事例紹介コラムです。
さすが、湘南。今まで「Jリーグ百年構想の優等生」という事で、溢れんばかりの事例を紹介してきましたが、またしてもすごい事例が登場しました。これは少々、よそのクラブは真似のできない事。「わしら基準でわしらだけやる」というところには思いも寄らないものでしょう。以下、抜粋して紹介。
J1湘南はJFL福島と、お互いのホームタウン、マーケット、ノウハウを相互に活かし、互いの規模を合わせた以上の効果を目指して提携。提携により選手育成面では、湘南から福島への選手のレンタル移籍が想定。互いに選手の指導情報を交換し、戦力拡大を図る。また両チームでジュニア、ジュニアユースの試合を行い、若手選手の技術力の底上げを図る。将来的には、福島を経て湘南でプレーするJリーグ選手誕生にも期待が膨らむ。
目的: クラブ、ホームタウンを飛び越えて、互いのスケールメリット・規模を拡大し、各々さらなるクラブの価値の向上、発展を目指す。
概要:
・営業・事業
スポンサー、グッズ、KIDS GUARD SHONAN(キッズガード湘南/福島の子どもたちを湘南地域に招待する事業)
・強化
選手(スタッフ)の獲得、育成
・アカデミー
選手(スタッフ)の育成、交流
お互いのホームタウンを飛び越えて交流することでスケールメリットを追求し、クラブの価値を高めるのが狙い。観光振興や復興支援も図りたいそうです。提携の概要で具体的には、他県進出を計画する企業のスポンサー紹介や選手のレンタル移籍による出場機会の確保、若手の育成や交流など。
J1湘南が震災後、支援物資を送る他、湘南地域に福島県の子どもたちを招いてサッカー教室を開催したことが縁で交流が始まり、地方クラブのあるべき姿を求める中で提携にたどり着いたとか。
提携会見が行われましが、その中にとてもインパクトを与える内容があったので、抜粋して紹介。
【㈱AC福島ユナイテッド 鈴木代表取締役】
「震災直後から真っ先に、我々JFL福島にJ1湘南から子どもたちのための支援物資を運んだり、子どもたちとサッカー教室を実施された。その後、「KIDS GUARD」として、東北地区そして福島の子どもたちを中心に湘南のホームグラウンドに招待し、数々の試合観戦等や体験思い出作りまで実施された。その中でこれから地域のために、かつ地方のクラブとしてあるべき姿に一石を投じるようなことができないかという話になり、この提携に至った」
【㈱湘南ベルマーレ 眞壁代表取締役】
以前に、福島ユナイテッドに講演に呼ばれた事がある。盛況に加えて、終了後も協会やボランティアの人が次々に集まり、たくさん話をした記憶がある。その後、かつてうちにいた時崎という選手から、引退について電話をもらったが、福島出身だからJFL福島に行ってみたらと、今思えば、かなり強くプッシュして行かせた記憶がある。
JFL福島はかなり地域活動を熱心に行っており、数百人いるスクールの子どもたちからの月謝も入らないとなると、クラブの活動費がたちゆかなくなると話が出た。被災地ではGWに親が子どもたちをどこかへ連れていくといような状況ではないだろうし、子どもたちが外で活動できないのであれば湘南に呼んであげる話になった。クラブには先立つものがないので、地域のスポンサー企業にお願いしたところ、次々に支援が集まり、実現に至った。潰してはいかんと、火中の栗ではないが、自分がやるから残しましょうと鈴木社長が言って福島ユナイテッドは残った。
クラブライセンス制度で、今後更にこの選手の育成等々を考えていった時に、期限付き移籍で今までとは違い、連携する福島で試合経験が積めるという意義は大きいと思う。
【㈱AC福島ユナイテッド 竹鼻GM】
今回の提携は、一般企業の事業提携と同じようにお互いの強みや弱みを合わせてよりいいものをつくっていこうというのが基本的な考え。クラブやホームタウンを飛び越えて互いのスケールメリット・規模を拡大し、各々さらなるクラブの価値の向上と発展を目指していくというところが本丸。
クラブ経営は、営業・事業、強化、アカデミーと大きく内容が分かれる。営業・事業について、相互にスポンサーの紹介といったことができるのではないか。強化はスカウティング。ノウハウの提供を受ける事。一番のポイントは、お互いのクラブが一緒にやる事でスケールメリットを出して規模感を大きくする事が提携の根幹になっている。
この中でビックリしたのが、福島の竹鼻GM。J2鳥取のGMを退任されてどうされていたのかと気にしていました。去年からJFL福島のクラブディレクターを務められ、今月14日にGMに就任されていたのです。鳥取時代には、ファン・サポーターと同じ目線で対話が多く、親しまれていたGMさんという評判だったと覚えています。中には腕組んで練習を観ているだけでファン・サポーターと全く交流がないGMもいるようですが、対照的に試合イベントで対談もこなす、開放的なGMさんですね。福島さんは、環境的に不利な部分が多いですが、多くの人的財産で今後飛躍していくでしょう。頑張って下さい。
あと、一つ思ったのが、兼任サポの話。以前に、「違うカテゴリでも天皇杯で対戦する可能性があるから応援すべきでない」というものを耳にした事があります。この考え方は当ブログとは相反するもの。好きになるのは自由。露骨に他の人に不快感を与えない程度であれば、問題ないと思います。実際、当ブログも観ておわかりのとおり、好きなチーム、応援しているチームはいっぱいあります。今回の話は、クラブ自体が天皇杯で対戦するかもしれない他のクラブと提携するもの。兼任サポ絶対無用論に反する事になりますが、これを知ってどう思うのだろうか。
J1湘南公式HP該当ページ:http://www.bellmare.co.jp/72276
JFL福島公式HP該当ページ:http://fukushimaunited.com/news/pr/fc-9.html
J's GOAL該当ページ:http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00149591.html