CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】京都ぎらい 千年の古都のいやらしさ、ぜんぶ書く

2016-04-19 21:16:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
京都ぎらい 千年の古都のいやらしさ、ぜんぶ書く  著:井上 章一

またも話題作であります
新書で、久しぶりの大ヒットを飛ばしている本
京都にゆかりある感じで
現状生きている私には、なにやら楽しみで
たまらんという具合だったのでありますが
読み終わって、なるほどな、と
腑に落ちるというか、面白かったと
素直に思って、後腐れなく終わったと
そんな具合であります

タイトルの通りで、京都が嫌い、
何が嫌いって、京都の洛中に住んでいる人間が嫌いと
まぁそういうお話でありました
生まれと育ちが嵯峨のあたりの人らしく、
そのせいで、だいぶ洛中の人から
バカにされたという経験から
どうにも、京都が嫌いで仕方ないという
愛憎半ばな状態に陥っているようで
なんとも、ぱらぱらと読むのにうってつけでありました

ちょっと内容的には繰言めいたところもあるものの、
京都人独特の言い回しとか、その嫌味さ、高貴を鼻にかけた感じが
大変細かく、豆やかにと描かれておりまして
ことによっては、声を出して笑ったのでありました
山科を評して、東山が西に見えてしまうからヤダというのは
本当に笑った、言いそう、多分言うんだろう

まぁ、そういうわけで、
洛中の人たちが、いかに排他的に自分たちを
かこつけているかという、
知っている人からすれば当たり前のそれこれを
つらつらと書いているわけでありまして
京都の寺社のあり方やら、
南北朝についてやら、洛中でもさらに差別があるとか
そういうお話が盛りだくさんでありました
新書でちょうどよいといったらいいのか、
あんまり読みすぎるとくどいというか
僻みが伝染りそうな気がするような具合でした

土地を小馬鹿にするという話については、
まぁ京都も確かにというか、京都は酷いけども
どこの土地でも、隣町やらなんやらよりはと、
ありそうな話であるなと思ったりするところ
不思議と、京都だから話になるのであって
よその土地では、ああそうですかとしかならないのが
やっぱり京都の凄いところでないかしらと
思ったりもしたのでありましたとさ

人間に存在する根拠のない優越感というのが
どうにも好きな自分には、よい指摘本でありました
面白かった