一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

金曜サロン・島井咲緒里女流初段⑥

2010-11-20 01:43:23 | LPSA金曜サロン
きのうのマイナビ女子オープン・上田初美女流二段と鈴木環那女流初段の一戦は、上田女流二段の勝ち。おめでとうございます。上田女流二段には挑戦者になってもらいたいし、鈴木女流初段には捲土重来を期して、来期も本戦入りしてもらいたいです。とても素晴らしい将棋でした。お疲れさまでした。

9月3日のLPSA金曜サロン、1部は島井咲緒里女流初段、2部は石橋幸緒天河の担当だった。私はこの月から金曜日の仕事が休みになり、プータロー状態で駒込サロンに入った。その駒込LPSAもこの月で最後。これから教えていただく女流棋士とは、すべて駒込最後の対局となる。島井女流初段も、「(駒込を離れることは)感慨深い…」みたいなことを言っていた。
前回の島井女流初段は透き通るような白い肌だったが、今回はあまり感じなかった。前回は私も沖縄帰りで、現地で浅黒い女性を目にした反動が表れたようだ。
指導対局開始。島井女流初段は6手目に四間飛車に振る。これが平手11局目になるが、島井女流初段は実に9局が四間飛車(残り2局はゴキゲン中飛車)。うち4局が穴熊だった。このほか香落ちが3局、角落ちが1局あるが、香落ちも、いずれも四間飛車。うち2局が穴熊だった。
本局は美濃囲い。美濃囲いは穴熊より玉が一路ズレているのと、いつでも王手がかけられる状態なので、下手の心理的負担は少ない。
前局は棒銀に出て吹っ飛ばされたので、本局は☗6八金上から☗3八飛と寄ってみた。このあたり、とくに読みを入れたわけではなく、感覚的に指した。読めばキリがないから読み飛ばした、とも云えるが、若干指し方が雑だ。
私は☗3五歩と仕掛けず、☗4六歩。以下☗4五歩とこの筋から仕掛け、☖7四歩に☗2八飛と戻り、「☗4五歩早仕掛け」のような変化になった。しかし☗2四歩~☗4四歩~☗4五歩に☖5三銀(引)は意外だった。当然☖4五同銀とくると思っていたからだ。穴熊が得意な島井女流初段は、歩得よりも自玉の固さを優先したようだ。2筋を破られても☖6二飛と回り、兵力を自玉の周りに集める。人が変われば指し手も変わる。何となく島井女流初段らしい指し回しではないか。
その後は6筋から殺到され、下手陣は落城寸前となった。しかしここで島井女流初段に攻め急ぎの手が出て、最後の最後でこちらが上手王をトン死させてしまったのだった。
これが公式戦だったら、島井女流初段も自王の危機を察知し、受けに回っていただろう。このあたりのアンテナの鈍さが、多面指しの指導対局らしいといえる。
「いやあ…もう投了しようと思ってました」
私が頭をかきながら吐露すると、
「それなら投了していいんですよ」
と石橋天河がチャチャを入れ、室内にドッと笑いが起きた。
本局も扇子サイン勝負だったので、石橋天河との指導対局の最中に、私は島井女流初段に扇子を預け、対局に戻る。しかしこれが疑問手だった。
返ってきた扇子を見ると、何と島井女流初段のサインが親骨の扇面にしたためられていて、あ然とした。し、島井先生、何でこんな端っこに書くんだよ…。これじゃあ定員10名のところが11名入れないと、バランスが取れなくなってしまうじゃないか。
まあ、事前に揮毫箇所を伝えない私がいけなかった。島井女流初段の奥ゆかしさに、微苦笑したひとときだった。
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マイナビ女子オープン・ベスト4

2010-11-19 02:01:07 | 将棋雑考
きょう19日(金)は、東京・将棋会館で、マイナビ女子オープン本戦2回戦・上田初美女流二段対鈴木環那女流初段の一戦が行われる。勝てばベスト4に進出し、挑戦権獲得まであと2勝になるとともに、来期の本戦シード権も得るという、大きな大きな一番である。
以前もチラッと書いたが、このふたり、現在はどうか知らぬが、むかしはとても仲がよかったと聞いた。私は2005年5月に、「将棋ペンクラブ関東交流会」に初めて参加したのだが、そのときペンクラブ会員の斎田晴子女流四段にまじって、ふたりが顔を見せたのを憶えている。
このとき私は鷲北繁房幹事(だったと思う)に交流会レポートの依頼をされ、それは「将棋ペン倶楽部2005年夏号(通信25号)」に掲載された。その中に上田・鈴木両女流のことも記したので、引用しよう。

