「うわっ、これってどう見ても『世にも奇妙な物語』じゃない ?」と私が言うと、
「あっ、俺も今そう思った。」と夫が言いました。
売れない漫画家である夏音が、みんなから「嘘つき」と責められているように感じて過呼吸に陥るシーンは、どう見てもタッチがあのドラマ的だしホラーみたいに見えました。
もしかしたら本当に、亘が言うように夏音が殺してとは思わないが、それと同様の秘密を抱えているんじゃないのかって思えるような感じで攪乱されましたね。
でもこのシーンで本当に怖いのは、彼女が道の真ん中で倒れてしまっているのに、道行く人はそこに彼女がいるのにいないかのようにだれも見向きもしなかった事なんじゃないでしょうか。
群衆の中の孤独ー。
あれは夏音の心象風景でもあったのかもしれません。
ホラータッチで引っ張られて、真相が分かってもとても「なあんだぁ。」とは思えない展開で面白かったです。
― 産み逃げされた。
そんな言葉があるんだと悲しく思いました。
生きている間はずっと孤独。死んだ後には家族が出来て、やっと寂しくなくなるんだとここに出てきた墓友たちは思っていました。
ああ、まるで極楽浄土思想ではありませんか。
その夢が破れてしまった時に、思わず心が狂って犯罪に手を染めてしまった夏音のアパートの隣室の女性。
その女性を庇った人たちも犯人隠避の罪に問われます。だけど一人を除いてみな善人でした。
その一人はけっきょく横領したお金も使い人をも殺そうとしたのですから、一人で罪を背負えば良いのですよ、まったく~。
死んでから幸せになっても仕方がない。生きている間にとか何とかほざいていても、けっきょく快楽の追及に他ならずで、いろいろと裁かれてしかるべきですね。
そして夏音。
再婚して幸せになりたかった母。だけどその母を失いたくなくて、その相手に犯されたと言う恐ろしい嘘をついてしまった過去を持つ夏音。その時に、母は彼女の気持ちを想うことなく、怒りのあまり「嘘つき」となじるのでした。彼女は失いたくなかった物を、その時に失ってしまったのです。
漫画家としてなかなかうまくも行かず、過去のトラウマと闘いながら一人孤独にペンを走らせていた夏音。
その彼女に東京に出て来て、初めての友達が出来ました。
生まれた時から母に捨てられて育った女性と、そしてやはり嘘をついたことで母に去られた夏音。
寂しい二人の女性の静かな微笑みに、ホッとしたような暖かい気持ちになりました。
誰も死ななかった事が良かったし、漫画で最後が語られたのも良かったです。
「相棒」、果敢に今期も挑戦していますね。
ツイッターからの情報で漫画を描いた方は→こにししのぶさん →ここ
シナリオは「14歳」の森下直さん。
視聴率は15.1でした。