山形弁で思わず水にぬれて気持ち悪い時は「やばちぃ」と言うのですね。
ひったくりの現場に遭遇して「警察の仕事だから」と無視しようとしても、故郷の言葉に反応して体を張って助けてしまった詐欺師の平井でした。
故郷とは母の住む場所。
でもその母はとうの昔に平井が塀の中に入っている間に死んでしまっていたのでした。
それでも遠い昔に母と育んだ故郷の想い出は彼にとっては大切な想い出。
物事は単体では存在しません。ああなってこうなってと物語は進んでいきましたが、すべては最後の取調室での右京と平井の落語のオチのような会話の為の前振りのように感じてしまいました。
母の声の「捕まえて」と言う山形弁に反応してひったくりを防いでしまう。→そのひったくりにあった女性に、お礼が言いたいからその人を見つけて欲しいと右京は頼まれる。→右京が動いた結果、彼の美人局と言う詐欺が露見して逮捕。→捕まって家は留守。→その留守宅にサバイバルナイフを持った殺人犯が襲ってきた。
助けてしまったのは「魔がさした。」と言う平井。
右京は、捕まっていなかったら犯人に殺されていたのではないかと言います。そしてそれは「神が手を差し伸べたと言えるのではないか。」とも言うのです。
それに対して平井は「今までさんざん神の名を使って悪い事してきたんだ。そんな俺を神が助けるわけがない。」
「神にも出来心と言うものがあるのでは。」と右京。
で、タイトルが「出来心」ですね。
でも子供の頃の平井を優しく見守る若い母、そして
「こんな所からさっさと出ておいで。」と刑務所に面会に来た老いた母の姿が映し出されていました。
私には神の出来心と言うよりは、死んだ後も、それでもずっと我が子を見守り続けている母の愛を感じました。
コミカルに物語は進み、推理劇としてはまったく面白くは感じられなかったのでしたが、そのラストはとても良かったように感じましたし、なんたってゲストの風間さんが良い感じ。
美人局の罠にしっかり嵌ってしまう青木君はツボでした。
今回のシナリオは「人生最良の日」「右京の同級生」の山本むつみさんでした。