「斎田女流四段に並んで、鈴木環那女流1級のかわいらしい顔が見える。しかしその横にいる、ピチピチの女子高生は誰だろう。女流棋士の顔と名前は私の脳にすべてインプットされているはずだが、どうも思い出せない。意を決して名前を聞いてみたら、何と上田初美女流初段であった。メガネを外していたから分からなかったのだ。しかし上田女流初段、なかなかのアイドル顔である。もしコンタクトレンズが可能なら、今後はメガネなしでマスコミに出るのも良いと思う」

「女流棋士の顔と名前は私の脳にすべてインプットされている」と書いているが、これはウソ。当時は女流棋士に関心はなかったので、中堅・若手の何人かは分からなかった。
鈴木女流初段は当時からかわいらしく、現在はそこに妖艶さが加わり、女流棋士会で五指に入る人気女流棋士に成長した。
上田女流二段は当時大きな黒ブチのメガネをかけていたが、メガネを外した顔はかわいらしく、これから素敵に歳を重ねていけば、自然に人気が出ると思った。その見たてが正しかったことは現在の彼女を見れば明らかで、我ながら彗眼だったと思う。
さてふたりは鈴木女流初段のほうが1歳年長だが、デビューや昇段はつねに上田女流二段がリードしている。鈴木女流初段としてはここで借りを返し、檜舞台に近づきたいところであろう。むろん目指すところは上田女流二段も同じである。
とここまで書いて、賢明な読者はお気づきと思うが、ベスト4に進出して来期シードになってしまうと、来年7月に行われる第5期マイナビ女子オープン・一斉予選対局に、その女流棋士の対局姿を見られなくなってしまうのだ。
昨年拝見した鈴木女流初段の対局姿は、観客の視線を意識したような、そこはかとない色気が漂うものだった(このあたりの描写は、7月下旬にアップした当ブログに詳しい)。あの姿が来年は拝めなくなると思うと、惜しい。
…あれっ!? となると、12月20日(月)対局予定の石橋幸緒女流四段と室谷由紀女流1級との一戦も、能天気に室谷女流1級を応援してはいけないのじゃないか!? 室谷女流1級が勝って女流初段昇段とともに来期本戦シードの切符を得るのはうれしいが、それと引き換えに彼女の対局姿が見られなくなるとなれば、ちょっと考えてしまう。
室谷女流1級がまとったピンクのブラウスとチェックのミニスカートは、素晴らしい戦闘服であった。あの対局姿はもう一度見たいと思う。
シードになっても、その日は会場(対局場)に来るんじゃないの? と考える人がいたら、それは甘い。前期ベスト4の上田女流二段は、今年の一斉予選対局の日、「JT将棋日本シリーズ」の仕事で、新潟に出張していた。予選免除者にも、来年だって何らかの仕事が入るとみたほうが自然だ。また室谷女流1級は関西在住なので、なおのこと東京には来ないだろう。
その伝でいくとこの2つの将棋、鈴木・室谷の両女流が勝ったら、来年の一斉予選対局には顔を見せないと覚悟すべきだ。いやそもそも私は、女流棋士の対局姿が見たいのだ。盤上没我の勇姿を目に焼き付けたいのだ。
となるとこれは、応援のベクトルが微妙に変わってくる。
上田女流二段には女流棋士スーパーサロンで何局か教えていただいているが、鈴木女流初段とのそれはない。「ナマ鈴木の対局姿」を拝見する機会はこの一斉対局しかないのだ。かようなわけで今回は、上田女流二段を応援させていただく。
また石橋-室谷戦も、いくら石橋女流四段が絶不調とはいえ、さすがに室谷女流1級には勝つだろう。いや違う、LPSAへタイトルを持ってくるためにもこの勝負、絶対に石橋女流四段が勝たねばならないのだ。いや、あぶないところだった。うっかり室谷女流1級の応援にリキを入れるところだった。
まあとりあえずは、きょうの一局である。どうでもいいが戦形を予想しておくと、上田女流二段の振り飛車に、鈴木女流初段の居飛車穴熊とする。上田女流二段が美濃に囲えば上田女流二段の勝ち。穴熊に潜ったら鈴木女流初段の勝ち。
いろいろ書いたが本心を言えば、どちらも応援しているし、どちらにも勝ってもらいたいのだ。とにかく、いい将棋を見せてください。
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金曜サロン・中倉宏美女流二段⑫・「研究してきました」

