かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

1900年への旅

2011年01月25日 | Books
モスクワのドモジェドボ空港で、自爆テロがあった。一度使ったことがあるが、大国の表玄関の空港とは思えない、ひどい空港だった。2年前の話で、今は、ちょっとはよくなっているかもしれないが、とにかく狭すぎて、どこもかしこも押し合いへし合い。警備どころではない感じだった。ロシアは、北方領土などに来る前に、国内でやることがもっと沢山あるのではないか。



寺島さんの本はそこそこ読んだが、本書は、結構前の本だ。10年以上前の本だが、今なお、面白い。100年前(今からだと、110年前)、日本が西欧(米国ではない)から、何を学んだのか。

寺島さんは、本書を書いて、何を感じたか。①近代史の深層底流において、いかに日本が欧州の影響を受けたかという歴史の再確認である。②100年前を生きていた日本人がいかに偉大だったかという感慨である。③20世紀を性格づける要素の萌芽は、19世紀の末にはことごとく地中に内在しており、決して歴史は、脈略なく突然に変わるものではないということである。

寺島さんは、本書を書くにあたって、ケインズを調べた。ケインズというと経済学者だと思うが、デビューは、時事評論家としてであった。その他にも、学術雑誌の編集者、事業経営者、教授兼会計官、古銭・古書の収集家であったそうだ。やりたいと思うことを、着実にやり遂げた人と言える。
そして、寺島さんは、今こそ「新しいケインズ」をという。
英国経済の成熟と行き詰まり、とりわけ米国の台頭のなかで、英国の投資が米国に吸い寄せられ、「産業の空洞化」が進行している状況を前提とし、大幅な「需要不足」を背景とした理論として、「財政金融政策主導の経済活性化構想」が浮上したのである、と述べる。
英国を、(日本を含む)欧米、米国を亜細亜と読みかえれば、今の世界情勢と瓜二つではないか。10年以上、前に書かれた本だ。

南方熊楠は、世界の本質を追い求めるスケールの大きな人物だった。大英博物館の書物を、53冊のノートに抜き書きしたという。寺島さんは、「脳力」が開花したのではないかという。
現代人は、情報過多と情報欲求過剰の中で、寸刻も休みなくテレビ、新聞、雑誌、書籍、コンピューターに向かい、たさいもない会話と雑事に「多忙」を装っている。おそらく、目が覚めている間は十分とまともに沈思黙考することなどないのではないか。
耳が痛い。

今の日本をどうしたらいいかを考える立場にある人向け。もちろん、歴史好きのビジネスマンにもグー。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする