ウルトラマン世代の私にとっては、円谷プロは、憧れだった。そこで、育った川北さんが、自伝を出している。
ゴジラ世代かと思っていたら、元祖ゴジラは、INGで見ていないという。初めて出会った特撮は、地球防衛軍。当然、私は、見ていないのだが、今、東宝の特撮もののDVDが、雑誌スタイルで、出ているから、入手可能。本書を読みながら、DVDを見たら、面白さが倍増するだろう。
実は、面白そうなのだけ、ぽろぽろ買っているのだが、凄い迫力という訳でもない。
本書を読んでいたら、東宝の特撮チームの汗と涙の結晶であることがわかった。もちろん、外部環境に、左右はされるのだけど。
東宝の特撮物と言っても、映画館にそうそう行けるわけもない。ところが、シカゴ在住時代、ブロックバスターズ(今のツタヤみたいなもの)に毎週通っていて、そこで、特撮物の英語盤を相当見た。ゴジラvsキングコングなどもその一つだが、本書によれば、画期的な一作だったそうだ。その後、キングコングの日本映画での使用は認められなかったという。
昭和40年代は、特撮ブームで、大映がガメラ、松竹がギララ、日活がガッパ、そして大映の大魔神。川北さんは、大魔神を高く評価している。全部、見たなぁ。
ウルトラQは、テレビ初の特撮ものだったのだが、35mmで撮ったものを、わざわざ白黒に戻していたのだという。凄く贅沢に作られていたのだ。当時のフィルム代は、ばか高かったそうだ。
CGがなかったころの本物指向は凄い。日本沈没の撮影では、スタッフが、富士山にマイカーで来るよう指示され、その車が、皆撮影で使用されボロボロになったという。当事者だったらたまったものではない。
この日本沈没の大ヒットが、特撮ものの復活につながったという。
惑星大戦争という映画があるが、スターウォーズがすでに作られていることを知って、その前に公開すべく急いで作ったという。手抜きしたわけではないが、ハリウッドのスターウォーズに比べたら、さすがに続編は作れなかった。
しばらく途絶えていたゴジラが復活したのは、まさに川北さんの貢献だ。よく覚えていないのだが、この頃の映画も良く見た。映画館だったか、貸しビデオだったか?むろん、この時期は、子供とのコミュニケーションのツールとして見ていたわけで、昔のソフビと違った、リアルなフィギュアを多く購入した。川北ゴジラも、かつてのコミカルになってしまったゴジラと一線を隔した迫力のある姿だった。
再度、キングギドラやモスラと闘うのだが、キングコングと闘わそうと思ったら、使用許可が下りなかったという。
ゴジラは、メルトダウンするのだが、これも川北さんの仕業?だ。
続・三丁目の夕日の冒頭で出て来るゴジラは、ミレミアムゴジラだったという。そこまでは、気づかなかった。
自伝の面白さというよりは、世界に知れ渡った、日本の特撮の歴史に興味ある人向き。
当然、私には、面白かった。