森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「プレイヤー」を観てきました。

2017-08-20 08:10:14 | 観劇・コンサート日記

8月13日にシアターコクーンにて観てまいりました。

 

※         ※          ※

 

劇中にお芝居の練習風景があって、藤原竜也演じる刑事桜井は、そのお芝居の中の役名であって、刑事。

ではその桜井を演じる、あまりメジャーとは言えない俳優の名はと言うと道彦と言う。

これは後で気が付いたのだけれど、お芝居の中のお芝居の名は、皆苗字であり、お芝居の役名は皆名前で呼ばれていたのだった。つまり両方で一つ。

桜井/道彦 時枝/悟 のように。

だからなのか、舞台上のスイッチの切り替えが滑らかに感じた。もちろん演者の演技によるものだと思うが、そんなところにもシナリオのきめ細かさを感じてしまったのだった。

 

だけれど本当は、そんなところにさえ作者の何気ない罠のようなものが仕込まれていたのではと思うのは考えすぎなのだろうか。

 

目の前に舞台があって、その舞台の上で芝居の練習をしているお芝居・・・・

演者は一人・・・・

実は同じ・・・・

 

私がいろいろと情報をツイッターからもらっている事は、いつも書いている事だけれど、

演者の人や、舞台に携わっている人たちの感想ツイートも流れてきて、それが結構楽しい。

特に高橋努さんの「舞台、何日目」みたいなツイートには、観に来てくれた俳優さん情報もあってなかなか面白い。

その観に行かれた方の感想も、なかなか評判が良いのは贔屓にしている役者、つまり藤原竜也氏のお芝居ゆえに、関係者でもないくせに嬉しかったりするもんだ。

 

だけれど、それらのちょっと褒めすぎではないかとも思えるような感想の中に、ただ言葉では分からない1歩奥まったものを感じてしまうのはなぜなのだろうか。

それはたぶん、芝居と言うものに接している者にしか、又は経験したものにしか分からないような、ちょっとした感覚があるのだろうか。

つまり、芝居の中の芝居の人物、その芝居の中の芝居をを演じている人物。私たちが舞台の前で意識してみているのはそこまでで、だけど本当はこの「プレイヤー」と言う芝居を演じている俳優の存在があるのだ。要するに、道彦が演じる桜井と言う刑事。そしてちょっと軽いイメージの道彦。さらにその道彦を演じている藤原竜也。

当たり前の事を言っているようだが、この「プレイヤー」はホラーだと言う。

もしもここで表現されている生と死の間の世界が真実であり、想い出を共有するものを「プレイヤー」となすことが出来ると言うのなら、そしてそこに悪意の罠があるとするならばシアターコクーンにいた私たちは、皆プレイヤーになってしまう確率が高い。

またつまらない事を言うと思われてもかまわない。

そこまで妄想して、ゾクリとくる。

どこかの劇評で見たのかもしれないが、確かに最初ははっきりしていた練習風景とお芝居の物語の分かれ目が、次第にぼやけてくる。曖昧になってくる。

そして・・・・。

芝居と現実との境目がボヤケ曖昧になるのならば、そこにはその妄想からの恐怖が存在していても良いのかもしれない。

 

かくのごとく思考して感じる恐怖とは何ぞやと言う所ではあるが、先日友人は、その時に楽しんで元気をもらって、後に何も残らないような映画が好きだと言っていた。それに反して、私は10年考える事が出来る映画が好みだと答えたのだった。10年考えるとは、まさに白髪三千丈的な言葉でもあるが、後から何気に深く考える事が出来る作品は映画に限らず好きである。

 

上記の感想は、後からつべこべと考えた感想である。

最初は、そんな面倒くさい事は考えなかった。

ちょっとここからはネタバレ。

 

この「プレイヤー」の作者がシナリオを未完のまま死んでしまっていることを知らされた時、だいたいラストのオチは分かったと思う。ただそれをどのように見せてくれるのだろうかと言う期待に胸が膨らんだ。

あの時一人静かに台本をめくる道彦・・もしくは桜井か。

有馬役の賢一郎の熱演に、嫌、高橋努のと言うべきか、なんだか舞台の花を持っていかれてしまったかのように見えるが、奥のブースが近づいてきたときから、一気に逆転する。

そして桜井が語るラストのシナリオ。

思わず「おおっ」と思う。

未完だった舞台の中のお芝居「プレイヤー」が完璧に完成された瞬間だったから。

 

そして、

「これで良いかな、神山さん。」と道彦がプロデューサーの神山に言う。

「えっ !?」

この瞬間にプレイヤーは劇中劇の中から飛び出して・・・・・

私はまたも「おおっ」と思う。

 

「このシナリオ、約束通りネットに挙げて・・」とこの劇中劇の作者のプレイヤーになった道彦が言う・・・・・。

本当の恐怖はこの物語の先にあるー。

 

※        ※        ※

 

百瀬ゆかりが自覚なく落語を熱弁するシーン。何かが近づいてきたと言う事なのか、意味がよく分からなかったけれど、なんとなく怖かったです。

 

※        ※        ※

 

アンコールが一回って、ちょっと不満。

 

※       ※        ※

 

帰り道で考えました。どんなに世界が滅びると言われても、渋谷の交差点の真ん中でラジオ体操第二をやるなんて、絶対に無理。無理ったら無理。

かくして、世界は崩壊してしまったのでした・・・・となること間違いなしです。

 

 

 

 

 

 

コメント (4)
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