2010-11-18 00:32:31 | LPSA金曜サロン
8月27日のLPSA金曜サロン、2部は中倉宏美女流二段の担当だった。
1部担当の大庭美夏女流1級との指導対局のあとに、飛び入りの石橋幸緒天河による大盤解説が行われた。教材は竜王戦1組の中原誠十六世名人と三浦弘行八段との一戦。後手三浦八段の三間飛車に、中原十六世名人が☗5七銀左から☗5五歩と仕掛け、全盛時を彷彿とさせる指し回しで快勝した。
中倉女流二段が持参してくれた棋譜で、これは大いに参考になった。
そんな中倉女流二段との指導対局は、奇しくもこの将棋の再現となった。角交換をして☗8八角と据えたときだったか、そばを通った石橋天河が、
「指定局面ですか」
とジョークを飛ばす。実際中倉女流二段との将棋では何局か出てきて、勝ったり負けたりしている。
ここで後手の応手は☖4二金、☖4三金、☖4二銀などがあるが、昭和51年発行の中原十六世名人著「中原の振り飛車退治」(池田書店)や、55年発行の米長邦雄永世棋聖著「米長の将棋2 居飛車対振り飛車・下」(平凡社)では、先手よしの結論になっている。
「羽生の頭脳」(日本将棋連盟)では9筋の突き合いが微妙な変化をもたらしていて、これが入っていると、☖3九角~☖8四角成となったとき☖9五歩からの端攻めがあり、これは後手有望の変化となる。
だから私は9筋の歩は自分から突きたくないのだが、後手から突かれたときが問題だ。☗9六歩と受けると前述の変化があるし、受けないで先攻すると自玉の懐が狭いうえに☖6三歩型なので、何かのときの☖6四角も警戒しなければならない。
本局では☗9六歩と端歩を受けたが、☗8八角以下☖4三金☗4七銀に☖9五歩と来られた。☖8四角成から☖9五歩だと手抜きをされる恐れもあり、それなら先に突き捨ててしまおう、というコロンブスの卵的発想だ。
それで私も手抜きをして☗5六銀と歩を払ったのだが、これは悪かった。
☗5六銀ではふつうに☗9五同歩と取り、☖9七歩なら☗7七角と我慢するべきだった。そういえば同じ中倉女流二段戦で、☗8八角では端攻めがイヤなので、過去に☗7七角と打ったことがあった。2日前のブログでも書いたが、私は昔(といっても1、2年前だが)のほうがキメ細かい読みをしていた。最近は形だけで指していて、全然読みが入っていない。これは危険な兆候である。
では終盤の一場面を掲げる。

上手が☖4七成銀と香を取ったところ。形勢は下手が悪い。ここで私は☗7三歩成と指したが、味消しでよくなかった。☖7三同銀☗7四歩☖同銀☗6四角☖7三香の進行は、上手王を固めさせただけだった。
以下は6手指して投了。感想戦で中倉女流二段は、どこかで☗3一角と打たれるのがイヤだったと述べた。また「研究をぶつけてみました」とも言った。
プロがアマとの指導対局で事前に研究してくるなんてアベコベじゃないか、と苦笑したくなるが、中倉女流二段は中原-三浦戦を私に見せることで、この局面に誘導できるとフンでいたのだろう。
私は残念な結果に終わったが、中倉女流二段の将棋愛が体感できて、満足だった。
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11月12日のLPSA芝浦サロン・プリプリ

