森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

真田丸第11回「祝言」

2016-03-20 23:00:21 | ドラマ (大河)

真田はなんだって利用する。生き延びて前に進むためには。

だんだんそれに慣れて来てしまった。

だからあの時、きりに向かって思ってしまった。

― このバカ女。何をするのだ !

と。

 

祝言を利用して浜松に行った室賀の真意を確かめるために呼び出すなど、信繁には酷い事だと兄の信幸も思ったのだろう。だから信繁と梅には、陰で起きている事、起きる事を知られたくなかった。

その信幸の命(めい)を命(いのち)を張って(たぶん)、こうは舞って、兄を探しに行こうとする信繁を部屋に留めさせたのに、きりによってその配慮も台無しになってしまった。

だから私は「あーぁ」と思ってしまったのだった。

 

だけど信繁は言う。

「梅の為に泣いたのは私ではなかった。」

それはきり。

そうか。

その感覚が普通なんだ。

一生に一度の祝言さえも利用するなんて酷い。そしてその場を血で染めるなんて酷い。

 

でも信繁と同じように、もう私もそうは思えない。

 

※      ※       ※

 

信繁は梅に身分の問題で側室にはなってしまうけれど、他には妻は取らない。だから唯一の妻としてちゃんと祝言をあげると言った。すかさずこの時に、信繁には正妻を含めて四人の妻がとナレが入る。でもこの時の信繁の気持ちは真実だったと思う。私は「フラグ」と言う言葉は、あまり好きじゃないが、その気持ちが真実ならばこそ、どうしてもフラグが立ってしまう、でなければ四人の妻と言うナレには結びついていけない。

それはそうと兄や父は賛成してくれると思うけれど、体裁などに拘る母は難しいと踏む。だけれど策に失敗し、母は決して梅との結婚は許さないとむきになる。それを父は私に任せろと言うが、もとより昌幸は妻に弱いのだ。結局は結婚は許せても祝言の許可は下りず。

きりは精一杯に頑張って、梅と信繁との結婚を祝う。

信繁はきりにそう言ってもらえると嬉しいと、ホッとするような事を言う。ちょっと不思議。

傍から見ても、本当はきりと一緒になるのかと思ったなどと言う言葉が出るように、二人の間にはまだはっきりとは見えない何かがちゃんとあるのだなと、見ているこちら側がホッとしたのだった。

だけれど強がっているだけのきりは席を外すと、我慢できなくなって泣く。その泣いているところに信幸がやって来るが

「源二郎は居るか?」しか言わず、「なぜ泣いている?」と言う一言もない。

 

たぶんテレビ前・・・・

「おいおい!!」と思った人多数かと思われる。

 

一方、浜松の家康に会いに行った室賀を呼び出し、彼の顔色を窺う真田勢。

昌幸父ちゃんは信幸兄ちゃんにいきなり室賀への質問をしろとフル。

「ワタクシですか~?」と戸惑ったように見えたお兄ちゃんだったが、その質問は見事だった。

「室賀殿の肌はツヤツヤ」→「お肌にはウナギが良い。」→「ウナギには浜松」→「浜松に行ったんじゃないの?」

真実を隠す室賀。

それでも室賀は真田暗殺には迷っていたのだった。真田は幼馴染でもあり国衆のリーダーだと認めていたからだ。

だけれど結局は家康側近の本多正信に言い含められ、昌幸暗殺に手を出してしまうのだった。

 

いったんはやらないと言った祝言を室賀を呼び出すために行う事にした昌幸。

真田の館は、隠し扉や隠し穴が楽しい。

祝言の宴の場から室賀を連れ出しともに碁を打つ昌幸。

とうとう碁の勝負では、昌幸は室賀には勝てなかった。

昌幸に襲い掛かった室賀は返り討ちに遭い、この物語から退場して行った。

たぶん視聴者全員に惜しまれながら。

 

 

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「わたしを離さないで」

2016-03-20 00:56:12 | テレビ・ラジオ

今期のドラマの中で、この金曜ドラマ「わたしを離さないで」が私の一番のお気に入りでした。

日本生まれでイギリス育ちのカズオ・イシグロの「Never Let Me Go」(わたしを離さないで)が原作。

 

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
土屋政雄
早川書房

 

この物語は既に映画にもなっていて、私はその予告編を映画館で観ました。

今その映画のHPなどを訪れて動画などを見ますと、ここまでさらしていたのかと驚かされるのです。You tubeで確認した映画館での予告編にも、やはり「ある目的の為に」「特別な使命」「提供」と言う言葉は出ていて、クローンの臓器提供がテーマなのだと容易に推理出来た事を思い出しました。

