘機後継にF-15FX戦闘爆撃機の前方展開を決定しました。アメリカ国防総省の発表ではF-15C戦闘機48機の後継にF-15FX戦闘爆撃機を36機配備するとしています。ただ既にF-15Cは老朽化のために2022年より順次アメリカ本土に移動し用途廃止になっているため、現在はローテーション配備という。

 F-15EX戦闘爆撃機36機の配備について、これは2022年以降バイデン政権が進めた、沖縄に常駐戦闘機を置かないローテーション配備方式として、嘉手納の第18航空団を事実上フォースユーザー方式とし、状況次第では戦闘機部隊が皆無となる危険な状態から、第18航空団隷下に飛行隊を常時配備するトランプ政権時代まで戻すということ。

 F-15C戦闘機の本土撤収後は一時的にF-22戦闘機が前方展開しポテンシャルを強化場合もあればローテーション配備部隊がF-16戦闘機と従来よりも制空能力が低下する場合もありました。なお、48機から36機というのは飛行隊定数が24機から18機となるもので、配備される飛行隊定数は2005年の3個飛行隊から2個となって以降変わりません。■

 アメリカのノースロップグラマン社は日本の三菱電機との間でMOU包括協力覚書に署名しました。両社の関係は海上自衛隊がグラマンアベンジャー対潜哨戒機を導入した際の技術協力から始まり、S-2トラッカー対潜哨戒機の導入により協力は一段階広がるとともに、航空自衛隊がE-2C早期警戒機を導入すると一層その協力は強化された。

 ノースロップグラマン社は陸上自衛隊のロングボウアパッチ用ロングボウレーダーや海上自衛隊のMCH-101掃海輸送ヘリコプター用ALMDS-AQS-24Aレーザー機雷探知システム機雷探知ソナー、航空自衛隊F-35戦闘機主要部分とE-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機などを担当しており、これらの分野での協力やていけいなどをめざします。■

 サウジアラビア空軍はA-330-MRTT空中給油輸送機4機を増強します。サウジアラビアのGAMIサウジアラビア軍事産業総局は2024年1月にエアバス社との間でIP産業参画契約を締結しており、サウジアラビア地域の産業開発支援をエアバス社が支援する方針を画定していて、今回のA-330-MRTT空中給油輸送機導入はその一環という。

 A-330-MRTT空中給油輸送機はエアバスA-330型旅客機を原型とし、その高い稼働率と旅客機どかわらない運用費用などから2024年7月1日までに60機が各国軍隊に採用され、納入待ちの機体を含めると世界15か国が採用しています。これはアメリカ製空中給油機を除けば最も人く採用されている空中給油輸送機となっています。■

 イタリア空軍はECRC-Mk2レーダー搭載ユーロファイター戦闘機を増強します、イタリア空軍はこのユーロファイターをF-2000戦闘機と命名しており、今回新たに24機を増強することとなりました。イタリア空軍はユーロファイター戦闘機国際共同開発に参加していますが、今回は老朽化した初期のトランシェ1を置き換えることとなる。

 ユーロファイター戦闘機とユーロファイター戦闘機で置き換えるというのは不思議な印象ですが、クロゼット国防大臣のイタリア議会提出書簡によりその計画が明らかとなりました。AESA方式のキャプチャーMk2レーダーを搭載するとともにミッションコンピュータも新型に改良、またコックピット部分もLAD大型ディスプレイとなっています。■

 アメリカのロッキードマーティン社は戦闘機用AI人工知能開発契約を獲得しました、今回の契約金額は460万ドル研究はアメリカ国防総省のDARPA国防高等研究計画局が発注したもので、空中任務における人工知能開発は機械学習によるBVR視程外戦闘や海洋監視任務などにおける複数情報包括処理などに寄与するとされています。

 F-35戦闘機を筆頭に現在の戦闘機はほぼすべて単座型戦闘機となっていますが、無人僚機など戦闘機操縦士の必要な装備運用などは複雑化する過程にあり、かつて1950年代後半のように一人の操縦士には手に負えないものが形成されつつあります、今回は複座型戦闘機を開発するのではなく、AIにより操縦士を支援するのが今回の目的です。■

 イスラエル政府は最大規模のストライクイーグル取得計画を認可された、アメリカ政府へ要請していたF-15IAストライクイーグル50機の調達について、アメリカ国務省国防安全保障協力局がその有償供与を認可したと発表しました、今回の契約規模は188億2000万ドルという膨大な規模であり、苦境にあえぐボーイング社としては干天の慈雨といえる。