2010-11-17 00:25:30 | LPSA芝浦サロン
11月12日(金)のLPSA芝浦サロンは、船戸陽子女流二段の担当だった。手合い係は藤森奈津子女流四段。
LPSAが駒込から芝浦に移転して、サロンのシステムもかなり変わった。私はほとんど恩恵を受けなかったが、無理に挙げれば、月~水も指導対局が受けられるようになったこと、1日に同じ女流棋士から2回(以上)の指導対局を受けられるようになったことがある。なお2局目(以降)は、追加料金が発生する。
この典型的な例が8日(月)で、この日も船戸女流二段の担当だった。
私は他の会員を出し抜いて船戸女流二段の指導対局を受けに行ったのだが、その将棋は私が逆転勝ちとなった。ところが悔しがる船戸女流二段を前にして、私はつい「追加の一局」を所望してしまった。
それで私がおカネを払うのは話がアベコベの気もするが、とても楽しい時間を過ごせたので、よしとする。
12日は最初から2局お願いするつもりだった。前日のブログで、船戸女流二段との芝浦対局が8局に上ると書いたのは、こんな感じでどんどん対局数が増えたからである。
この日はLPSA・Minerva会報誌「Café Minerva」2010年秋号が一足早く配られた。サロン客の大半はMinerva会員なので、しばしばこうした光景が見られる。
今号の目玉企画は、文字どおり「クイズ この目誰の目!?」。LPSA女流棋士と渡部愛ツアー女子プロの「目」だけが載っていて、それが誰か当てるというものだ。
似顔絵の善し悪しは目で決まるというから、目だけを見ればすぐ分かりそうなものだが、これがなかなか難しい。
メガネをかけている女流棋士は何とか分かるが、そのほかはサッパリだ。こういう時めざといのがW氏で、藤森女流四段といっしょに考えていたが、ほとんどの女流棋士を瞬時に当て、点数を稼ぐ。
私は肝心の船戸女流二段の目がまったく分からず、すっかり彼女を怒らせてしまった。
「本当は私のファンじゃないんだ」
「いやいや船戸先生違うんですよ! 先生がいつも眩しいから目を見れなくて…。藤森先生なら見れるんですけど」
「何ですって!?」
今度は藤森女流四段から反撃がきた。う~、めんどくさい。
あれは10月26日(火)だったか、松尾香織女流初段が担当で、船戸女流二段が遊びにきたとき、私は船戸女流二段の名字をド忘れし、「フナ…ムラさん」とうっかり口にしてしまったことがあった。
船戸女流二段はこのときのことも持ち出して、もうプリプリ状態?である。
「そうだクチビルだ! 次の企画は、クチビル当てにしましょう!」
私は絶妙の提案をしたつもりだったが、無視された。
こうなってはもういけない。以後はひたすら、船戸女流二段を刺激しないようにした。
しかしあらためて書くが、「私が勝手に選ぶ女流棋士ファンランキング」の第1位は、現在も船戸女流二段である。これだけ将棋を愛し、自団体のために尽力している女流棋士を、私はほかに知らない。2位の室谷由紀女流1級を引き離し、独走状態であることも付け加えておく。
ともあれ今号も、会報はおもしろい読み物に仕上がっていた。編集の島井咲緒里女流初段、およびスタッフに感謝である。
将棋に戻る。会員とは練習将棋を数局指したあと、リーグ戦を1局指した。作戦負けからおもしろくなったと思った中盤で、桂馬による王手金取りを見送り、自陣のと金を払ったのが敗着。すかさず好点に馬を作られ、以下は完敗となった。
これでリーグ戦は5勝3敗。今期はみな対局数も少なく、大混戦。ちょっと優勝は難しくなった。
この日は金曜日で、旧金曜サロン会員が多く訪れる日だったが、15人には満たなかったと思う。金曜サロンだったら、「きょうはずいぶん人が少なかったネ」というところだが、芝浦サロンでは「きょうは人が多かった」となる。
こんな状態がいつまでも続くと、あぶない。
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会心の一手

