CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】台湾鉄路千公里完全版

2023-10-18 21:05:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾鉄路千公里完全版  著:宮脇俊三

1980年に台湾一周鉄道旅行をした旅日記的な本
著者の方が、かなり著名な乗りテツの始祖的な人なんだそうで、
鉄道に乗る、鉄路を乗りつぶすという趣味人として、
台湾一周の鉄路を走破というか、踏破というか、ともかく乗りつくそうと
その一週間の旅行を記録した本なんだが、
当時の台湾を知ることもできるかなり面白い本でありました

現代台湾に慣れ親しんでいる自分には、まったく想像がつかない
いや、10年くらい前はぎりぎりそういう雰囲気がまだあったかもと
そういう描写が多々でてきて楽しいわけだが、やはり、現代とは違い
台北駅もまだあんなに綺麗ではなかったり、何よりも、
毎夜毎夜、ホテルにおねーちゃんが訪ねてきたりといった感じが
なんというか、当時の台湾というものを知る面白さに繋がっていて
当時の世相、風俗、文化というものが浮かび上がるようでよかった

文章はかなり読みやすくて、また、旅程もただ電車に乗ってるだけで、
台湾だけど、別に台湾旅行記ではないから、飯描写とか、屋台街(夜市と書かないのがまたよいな)描写が
ほとんどないというのもある意味斬新で、台湾本として読んでいる自分がおかしいのかもしれんが
それでも、そこかしこから漂う当時の台湾らしさ、
南国フルーツの山やら、原住民の人たち、そして、日本語を話せる人たちとの邂逅といったことが
非常に魅力的にうつる内容で、羨ましいというか、
その時代、その時の台湾に行ってみたかったなと改めて思い知らされたのでありました
せめて、00年代にいっておくべきだったな
食べ物は、どうやらほとんど合わなかったようで、
脂っこくてほとんど残したやら、謎の三つ葉のような薬味を除けて食べたとか(パクチー)、
弁当をほとんど残したとか失礼極まりないようにも思ったんだが、
当時の日本人からするとそういう感じだったのか、今からは考えられないような内容に
日本人の味覚の変化もちょっと感じたりしたのである
現代日本人って、思った以上に多国籍料理食べて慣れてんじゃないかな

完全版ということで、合計3度の渡台記録が載っているのだけども、
一回目の時、まさにタイトルの通り千公里を走り抜けた時は
まだまだ戒厳令が敷かれているような、戦争が間近にある怖さが漂っていて
そういう鉄道から見た、人の様子、空気というのも興味深いし
入念に下見したにも関わらず、どの本にも掲載されていない鉄道支線が生きていることが判明したりとか
時刻表通りに走ったり、走らなかったり、繋がっているはずの鉄路が繋がっていなかったりとか
色々あやふやな感じが、発展途上を感じさせて面白かったり、
乗り鉄的なこだわりも随所に出てきて、よくわからんが狭軌道なる線路の良さやら、
わざわざ、様々な等級の車両に乗ってみたりとかも面白い
多分、乗り鉄というジャンルの人はより楽しめる内容なんだろうと思うのだが
それはそれとして、当時の台湾を日本人の眼から見ているという点において
非常に面白い本だと思ったのである

ただ、この本にある限り、台湾人はいつも優しいと思える内容だったのがよい
本当によい