 F-15IAストライクイーグル50機のほか、既存のF-15IストライクイーグルのミッドライフアップグレードMLU改修キット25機分、またF-110-GE-129エンジン120基とLAU-128Aミサイル発射架320基が188億2000万ドルの主要な内訳とのこと。ボーイング社によればF-15IAは改修ではなく新造機となり、機体の納入は2029年からとのこと。

 ボーイング社はボーイング737最新型の不具合による連続墜落事故発生と、アメリカ航空運輸当局の型式証明取り消しにより大幅な赤字に陥っており、新造機製造停止とともに各国に輸出した機体の長期運用不能により旅客機市場でエアバスに需要を明け渡す構図となっていますが、買収したマクダネスダグラス社のF-15が会社を救った構図です。■

 セルビア空軍は次期戦闘機としてフランスのラファール戦闘機採用を正式に決定しました。今回導入されるのは12機で単座型9機と複座型3機を導入するという、計画では2029年までに納入を完了するとのこと。1997年のコソボ空爆という歴史はありましたが、セルビアへのラファール採用はセルビアの民主化と空軍の抜本強化を意味するでしょう。

 ラファール戦闘機は2023年と2024年に宮崎県の新田原基地と茨城県の百里基地へ展開し日仏共同訓練を実施したことで知られていますが、近年採用国が増加していることも注目すべき点で、フランス空軍と海軍に192機、クロアチアやエジプトとギリシャやインド、インドネシアにカタールとアラブ首長国連邦へ261機の輸出が成立しています。■

 タイ空軍のT-50高等練習機導入計画が完了しました。タイ空軍はF-16A/B戦闘機50機とスウェーデン製JAS-39戦闘機11機、そしてかなり旧式化が進んでいますがF-5E/F軽戦闘機34機を空軍の主力としています。これらの操縦士を養成し、かつ有事の際の支援戦闘機としてタイは韓国からT-50高等練習機14機にかんする導入契約を結んでいました。

 T-50練習機のなかでタイ空軍が導入したものはT-50THとよばれており、その納入は2018年に最初の4機が引き渡されています、今回最後となる13号機と14号機が引き渡され納入計画は完了しています。タイ空軍ではF-5軽戦闘機とともにF-16A戦闘機も初期型で老朽化が進んでおりJAS-39戦闘機増強が模索されていますが、FA-50も候補となるでしょう。■

 アメリカ空軍はクイックシンク対艦爆撃訓練を実施しました。戦闘機に搭載した爆弾による対艦攻撃は第二次大戦的な発想ですが低コストとして再注目されている。空軍の打撃力強化の一環としてその能力構築が進められていましたが、今回実施されたのはリムパック環太平洋合同演習において、退役した強襲揚陸艦タラワがその標的となっています。

 タラワに対して投射されたのは2000ポンド爆弾、戦闘機に搭載される通常爆弾としては最大規模のものですが、舷側付近に着弾した爆弾はそのまま艦底付近で遅発信管が作動、爆発し船体に致命的な威力を与え撃沈に至ったとのこと。タラワは満載排水量32000t規模の強襲揚陸艦で、この威力は075型強襲揚陸艦程度ならば撃沈できることを証明しました。■

 インド軍は滑空爆弾の開発に成功したもよう。インド国営放送が報じたところによれば、戦闘爆撃機から投射するインド国産滑空爆弾の評価試験に成功したとのことで、試験にはインド空軍のSu-30戦闘機が参加、滑空爆弾は弾体上部に折りたたみ翼を装着した重量1tというもので、高高度から投射され100kmを滑空し目標に命中したとしています。

 滑空爆弾はJSOW/GPS誘導爆弾のような付随被害を局限する小型のものが元来主流でしたが、ロシアウクライナ戦争ではロシア空軍がウクライナにおいて重量3tの滑空爆弾を陣地攻撃に多用し大きな戦果を上げています。付随被害の極限よりも、一発で陣地を大規模な破壊により無力化させるという有効性が確認され、滑空爆弾の大型化が進んでいる。

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ウクライナ情勢-北朝鮮人民軍部隊参戦による拡大懸念とロシア軍9月一日平均死傷者数1271名

2024-10-29 07:00:29 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 日本国内は衆院選による連立与党過半数割れが大騒ぎとなっていますが世界を視ますと戦争が北半球全域に飛び火する懸念がでてきました。