2010-11-16 00:53:25 | 将棋雑記
きょう11月16日は、日本将棋連盟女流棋士会所属・上田初美女流二段の誕生日。おめでとうございます。

平成20年1月、大阪で開催されたLPSA・1dayトーナメントで藤田麻衣子女流1級から角落ちで指導対局を受け、その年の3月からLPSA駒込サロンに通い始めた私は、数ヶ月後には女流棋士に平手で指導を受けるようになっていた。
これは私の棋力が上がったわけではなく、たまたま角落ちでの勝率がよかったので、香落ちに手合いを変えて指していたところ、
「香落ちだったら平手で指してもいいんじゃない?」
という植山悦行手合い係のアドバイスにしたがったことによる。よって当初から私は、女流棋士と平手で指せる棋力はあったようだ(ただし多面指しに限る)。以来、平手での対局は202局に上った。
最多対局は、やはりというか当然というか、船戸陽子女流二段との30局。ほかに角落ちが1局、香落ちが6局あり、合計37局にも上っている。LPSAが芝浦に移ってからまだ1ヶ月半しか経っていないが、そこでもすでに8局指導を受けている。
ちょっと脱線した。この全202局、いまも記憶に残る会心の一手がある。
以前もチラッと書いたことがあるが、それは平成21年5月22日(金)、女流棋士スーパーサロンで、上田初美女流二段との将棋で指したものだ。
このときの模様は同年5月24日にアップしていて、「80余局にのぼる女流棋士との指導対局の中では、3指に入る名局だったと自負している」と書いている。
さらに同年7月23日のアップ分では、「女流棋士との指導対局100局の中で、会心の一手」に、やはりそのときの一手を挙げている。そしてその末尾には、女流棋士会から棋譜公開の承認を得られないと思うので、その手の披露は無理だろう、という旨の記述がなされている。
しかしきょうは上田女流二段の誕生日であり、冒頭でお祝いも述べた。また最近私は、再び女流棋士スーパーサロンに通い始めてもいるので、ここでその一手を紹介してしまおう。
では例によって駒の配置を記す。

上手・上田女流二段:1二香、1三歩、1九竜、2一桂、2四歩、5四歩、6三歩、7一金、7三歩、8一桂、8二王、8三歩、9一香、9四歩 持駒:角2、金、銀、香
下手・一公:1六歩、3七桂、3九歩、4八銀、5六歩、5八玉、6一竜、6七歩、7六歩、8七歩、9六歩、9九香 持駒:金2、銀2、桂、歩4

上手・上田女流二段の四間飛車に、私が左☗4六銀から急戦に出た。中盤から突然駒の取り合いになり、私の☗6一同飛成に上田女流二段が☖7一金とハジイた局面である。
指導対局は(女流)棋士がお客からおカネを貰って指しているので、言葉はわるいが接待のようなものである。棋士側には「指導対局だから勝敗にはこだわっていません」という大前提があり、本気は出していない。
しかし本局、この局面に限っては、上田女流二段は勝ちを確信していたと思う。
すなわち☖7一金の局面で、☗2一竜と逃げるのは一手の価値がなく下手勝てない。また☗5二竜と王手をしても、手順に☖6二金打と固められて、これもダメ。
では下手負けかと思いきや、パッと閃いた手があった。

☗9三銀!!

上田女流二段が戻るとこの銀が置いてあり、「おおーっ!!」と声を挙げた。
この局面、とにかく竜が逃げていては勝てない。何か王に迫る手はないか、と考えていたとき、端に駒を捨てる手が浮かんだ。
これを「次の一手」として出題されれば、慣れた人なら☗9三銀は一目であろう。しかしこれを指導対局という緊張状態の中で、1分ほどの考慮時間で発見したことに価値があるのだ。
実戦は以下、☖9三同王☗8五桂☖8二王☗9三金☖同香☗7三桂成☖同王☗7一竜☖6四王☗6五金☖5三王☗5一竜☖4四王☗4五銀、まで85手で私の勝ちとなった。
☗9三金から☗7三桂成も自慢の手順。感想戦では、☖9三同王に代えて☖同香、☖6四王に代えて☖7二合を検討したが、いずれも上手王は寄っていた。いま並べてみても奇跡的な手順で、現在より1年前のほうが強かったのではないかと錯覚する。
上田女流二段との指導対局は、この将棋で止めておけば、私の「1戦全勝・勝率10割」だったのだが、昨年はその後も3局、今年も2局教えていただき、いずれも敗れてしまった。すぐにメッキが剥がれたようで、この勝ちはやはり、マグレだったのだ。
1勝5敗――。こんな成績では、もう駒を引いていただくしかないのだが、LPSA女流棋士とはみな平手なので、そうもいかない。けれど次に上田女流二段に指導いただくときは、ちょっと悩みそうである。
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