CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】戒名探偵卒塔婆くん

2022-09-05 20:59:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
戒名探偵卒塔婆くん  作:高殿円

また、とんでもないジャンルの探偵を作ったもんだ
そんな風に思いながら読んだのですが、
仏教関係を戒名のそれこれ蘊蓄から紹介するかのような
不思議な物語でありました

戒名から様々なことを推理して当ててしまうという
そんな状況、そもそもどんだけあるんだよといった感じなのに
そういう事件があれこれ出てきて、見事解決していく
痛快とも違うんだが、スピーディーで楽しい推理小説でありました
キャラクタがいささか漫画的にすぎるだろうと思ったんだが
まぁ、そういう可愛げも含めて、
あまり深く考えずに楽しむのがよいという感じで、
ほんわかでもないが、でこぼこしながらも、言葉面だけでは虐待に近い愛情が
あちこちからふりまかれつつ、狂言回しの主人公が
戒名探偵としっちゃかめっちゃかしてて楽しかったのでありました

しかし戒名だけで色々なことがわかったり、
その逆もあったりするんだなと改めて驚いたのでありますが
無縁仏というか、無縁墓というものも、よくよく考えてみれば
今のご時世いっぱいあるんだろうなと
改めて考えさせられるところもあった
うちの実家も、墓仕舞をやったところだし、だんだんと歴々紡がれていくものもなくなり、
金満坊主かどうかはさておき、お寺さんも困ってしまうんだろうなと
そのあたりは考えるところもあったと思う

とはいえ、何かを探すというときに年代とか、
そういうもので解き明かしていくという手法そのものは大層面白くて、
古いお墓のルーツをあたり、だんだんと的を絞っていく話は
わくわくして読めたのも確かでありました
最終的には、八つ墓村めいた話になったのにちょっと笑ってしまったけども
よく考えてあるなと、この推理が先にあったんじゃないかというほど
綺麗に話が転がるのが楽しいと思えたのでありました

鎌倉殿の13人  理想の結婚

2022-09-04 20:51:27 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
視聴完了しました
珍しく死人が出ないかと思ったら、さらっと、北条の息子が毒殺匂わせで死に
相変わらず血なまぐさいドラマだと思わされたのでありました
さらにいえば、最期の女の本性を出したあたり、
ああ、やっぱり三谷先生の書く女はすべてああいう感じなんだなと
思い知らされて、なによりも、
きのこが好きな女など存在しないと、強く印象付けられたのである
三谷先生、きのこに恨みがあるんだろうか

さて、のっけから、三浦の怪しい講義といい、
おやじ殿に誘われて、最期まで言葉を濁したところといい
実にいい仕事をしていたわけだけども、
その裏で、楽しそうな和田と小四郎という組み合わせが
前回に引き続いてあるあたりに、
なんというか、誰もかれもが幸せになる瞬間は存在しないというか、
ああいう仮初の幸せによって、小四郎がまた、暗黒面に落ちていくんだなと
思い知らされるのであった
前回の出番だけでは、さすがになと思ってたら、ちゃんと今回も巴が出てきて、
この分だと、和田合戦で戦場に出てきそうだなと思ったりするのである
それはそれで楽しみなんだが、どうなるだろうか

新鎌倉殿の初々しさと戸惑いというか、
かつてなく丁寧に描かれることによって、
悲惨さというか、悲劇さがより際立つようになってきたと思うんだが
小四郎の嫁選びが、ほぼ失敗しているところ、
和田殿のところが完璧なカップルであるところ
そういうのを見て、さて、朝廷からの娘がどんなのか
まだ見えていないというのが、いいところだなというか、
今回、小四郎がひどいのを掴んだという、ただそれだけの話を
おどろおどろしくしただけではないかと
酷い扱いを新たにおぼえたりしたのでありました

とはいえ、畠山のあたりが、だいぶきな臭くなってきて
そろそろやばそうだなと思うのだが、
ちょっと思い返すと、丁寧に悪いシーンだけを描かれている
りくさんと親父殿は、なんだかんだ、子供を失ったりということが続いたりして
結構不幸なんじゃないかなとも思わされるのであった
そう考えると、ことごとく小四郎は恵まれているな
だから、より曇らせにいくんだろうか

金剛の今後が楽しみでならないのだが
とりあえず、今回は、久しぶりに楽しく見られたと思うのである

【読書】精選必至200問

2022-09-03 21:08:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
精選必至200問  著:青野照市

久しぶりに将棋本を読んだんだが
これは何度か読まないといけないと、図書館に返却してすぐ借り直したくなる本だった
買えよという気がせんでもないが、実に素晴らしい
将棋の上達が完全に頭打ちとなっている自分には、よいきっかけとなる本でありました