 北朝鮮の朝鮮人民軍兵士がロシア国内へ到着しているとの報道がつづいており、今年夏ごろに懸念されていた人民軍工兵旅団部隊の派遣という情報は、現段階では人員規模で師団規模の部隊が展開する、旅団規模の部隊が既にクルスク州に展開しているなど、人民軍派遣の可能性という範疇を超えて具体的な展開規模が報道されるようになっています。

 人民軍部隊派遣は第三次世界大戦へこのロシアウクライナ戦争が拡大する懸念に直結している、これはウクライナのゼレンスキー大統領が発言している視座ですが、この懸念の背景には、ロシア軍が北朝鮮軍兵士の大規模派遣を受ける見返りにどのような北朝鮮への支援が有り得るのか、という事です。北朝鮮は核弾頭の小型化技術を必要としている。

 ロシアと北朝鮮の関係強化は、例えば将来、北朝鮮が韓国に対して軍事行動を行う際のロシアによる支援を確約するという可能性もありますし、北朝鮮軍が決定的に遅れている航空戦力、ロシアがイランからの無人機供与の見返りにSu-30戦闘機を供与したような、軍事援助という可能性もあります。戦争はこのように、大きな転換点を迎えつつある。

 ロシア軍は9月における一日平均の死傷者数が1271名に達している、イギリス国防省10月7日付ウクライナ戦況報告によれば、これは過去最大であった5月の1262名を上回ったとのことです、この背景にはハリコフ戦線とクルスク戦線の状況が激化していることなどをイギリス国防省は分析、またこの状況が今年いっぱい続くとも分析しています。

 徒歩機動がロシア軍の基本戦術となっているもよう。このために冬期が到来しますと地面が氷結することで戦車の機動が容易になる季節が到来しても、徒歩攻撃ではこの恩恵にあずかることはできず、機動戦なども成立しないのではないかとみています。この結果、ロシア軍死傷者数は既に64万8000名以上にたっしていると分析を示しました。

 縦深防御によりウクライナ軍はロシア軍に出血を強要していますが、逆にロシア軍は大量の人員を損耗にこだわることなく投入することでウクライナ軍へ圧力をかけ続けていると分析しているため、ウクライナ軍の疲弊をはかるために、攻撃衝力を使い果たした後であってもロシア軍は同じ攻撃と大量損耗を重ね続けている状況でしょう。

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【防衛情報】たいげい型潜水艦9番艦,潜水艦発射型誘導弾の取得と水中垂直発射装置,長期運用型UUVの研究

2024-10-28 20:24:04 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は日本の潜水艦の話題を中心に。

 防衛省は潜水艦発射型誘導弾の取得を行います。これは現在のハープーン対艦ミサイルを置き換えるべく来年度予算概算要求に盛り込まれたもので、先行して進められている潜水艦発射型誘導弾の開発に続いて進められているもの。潜水艦発射誘導弾の開発にはさらに22億円が計上され、ここに誘導弾本体部分の調達費用が30億円要求されています。

 潜水艦発射誘導弾は前述の通りハープーンミサイルが現在使用されていますが、ハープーンミサイルそのものはブロック1CのUGM-84Dミサイルが開発されていますが射程は140kmでしかなく、空対艦型のAGM-84Fブロック1Dのような射程315kmと比較しますと見劣りします。ただ、潜水艦発射対艦ミサイルはこれまで重視されてこなかった事情が。

 ハープーンミサイルの射程であれば、発射した瞬間に潜水艦の位置が確実に探知され、対潜掃討部隊が殺到することとなるのは間違いありません。もっとも、訓練ではハープーンを巧く運用し打撃判定を勝ち取った事例はあります。新型の潜水艦発射型誘導弾は目標迂回能力など、打撃力に加え潜水艦の生存性と隠密正に配慮した装備となるのでしょう。■

 水中垂直発射装置として防衛省は潜水艦からのミサイル発射能力を許可する研究開発を開始します。このために来年度防衛予算概算要求には300億円が盛り込まれることとなりました。予算は共通基盤としてのスタンドオフ防衛能力整備の一項目として明示され、その目的として発射プラットフォームのさらなる多様化と水中優勢確保があげられていた。

 VLSとして既に海上自衛隊にはMk41とMk56という垂直発射装置が実用化されていますが、いずれも護衛艦の水上発射用であり、潜水艦からミサイルを発射する場合はカプセル式発射筒を魚雷発射管から発射する方式を用いていました。防衛省が添付したイメージ図によれば、潜航中の潜水艦が船体後部から水上に発射するイメージが示されていました。

