海沿いに出て歩いていくと、平戸交流広場があった。ここで市内のパンフレットをいただく。
その先はまだ観光地があるが、ここで引き返す。山側に行けば平戸ザビエル記念教会や「寺院と教会の見える風景」があるが、どちらも数年前に訪れているので、再訪しない。
もっともそれだと平戸に来た意味が薄れるが、松浦鉄道に乗り、鉄印状がいただけることで、十分釣り合いは取れていると考える。
平戸新町バス停の近くに「めしどころ一楽」なる食堂があったので、昼食に入る。注文は平戸ちゃんぽんだ(770円)。
平戸ちゃんぽんは野菜が多く、食べ応えがあり、とても美味かった。旅人に十分オススメできる食事処である。
12時12分の平戸口経由・佐世保行きバスに乗った。平戸大橋を通り、平戸口桟橋着。近くに瀬戸市場があるのでよほど降りようかと思ったが、先を急ぐ。
ところがこのバスが、平戸大橋へ戻り、その脇を抜けてあらぬ方向へ行くので驚いた。佐世保方面に行くのだ。平戸口経由とあったからてっきりたびら平戸口駅を通ると思ったのだが、平戸口とはこの辺のことをいうのだった。
私は北小学校入口で降車する。若干回り道をしたが、傷は浅かった。
とりえず、平戸大橋の全景を撮った。駅まで直行していたら、目にできなかった光景である。
ついでに平戸瀬戸市場にも入る。だが、にぎりの類は売っていなかった。もう、その時間帯は過ぎてしまったのだろうか。
魚売り場に行ったが、魚もあまり並んでいない。今朝は時化につき、水揚げが悪かったらしい。結局、何も買わなかった。
駅に向かう道すがら、「長崎カステラ」と大書してある洋菓子屋があったので、ここでカステラを買った。いつもは有名メーカーのそれを買うが、たまには自営の店で買うのもよい。そして、味も大手と遜色ないと信じた。
たびら平戸口駅に戻り、鉄印帳(2,200円)を買う。そして松浦鉄道の鉄印も所望した。
この鉄印状の巧妙なところは、ご朱印状を真似て、有料(300円)にしたことだ。
たとえばJRだったら、遥か昔から無料の駅スタンプがあった。スタンプ帳は500円程度で売られていたが、それは市販のメモ帳でも事足りた。
ただ無料がゆえに有難味もなかった。鉄印状はそこを逆手に取り、有料にした。そこに有難味が生じ、ヒット企画となったのである。
しかもこの鉄印状取得には、もうひとつ条件がある。すなわち、この路線の切符を提示しなければならないのだ。
釧網本線・北浜駅、指宿枕崎線・西大山駅など、駅そのものに特徴がある駅は、クルマで来てそのまま帰る観光客も多い。でもそれでは鉄道会社が儲からない。そこで切符購入を条件としたのは、いいアイデアだと思った。
あ! それで入場券か⁉ これを購入すれば、鉄印状がもらえる権利を得るのかもしれない。
もっとも私も、入場券を買った。てっきり「西浦ありさ」がデザインされていると思いきや、武骨な硬券そのものだった。
鉄印は、路線1つにつき1種類のようで、その点はよかった。ただ、紙片で支給された。つまり、帳面に直接揮毫はしなかった。神社のように書の専門家はいないし、この措置は仕方がない。
ただ、路線すべてがこの手法だと、鉄印帳が分厚くなってしまう。
次の列車は13時48分。かなり時間があるので、駅構内をぶらぶらする。改札脇でも本格的ちゃんぽんを供する店が営業していたが、さすがにもう入らない。
駅舎の外では猫の鳴き声がする。見てみると、ジュースの自動販売機の奥にある物置の下の隙間を根城にしているようだった。今回の旅では猫がキーワードのようだ。
列車に乗る。乗客は数人で、この中途半端な時期と時間、コロナ禍もあるが、旅行する人は少ないのだろう。
15時55分、伊万里に着いた。ここでは1時間ないし2時間が持ち時間となる。私は隣接の観光案内所でパンフレットをもらい、とりあえず北へ向かった。川沿いには、昔は味のある家々が建っていたようだ。でも、現在はその面影はほとんどない。
川を越えて東に行くと、伊萬里神社があった。入口に龍宮城を思わせる楼門があり、急な階段を登ると、こぢんまりした社殿があった。5円を投じ、いままでの愚行を吐露する。
社務所に戻り、ご朱印を所望しようとしたが、人がいなかったうえ、紙のご朱印は提供していない、の注意書きがあり、今回は諦めた。
もう博多に行こう。幸橋という、平戸にもあった名前の橋を渡り、駅に向かう。その途中、お茶屋があった。旅先では時々お茶を買う。伊万里茶もよかろうと購入しようと思ったが、ずいぶん人が来ている。
店の横は5~6台が駐まれる駐車場になっているが、そんなにこのお茶屋は大きいか? 見たところ、ふつうの一軒家だ。
だが駐車場はこちら側一帯にもあり、しかもかなりのクルマが駐車している。ご丁寧に警備員までおり、クルマを誘導していた。
なんなんだここは。あっ! これは、まさか……!?
