CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】すれ違う背中を

2016-09-26 21:36:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
すれ違う背中を  作:乃南 アサ

何の気なしに読み出したのですが、
あれ?このあらすじ知っている気がする…、などと、
前科持ちの女二人が、それでもがんばっていきていくという
キャッチーな設定に既視感を覚えて、
思い返して調べてみれば、以前にNHKドラマでやってた内容の
原作にあたる本だったようであります
ドラマは、この設定を借りただけで、
ほとんど違う話だったということで、読んでいるうちに
この世界にはまりこんで楽しめたので
よかったのでありますが、なかなか、楽しいといっていいのか
明るい小説でありました

設定は前述の通りで、
40間近と、30間近の女二人が、娑婆に帰ってきて
おっかなびっくり、この世間になれていこうと
奮闘するといったところであります
もっとも、ものすごく悪辣なことだとか、重苦しい雰囲気なぞなくて、
そういう設定で、一生懸命生きていて、
それでいて、少し面白い日常を描いているという具合でありまして
心穏やかに読み薦められる良小説だと感じる次第

二人の女性の設定が、確かに暗くて重たいものを背負っているのだけども、
どこか明るく、実際は罪を犯しているので、
こんなに明るくてはならないのであろうか、
でも刑期は済ませているので、これはこれでよいのではないか
なんて、あれこれ考えてしまうのでありますけども
気の置けない二人の会話というのが、会話劇としてなぞっているだけでも
随分楽しく読めてステキでありました
この二人の間柄と、軽妙な台詞回しが見事であります

話としては、前科持ちという隠さなくてはならないそれに
端を発した、何かよからぬ予感めいたものにおびえるけども
実際は、それとは別の話でしたというのが天丼で、
その違う話というのが、くるくる
様々なエピソードとしてまわっていて面白い
個人的に、内偵している男といい感じになりそうだという
なんとも、やきもきした展開がなんとも楽しくて
サスペンスというか、ちょっとしたミステリもありで
楽しく読めたと思うのであります

力を抜いて、明るい気持ちになれる小説というのは
やっぱりいいものだなと、満足した気持ちをしたためておくのであります