 潜水艦に搭載するべく、VLSそのものは耐圧殻とともに実用化されるとのこと。VLSはアメリカ海軍が既にVPMヴァージニアイペイロードモジュールとしてヴァージニア級攻撃型原潜に搭載するトマホークミサイル用VLSを実用化していますがこうしたものを導入はせず、独自開発となるもよう。同様の装備は韓国海軍も独自開発し運用しています。■

 たいげい型潜水艦9番艦の予算が概算要求に盛り込まれました。たいげい型潜水艦はリチウムイオン電池を動力源として採用した最新鋭潜水艦で、AIP方式潜水艦である潜水艦そうりゅう型の11番艦と12番艦がAIP区画を廃止しそのままリチウムイオン電池区画として完成させていますが、たいげい型はリチウムイオン電池に特化した設計をとりました。

 1161億円、特筆すべきは建造費が拡大しているところで、1番艦の建造費は800億円となっています、これはCOVID-19新型コロナウィルス感染症とその拡大からの復興過程で発生した世界規模の資源不足にともなう物資高騰とインフレが影響しているといえるでしょう。円安については国内建造されることで影響は局限されているといえるのかもしれない。

 たいげい型潜水艦は1番艦たいげい2022年竣工とともに、2番艦はくげい、3番艦じんげい、が竣工しますと、たいげい運用は第1潜水隊群第1潜水隊から試験潜水艦を運用する潜水艦隊第11潜水隊に区分変更がなされていて、リチウムイオン電池の採用により短時間での急速充電や高出力の発揮と電力の余裕が生まれ、潜水艦運用を転換しつつあります。■

 長期運用型UUVの研究が本格化します。UUVとはアンマンドアンダーウォーターヴィーグルの略称です。防衛省は新しい防衛力整備の一環として無人アセット防衛能力の整備を進めておりこの一環として陸海空に加え水中の無人機運用能力を整備しています。水中無人機そのものについては防衛装備庁が技術研究本部時代から実施している装備ではある。 

 深海巡航探査機うらしま、としてJAMSTECが既に高度な水中無人機を1998年に実用している実績があり、この分野で我が国は先進的な地位を維持していて、UUVについては既に船体部分、長期運用西する装備が開発されていますが、具体的には任務遂行能力向上のための各種センサー開発で来年度予算概算要求には費用として14億円が要求されています。

 うらしま、性能を参考に上げますと水中800mまで317kmにわたり56時間の試験を成功させたのが2005年であり、電波の通らない水中での自律航行能力は無人航空機以上の難しさがあるとされています。うらしま、そのものは海洋研究開発機構の装備となっていますが、海上自衛隊では複数のUUVによる対潜警戒と潜水艦の支援能力を期待しています。

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ウクライナ情勢-S-70オホトーニク無人機ウクライナ上空で喪失,ロシア軍ポクロフスク周辺で5個師団分の装備喪失

2024-10-28 07:01:43 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 日本の感覚ではなかなか信じられない。

 ロシア軍はポクロフスク周辺で5個師団分の装備を喪失した、ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告10月6日付発表によれば、これは破壊の様子を客観的に確認できるオープンソースからロシア軍損耗を計算している民間有志のよる計算で、これらが完全充足のロシア軍師団5個分にあたる戦車や装甲車を喪失したと画像から分析したもの。

 戦車539両と装甲車両1020両を喪失したとしています。一般的に戦車は破壊された場合でも修理可能なものが多く、戦車回収車により後方に搬送することで比較的短期間で修理が可能ですが、弾薬庫に誘爆し砲塔部分が吹き飛ぶような損耗を受けますと、まず電装品などのかんそうだけでは復帰できませんが、この損耗は回収されないものが中心という。

 5個師団分の装備喪失について、ロシア軍は戦車や装甲車の大きな損害と引き換えに戦術的前進を継続しようとしている結果であるとISWは分析していますが、これは同時にソ連時代に大量に備蓄された戦車や装甲車などの資産を大量消費していることに他ならず、今後数ヶ月のうちに使い果たす可能性が高くなっていることを、ISWは指摘しています。■

 ロシア軍のS-70オホトーニク無人機がウクライナ上空で喪失しました。イギリス国防省ウクライナ戦況報告10月15日付発表によれば、10月5日にウクライナ上空で喪失したとしています。ロシア側の運用状況を分析した結果、ウクライナ防空システムにより撃墜されたのでは無く、制御不能となったためロシア側により意図的に撃墜されたという。