(つづく)
その先はまだ観光地があるが、ここで引き返す。山側に行けば平戸ザビエル記念教会や「寺院と教会の見える風景」があるが、どちらも数年前に訪れているので、再訪しない。
もっともそれだと平戸に来た意味が薄れるが、松浦鉄道に乗り、鉄印状がいただけることで、十分釣り合いは取れていると考える。
平戸新町バス停の近くに「めしどころ一楽」なる食堂があったので、昼食に入る。注文は平戸ちゃんぽんだ(770円)。
平戸ちゃんぽんは野菜が多く、食べ応えがあり、とても美味かった。旅人に十分オススメできる食事処である。
12時12分の平戸口経由・佐世保行きバスに乗った。平戸大橋を通り、平戸口桟橋着。近くに瀬戸市場があるのでよほど降りようかと思ったが、先を急ぐ。
ところがこのバスが、平戸大橋へ戻り、その脇を抜けてあらぬ方向へ行くので驚いた。佐世保方面に行くのだ。平戸口経由とあったからてっきりたびら平戸口駅を通ると思ったのだが、平戸口とはこの辺のことをいうのだった。
私は北小学校入口で降車する。若干回り道をしたが、傷は浅かった。
とりえず、平戸大橋の全景を撮った。駅まで直行していたら、目にできなかった光景である。
ついでに平戸瀬戸市場にも入る。だが、にぎりの類は売っていなかった。もう、その時間帯は過ぎてしまったのだろうか。
魚売り場に行ったが、魚もあまり並んでいない。今朝は時化につき、水揚げが悪かったらしい。結局、何も買わなかった。
駅に向かう道すがら、「長崎カステラ」と大書してある洋菓子屋があったので、ここでカステラを買った。いつもは有名メーカーのそれを買うが、たまには自営の店で買うのもよい。そして、味も大手と遜色ないと信じた。
たびら平戸口駅に戻り、鉄印帳(2,200円)を買う。そして松浦鉄道の鉄印も所望した。
この鉄印状の巧妙なところは、ご朱印状を真似て、有料(300円)にしたことだ。
たとえばJRだったら、遥か昔から無料の駅スタンプがあった。スタンプ帳は500円程度で売られていたが、それは市販のメモ帳でも事足りた。
ただ無料がゆえに有難味もなかった。鉄印状はそこを逆手に取り、有料にした。そこに有難味が生じ、ヒット企画となったのである。
しかもこの鉄印状取得には、もうひとつ条件がある。すなわち、この路線の切符を提示しなければならないのだ。
釧網本線・北浜駅、指宿枕崎線・西大山駅など、駅そのものに特徴がある駅は、クルマで来てそのまま帰る観光客も多い。でもそれでは鉄道会社が儲からない。そこで切符購入を条件としたのは、いいアイデアだと思った。
あ! それで入場券か⁉ これを購入すれば、鉄印状がもらえる権利を得るのかもしれない。
もっとも私も、入場券を買った。てっきり「西浦ありさ」がデザインされていると思いきや、武骨な硬券そのものだった。
鉄印は、路線1つにつき1種類のようで、その点はよかった。ただ、紙片で支給された。つまり、帳面に直接揮毫はしなかった。神社のように書の専門家はいないし、この措置は仕方がない。
ただ、路線すべてがこの手法だと、鉄印帳が分厚くなってしまう。
次の列車は13時48分。かなり時間があるので、駅構内をぶらぶらする。改札脇でも本格的ちゃんぽんを供する店が営業していたが、さすがにもう入らない。
駅舎の外では猫の鳴き声がする。見てみると、ジュースの自動販売機の奥にある物置の下の隙間を根城にしているようだった。今回の旅では猫がキーワードのようだ。
列車に乗る。乗客は数人で、この中途半端な時期と時間、コロナ禍もあるが、旅行する人は少ないのだろう。
15時55分、伊万里に着いた。ここでは1時間ないし2時間が持ち時間となる。私は隣接の観光案内所でパンフレットをもらい、とりあえず北へ向かった。川沿いには、昔は味のある家々が建っていたようだ。でも、現在はその面影はほとんどない。
川を越えて東に行くと、伊萬里神社があった。入口に龍宮城を思わせる楼門があり、急な階段を登ると、こぢんまりした社殿があった。5円を投じ、いままでの愚行を吐露する。
社務所に戻り、ご朱印を所望しようとしたが、人がいなかったうえ、紙のご朱印は提供していない、の注意書きがあり、今回は諦めた。
もう博多に行こう。幸橋という、平戸にもあった名前の橋を渡り、駅に向かう。その途中、お茶屋があった。旅先では時々お茶を買う。伊万里茶もよかろうと購入しようと思ったが、ずいぶん人が来ている。
店の横は5~6台が駐まれる駐車場になっているが、そんなにこのお茶屋は大きいか? 見たところ、ふつうの一軒家だ。
だが駐車場はこちら側一帯にもあり、しかもかなりのクルマが駐車している。ご丁寧に警備員までおり、クルマを誘導していた。
なんなんだここは。あっ! これは、まさか……!?
(つづく)