7月28日、ツイッターでケメこと佐藤公彦さんが6月24日に亡くなっていた事を知りました。
ショックでした・・・・・。
吉田拓郎氏の音楽が好きになった頃、世間でも空前のフォークブームが起きました。いろいろな方が出てきましたが、皆それぞれに個性豊かでひきつけられる音楽ばかりだったと思います。もちろん異色な方もたくさんいましたが。
私は拓郎氏以外にも古井戸とかも好きで、そしてこのケメさんも凄く好きだった一人なのです。
もちろん好きだったのは彼の歌と声でした。
だけどその頃は彼の事を、「美しい人」だとか「中性的な魅力」みたいな表現をする雑誌もあったように思うのですが、私も彼の着ているものの自由さには憧れのようなものを感じていました。だって彼は可愛いブラウスなんかをよく着ていたのですよね。もちろんいつもではなかったと思いますが、何かの写真では、赤い花柄のブラウスを着ていたと思うのです。
フォークブームは(ブームなどと書くと、ちょっと叱られてしまうかもしれませんが)、男性であっても髪を長く伸ばし、似合えばブラウスを着る、そんな自由を教えてくれたようにも思うのです。
私は結婚をし子供を持って数年、ずっと好きだった人や事などから離れていた時代がありました。あまり器用ではないのです。その数年は映画館でどんな映画が上映され、吉田拓郎氏がどんな新曲を歌っていたかも知りません。代わりに脳内には映画は「ドラえもん」音楽は童謡にすり替わって行ったのです。
だから好きでファンだった人がその後何をしているのかとかどうなって行ったのか、ある時まで知る由もなかったのです。
2005年に自分専用のパソコンを買った時に、数か月は検索ばっかりして遊んでいました。その時に好きだった人の動向を知る手段も少しずつ分かってきました。だけどその頃音楽活動を休止していた彼のことが分かったかどうかは覚えていません。
ある時テレビで彼が結婚していたことや、音楽活動から遠ざかっていることを知ったのでした。
なんだか不思議な映像でした。
何をどのように感じたのかは言わない事ですが、もう彼は普通の人として生きていくのだと思いました。
その時に歌手のケメとの、私の決別があったのだと思います。
それでもやっぱり好きだった方の訃報はショックでした。
その日はずっと彼の音楽の動画を探したり、ネットで彼の事を追ってしまいました。そこには私の知らなかった彼の歴史がありました。
2009年から2014年まで元気に音楽活動を再開していた時代もあったのです。
ずっと彼を応援し続けて、ずっと彼の音楽を追ってくることのできた方たちは幸せだったと思います。
そんな時代も知らなかった私ですが、それでも想い出を語らせてほしいと思うのです。
横浜と言う所は東京に準じるような都会なのかも知れません。その頃はまるで当たり前のように感じていたけれど、いろいろな事で恵まれていました。
頻繁にタダかもしくはタダ同然のようなお金で、その頃たくさん出てきたフォーク歌手の人たちの音楽に触れる機会があったのです。
誘ってくれる友達がいたので、私も良く出かけていました。
ある時、休憩にその会場をふらりと出てくると、その垣根の所にスタッフの方たちと一緒にケメが焼きそばを食べていました。そしてやはり常連のような女の子と普通に会話して頷いたりしていたのです。あまりにも普通の光景で、私的にも凄く普通に感じました。そして挨拶でもしようかとちょっと待っていたように思います。その距離1メートルの所で。
思い出のシーンはいつも断片的です。
挨拶したのかしなかったのか、または友達がしたのかは覚えてはいません。
それから数年がたち、教育実習で母校に戻っていた時、たまたま全国の学校を廻ると言うラジオの番組の収録がありました。その時の進行役がケメだったのです。
なんだかとってもラッキーに感じた楽しい想い出です。
だけどこの時も、本当はちょっと違う事も思ってしまいました・・・・・・・。
地味だけれどいい番組だと思いました。
でも透明な声と素敵な曲で、もっと大きな舞台で羽ばたき続けて欲しいと思ったのは、その時の本音です。
『あおい君と佐藤君』
いつも楽しみに聴いていました。
二人の掛け合いは最高でしたね。
ある時、その会話の中で彼がぽろぽろと泣いたのです。
そしてやっぱり記憶は断片だけを拾って覚えているものだから、いつも何かが足りないような書き方をしていて申し訳なく思います。
ラジオなので見えるわけもないのに、彼の透き通った涙が見えるように感じました。
「ああ、僕この話ね、泣けちゃうな・・・・」と、ケメは言いました。
まるでガラスのような心を持った人なんだなと、胸がキューンとなりました。
繊細ゆえにきっと彼には彼の闘い続けた人生がありましたね、きっと。
時は確かに残酷。
かわいらしかった彼だけが好きだった人には辛い変化かもしれません。
でも、私はこの動画(↓)をアップしてくださった方々に、本当に感謝したいと思います。
65歳と言う人生は短いと、私は思います。
でも楽しそうに語り歌う彼の姿に、私はホッとし思わず微笑んでしまったのでした。
さよなら、そしてありがとう。
そして今は安らかにお眠りください。
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