そう言う映画は、「もういいや」と、その時は思ったのです。なぜなら同じテーマの映画でユアン・マクレガー主演の「アイランド」を見たからです。この映画はSFアクションで物語の設定はかなり衝撃的で、なかなか面白かったのですが、似たようなものならばもう良いと思ったのでした。

でも「わたしを離さないで」の映画は

「この命は誰かのために。この心はわたしのために。」というコピーで、予告編からもまったく切り口が違う事が分かりました。

しかも映像が詩的で美しい。

とっても気になりました。ですが家の近所では公開されていなくて、見に行く事は叶いませんでした。

それのドラマ版となれば期待値が上がるのも無理のない事だと思います。

 

そしてこのドラマは、私の期待に応えてくれた質の高いものでした。

 

どれだけハンカチを濡らした事か。

 

もしも私がある日、今の環境で自分がクローンであると知ったならば、そしたら私は驚くかもしれませんが「それが何か?」と思うと思うのです。クローンは人間だと思っているからです。だけど、クローンゆえに人権もなく自由も未来もないと言われたら、私は何を思うのでしょうか。

「アイランド」のヒーローとヒロインのように戦うのでしょうか。それとも運命を受け入れて生きていくのでしょうか。

 

これはクローンたちから臓器提供を受ける事が出来るようになった近未来を、その提供者側からの視点で描かれたSFです。

でもそれは世界観の設定でしかないような気がします。提供者である彼女たちを可哀想な人たちとは見る事は出来ず、さながら自分たちと重なるものを感じるのは、実は自分たちでさえも本当は何者であるのか分からないのだと、心の底で思っているからなのかも知れません。

 

陽光学園の時代に渡された宝箱。

恭子の宝箱は、生きてきて触れ合った人との思い出の品たちでいっぱいになってしまって、蓋も閉まらなくなってしまいました。

陽光の園長だった美恵子先生は、その宝箱をなぜ渡したのかをこう語りました。

「奪えないものを与えたかった。体は奪われても想い出は奪われないあなた方だけの物だから。」

 

私たちだって、見えない宝箱に想い出でいっぱいにしながら生きているような気がします。

私たちは何処から来てどこに行くのか。何のために生まれてきたのか。その答えなど出せぬまま、そしてやがては死ぬのです。

恭子は、私たちはその生きる目的があらかじめ知らされていただけと語りました。

 

であるならば、生きるとは、その見えない宝箱をいっぱいにするための毎日なのかも知れません。

(これもドラマ内で、もっときれいな言葉でまとめられていましたね。もう一回見ないと、その言葉を忘れてしまったみたいです💦)

 

因みに臓器提供の話は、いかなる分野のいかなる切り口で有っても辛い話が多いような気がします。

 

最後にこのドラマの印象深かったシーン。

美和を演じた水川あさみさん、凄く良かったです。ずっと恭子を苦しめ続けた美和でしたが、その彼女の本心が見えて来た頃から泣きっぱなしです。

そして手術室に向かう時に美和が言う

「わたしを離さないで!!」は二つの意味で心に食い込みました。

一つはヒロインではないのに、タイトルにまでなっている重要な言葉を言うのかという点。そしてもう一つは、そのまま単に心に深く響いたのです。感動と言うのでもなく感銘と言うのでもなく、なんていう言葉が良いのでしょうか。ただただ涙が溢れました。

 

ともが最後に言った言葉も印象的でした。

「もう一度恭子に会いたいとずっと願っていたんだ。会えたばかりでなく一緒に暮らせたなんて。願いはずっと叶っていたんだよ。」

 

夢はずっと叶っていたー。

それに気が付くことが本当の幸せなのかも知れません。

 

命を断とうとのぞみが岬に来た恭子。その足元にトモのボールが流れつくと言うのは予想できた展開でしたが、それでも泣けました。

美しいシーンはたくさんありましたね。

終わってしまって少々ロスの私です。

 

 

わたしを離さないで [DVD]
キャリー・マリガン,アンドリュー・ガーフィールド,キーラ・ナイトレイ,シャーロット・ランプリング
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

 

 

わたしを離さないで Blu-ray BOX
綾瀬はるか,三浦春馬,水川あさみ,伊藤歩,麻生祐未
TCエンタテインメント

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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