タイトルの通り、必至問題がただ載ってるだけなんだけども、
この必至問題に取り組むというのが、詰将棋よりもはるかに難しくてやりがいがあってよかった
詰将棋も重要だけど、正直曲芸みたいなそれを解く楽しさは
将棋そのもののそれとは相いれないよなと思っていたところ
終盤の勝ち方に直結する、この「必至」の形を叩き込まれる問題集というのが
大変ありがたいと思われたのでありました
俺の頭がもっと上等なら、これをさっさと丸暗記してしまって
さっさと初段とか獲得できてしまいそうなのにと
考えたりしたのでありました

と、そんなわけで、詰将棋ではなく、必至とするためのパターンを考えるというのが
とてもよいトレーニングになったと感心しきりというか、
詰将棋との勝手の違いというのが理解できて、終盤にどう考えるべきか
なんかふわっとした解決のきっかけを与えてくれたようでよかったのでありました

こういう問題をいくつも解いていると自分が得意なパターンというか、
むしろ、苦手なパターン、どうしてそれが見えないんだというのが
わかりやすく出てくるというのが、なんだか上達している気分にしてくれて
とてもよかったのでありました
また、詰将棋と違って、手数短いのに考えることが必至の方が多い感じがするのもよくて
これは、詰めろ詰めろを考えていくという練習が必要だということを
否応なく教えてくれていて、ただ、王手をかければよいというか、
とりあえず王手をかけておくという縛りがない分だけ
考えることがより多い感じが、新鮮で大変よかったと思うのでありました

と、まぁ、ここまで書いておいて、これは
ただ、必至問題に取り組んだというそれの感想でしかないし、
前に違う必至問題の本でも同じようなことを書いていた気がするんだけども
とりあえず、将棋で寄せ方を考えるためには
ここに出てくる形を全部覚えてしまうのが
一番早そうだと感じたのでありました
3手必至とか、普通に終盤問題だよなと思うんだけども
考えることが多くて疲れるが、これがすいすい解けるようになると
終盤強くなりそうだと思える問題でとてもよかったのでありました

流石、青野先生と思うばかりなんだが
5手詰め問題集よりも、はるかに難しいと感じた
へぼ将棋指しの感想なのであった
手筋の勉強にもよいと思うのである

【読書】二重拘束のアリア

2022-09-01 21:16:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
二重拘束のアリア  作:川瀬七緒

続編無いかなと思ってたら出てました
というわけで、見計らったように図書館で前作を返却したすぐ後に借りられたので
早速読み終えたのでありました
続きで読むと、またひとしお楽しい
賞金稼ぎスリーサムの第二作目であります

前作で話が終わってないじゃんとか思っていたけども、
今作でそれを回収するわけでもなく、新しい展開になっていて
だからといってつまらないはずもなく、ただただ、楽しく読めたのでありました
三人組による探偵話というわけなんだが、
それぞれの奇妙な特性を生かしつつ、根底にある狩猟というそれが
あちこちで見え隠れしながら、獲物の姿が見えてくるというのが
なかなか楽しかったのでありました

今回ので、かちっとはまったというか、
ああ、この人たちが追いかける対象は、だいたいこういう感じになるんだと
思えたんだが、これまた、次回作が出てくるかはわからないところ
ただ、異形とも思えるような、ちょっと人知を超えた
いや、ただのサイコパスなんだけども、きわめて狡猾で法で裁けない可能性が高い輩と
あれやこれやと闘っていくとなると、がぜん面白くなるなと
今回の解決を見て思ったのでありました
こういう理解できない悪というか、ただ興味本位とか嗜虐とかのために、
ひどいことをするという人間はいるなぁという
ものすごい気持ち悪い感じと、それを許さない、だけど、近づくのもかなり危ない
でもやっつけたいというせめぎあいを狩猟よろしくやっていくのが、
三人トリオそれぞれの性格も出てくるし、スキルも出てくるしで
とても楽しいと思えたのでありました
ちょっとしたオカルトとはいわないけども、
こんな感じのある種パニック映画みたいなこと、
実際にあるのかしらねと洗脳の恐ろしさみたいなのを味わいつつ
それよりも、強いのか弱いのか、
ころっと騙されたりするのにフィジカルではまったく負ける気がしない一花の活躍を
また見たいと思ったり、それぞれの保護者感覚もいいなとほんわかしたり
まだ、人物相関が固まっていないようにも見えるところが
とても楽しいと、まさに作られていくさなかのシリーズという感じで楽しんだのでありました