CLASS3103 三十三組

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【読書】悲劇の9日女王 ジェーン・グレイ

2018-07-09 21:01:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
悲劇の9日女王 ジェーン・グレイ  作:桐生 操

どこまで本当の話というか、物語なんだろうか
大きな枠組みでの史実はこのままだと思うのだけども、
あまりにも可哀想な女王 ジェーン・グレイについて
その生涯を追った物語でありました
感動とは違うのだが、ただただ、
なんて可哀想な人なんだろうかしらねと
はらはら、泣きそうになってしまったのである

イギリスのすったもんだというのが
まぁ、なかなかに酷かったし、
そのすったもんだの間に野心豊かな男が山ほどいたんだなと
出世慾の強いそれぞれが、悲劇を招いていく様が
何度も見られて、なんとも西洋史の恐ろしい部分が
読めたように思う内容でありました

その、すったもんだに、かなり強引に巻き込まれて
本人にその気もないのに、もはや断ることなど
できるはずもなくといった様子で、
ジェーン・グレイが16歳だか、なんだかで女王を僭称させられると
そういう物語でありました
そのわずか、9日後に本来の女王となるべき人
ブラッディ・メアリがやってきて、無残にも処刑されると
なんともはや、恐ろしい物語でありました

ブラッディ・メアリも怖いんだけども、
その影で、ぎりぎりを潜り抜けていった、そして、その後に女王となる
エリザベスの凄さもよくよく読み取れて
非常に面白い小説でありました
そういう意味では、3人の女王それぞれを描いたとも思えるんだが、
いずれもが、いや、メアリだけは結構歳いってんだけども、
女が凄まじい政治の世界で生きたという
そんな話であったと感じ入るばかりでありました

15とか、16とか、
そんな年齢でかつ、女でありながら、生きるためにどうするか
それを正確にこなしていたエリザベスという化け物も凄かったし、
そこでなされるままであったジェーンをバカだと嘲笑うことなぞ
できるはずもないという感じが、なんとも、
真面目に生きるとはなんだろうかしらと
思い知らされるようでありました

身の丈にあわぬことにならぬよう、
凡人はどうつとめたらいいのかしらと
思ってしまうのである