仕事関係でたまたま目にした冊子に面白い記事が載っていました。(財)地域活性化センターの「地域づくり」1月号別刊の「平成23年度地域活性化事例集 シティプロモーションによる地域の活性化」という冊子で、特集編の秋田県秋田市の事例です。「トップスポーツクラブを通じた地域活性化」というタイトルで、「スポーツホームタウン構想推進事業」スポーツによるまちづくりについての事例紹介です。以下、抜粋して紹介。
秋田市は「県都『あきた』成長プラン」を策定。成長戦略の一つに「都市イメージ『ブランドあきた』の確立」があり、重点プログラムの一つとして、「クラブスポーツへの支援」が進められています。秋田市を拠点として活躍するトップスポーツクラブが3つある。ラグビーのトップリーグの下位リーグであるトップイーストリーグディビジョン1の「秋田ノーザンブレッツR.F.C」、サッカーJFLの「ブラウブリッツ秋田」、秋田初のプロスポーツチーム、バスケbjリーグの「秋田ノーザンハピネッツ」。
bjリーグ参戦をきっかけに、市民の間に地域のチームを応援しようという機運が高まり、秋田市はH21年に「秋田県ふるさと雇用再生臨時対策基金」を活用し、「スポーツホームタウン構想推進事業」として取組をスタート。「NPO法人 トップスポーツコンソーシアム秋田(スポコン秋田)」が受託し、秋田県では「スポーツ立県あきた」を宣言しており、全県で支援を実施する事になった。秋田市は応援のための機運や文化の熟成として次の3つを実施。
①情報発信
スポコン秋田が、県内初のスポーツ情報誌「Disport(ディスポール)」をH22年に創刊。秋田市内の全戸(約14万戸)に無料配布し、年2回のペースで発行。上の3クラブの他に、北都銀行バドミントン部や、秋田銀行女子バスケットボール部の情報も掲載。他にもスポーツポータルブログサイトとして、HPや情報発信モバイルサイトの運営を実施。
②クラブチームの連携の推進
スポコン秋田は、年1回の代表者会議を開催。各チームが顔を合わせ、意見交換ができる場として提供。H22年には日本トップリーグ連携機構」主催の「ボールゲームフェスタ」を誘致し、東北地方で初の開催。このフェスタは、毎年数回全国各地で開催。五輪経験選手等と、小学生が一緒にスポーツを通じた交流ができるスポーツクリニック当を実施。地元の各クラブチームも参加する事で、合同イベントとして開催でき、クラブチームの連携及び市民との交流の機会にもなっている。
③市民活動サポーター
H13年に秋田で、第2の五輪と言われるワールドゲームズが開催され、その時に立ちあがったボランティア組織が、徐々に活動の場を失っていったが、今回トップクラブチームが揃った事で、市民、企業、教育機関と連携し、スポーツのみならず地域イベント等のボランティア活動を行う「SV(スポーツボランティア)-あきた」がH23年に新たに結成して活動中。登録者数約50名で、昔からあるボランティア団体を取りまとめる役割も担う。他に、秋田のトップ選手を交えてスポーツ体験をしてもらう目的で、年数回放課後に小学校を訪問し、「スポーツ選手とあそぼう!」を実施。
駅前の大通り、市役所の前には、多くのスポーツホームタウン推進PR用ののぼりが立ち並び、観光客にPR。加えて、スポコン秋田では、選手個人の写真が入ったのぼりも作成し、選手にも好評だとか。商店街の方もポスター掲示等には協力的であり、地元クラブが浸透中。
bjリーグでは参戦1年目にして、ホームゲームで合計5万人を超えた観客動員数(全国2位)を記録。ベストブースター賞を受賞。これらの事業により、スポコン秋田が各チームをまとめる事で、マルチファンを増やす一助になり、選手間同士の交流もできているとか。
秋田市では県の「ふるさと雇用再生臨時対策基金」がH23年で終了する事から、来年度以降の財源の確保が課題。スポコン秋田としても、行政と同様の課題を挙げており、行政に依存しない自主財源を作る事が重要。そのため、独自活動としてのスポーツ応援拠点施設として、H23年にオープンしたスポーツカフェの経営や、各クラブチームのポイント制の会員カードの失効ポイントを利用したスキームの構築などを実施。会員カードは加盟店で買い物、食事をした場合に利用代の1%がポイントとして付与。有効期限が切れた失効ポイントを収入とするものであるとしています。
課題はあっても、秋田市の基本スタンスとしてのトップススポーツを核としたまちづくりは変わらない。「秋田はスポーツのまち」としていくために、市民が支えるボトムアップ型として、スポーツホームタウンが経済的に自立し、スポーツを中心とした一つの集積地として活性化を目指すために、シティプロモーションに取り組んでいくと締めくくっています。
秋田、熱いですね。以前にも触れましたが、岡山の東西南北すべての隣県で、こうした異競技交流が実現しています。何もできていないのは岡山だけ。この秋田も一つの事例として参考になるのではないでしょうか。クラブが動かなければ、行政で動いてみてはいかがでしょうか。県内で最もこうしたスポーツ文化の意識が高い湯郷ベルをけん引役として、組織作りに取り掛かってみてはいかがでしょうか。県のTさんに提案してみようかなと。
スポコン秋田公式HP:http://www.spocom.tv/
秋田ノーザンブレッツ公式HP:http://www.northern-bullets.com/
秋田ノーザンハピネッツhttp://www.happinets.net/
ブラウブリッツ秋田公式HP:http://blaublitz.jp/