 S-70オホトーニク無人機はロシアのスホーイ社が開発した戦闘用無人機でありステルス設計となっていて、ロシア側の過去の説明ではSu-57戦闘機、ロシア空軍が独自開発したステルス戦闘機とともに運用されるとのことでしたが、今回S-70を撃墜したのがどの航空機で会ったかについては判別されていません。

 S-70無人機は過去10年間にわたりアクチュビンスク空軍基地において試験飛行が行われてきました。なお、撃墜されたS-70についてはウクライナ側に残骸が回収されています。高度なステルス設計とともに戦闘用無人機として開発された無人機が、破壊されたとはいえその部品すべてをウクライナに回収された現実は後々影響しましょう。

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【G3X撮影速報】岐阜基地日常風景2024夏(2),飛実団銀色のC-1FTBフライトテストベットの発着(2024-09-12)

2024-10-27 20:24:52 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■銀色のC-1FTB
 銀色のC-1FTBを撮影した話題を。

 C-1FTB,もう目の前に降りてきました、銀色の、いや原色の、C-1輸送機がおりてきた。この構図を撮影できるというのが岐阜基地の強みと思う。いや、まあ、小牧基地でも歩道橋の上で撮影していますとこういう構図になってくれるのですけれどもね。

 C-1輸送機は、沖縄返還前の設計と要求仕様であるために航続距離が異常に短く、その分を速度と機動性とSTOL性能に全ふりした、日本らしい輸送機です。もっとも、製造数が大幅削減されて31機にとどまった、というのもC-2輸送機と重なるのだが。

 F-15戦闘機が旋回して着陸へ向かう。岐阜基地は戦闘機も配備されている基地ですので、輸送機が轟音とともに頭上を通過したその直後にもう一度いきなり戦闘機がかんだかい金属音を響かせて高速で着陸してゆく、というのも日常風景だったりするのです。

 夏空と夏雲がもくもくと聳える残暑というには厳しい風景の岐阜基地、その先の風景へF-15の機影が溶け込んでゆく。岐阜基地は旋回する先に岐阜市の市街地がひろがり、周りには各務原市も犬山市もならんでいるのですが、その上を轟音をひびかせつつ。

 F-2戦闘機の着陸だ。え、F-15どうなったの、と思われるでしょうが試験飛行でF-15とF-2が連続して離陸していたのですね。戦闘機の数だけでみれば、小松基地、北陸の基地の方が多く飛行する回数も多い、が、機種は多いし、まわりで食事できるところも。

 飛行開発実験団のF-2戦闘機、この着陸の構図も凄く好いのですが、例えば三井山という基地の西側に聳える小山の山頂に陣取りますと、離陸の際に目の前を上昇し、タッチアンドゴーの際には目の前で旋回して迫力ある構図を撮影できたりして、たのしい。

 三菱重工のF-2,制空戦闘が第一の航空自衛隊では異端児のような扱いという戦闘機なのですが、石破防衛庁長官時代に生産中断が発表され、繋ぎのライセンス生産なども行われなかったので、そこで日本の戦闘機製造が中断してしまったのは残念のひとこと。

 ラファール戦闘機、フランスなどはラファールF2、ラファールF3、ラファールF3.1、ラファールF4と改良を、とにかく戦闘機を生産し続けている。偵察機とか電子戦機とか飛行隊定数を増強するとか、F-2後継機が具体化するまで生産を継続すべきであったなあ。

 夏雲と夏空とF-2戦闘機、ちょっと逆光気味で雲の迫力とかもちょっとなあとおもいつつ、できれば積乱雲とかといっしょに構図を決めたかったけれども、積乱雲が迫ってくる状況となると、落雷とかで怖いことになりますので贅沢を言ってはいけない。

 有事の際の予備というものを考えると、定数ギリギリで稼働率次第という日本の防衛力整備は、ほんとうに戦争を考えているのか、そもそも政治は、自衛隊では無く政治は、与党も野党も、どういった戦争を、軍事戦略でアジアを生き延びるつもりなのか、とね。

 稼働率という面から戦闘機を見ますと、小野寺防衛大臣時代に共食い整備など、冷戦時代には稼働率95%とまで言われた航空自衛隊の即応体制がいまもう見る影も無い、という状況であったため、補正予算で動かせるよう予備部品の予算が組まれた事を思い出す。

 ヒコーキカッケー、というような単純に被写体として防衛装備品を見るのでは無く、これをどのように運用して必要な任務を果たすのか、という視点まで踏み込んでいますと、大丈夫なのかなあ、という素朴な懸念がふっと浮かぶのですが、ね。

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