森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

父の七回忌

2019-05-26 01:17:09 | 梢は歌う(日記)

2013年5月26日に父が亡くなってから6年が経ち、25日に「七回忌」を無事に迎え、そして終える事が出来ました。

このような法要を「無事に迎えた」と言うのは、ちょっと何か違うのかも知れませんが、それを執り行った母にとっては、その言葉はぴったりと当て嵌まるような気がしました。

 

父が亡くなってから葬儀まで1週間の間がありました。その時、友人が

「お母さん、気を付けてね。私の母は父の葬式が引き金になってボケが始まってしまったのよ。」と言いました。

1週間後、葬儀のために実家に行くと、その友人の言葉がまるで予言のように、同じ言葉を何度も繰り返したり、頓珍漢な事を言う母がいて、私は葬儀と別にちょっと暗い気持ちにもなっていました。連れ合いの死のストレスは本当に大きいものなのだと思います。

母と姉はダブルキッチンの二世帯住宅に住んでいます。だけど帰る時に不安に思い、しばらくは一緒に食事をしてあげてと姉にお願いしたのです。姉もそう思っていて申し出ると、母はそれを断りました。今までと同じように、今日は何を作って何を食べようかぐらいは考えて行かないと、ひとり暮らしではボケてしまうと思っていたそうです。

この食事作りはとっても大切な事だったようで、49日に再び横浜に訪れた時は、母は元の母に戻っていたのです。

 

父の葬儀のその年、母は80歳になりました。

今は94歳でまだまだ元気なスーパーばあちゃんの姑さえも、80歳になった時に、今までの生活とは線を引き独居老人卒業を宣言しかけたくらい。80歳とはそんな年齢だと思います。

(姑はその後、その考えを捨て去ったようですが。)

その母は言いました。

「私、七回忌までは頑張るから。頑張って自分がやるから。」

その「頑張る」と言うのは、

― 私は生きる !

― 私は病気にならない !

― 私はボケない !

と言う宣言に他なりません。

「うん、お願いね、お母さん。」と私たちも言っていました。

 

今回もお寺での法要が終わり、車で移動してお墓。そしてまた移動してお食事と言う流れです。

母は墓参りの後、同じ車で移動したのですが、その時うっすらと涙を浮かべ、

「手を合わせながら『お父さん、みんな来てくれたね。良かったね。』って言ったんだ。」と言いました。

 

母の弟が最初の挨拶をしました。

「お墓で私は思い出してしまいました。今から70年も前の事ですが、ひとりの若者がトランクひとつを持って山梨から横浜にやって来たのです。その時我が家は下宿屋をしていて、そこで下宿人になった若者と、私の姉が結ばれて、今、こうしてこのような一族になったのです。」

 

なんたって、娘四人にそれぞれの連れ合いに子供たちですからね。

「みんな」と言う言葉がふさわしい一族なんだと思います。

 

次に父の弟が献杯の挨拶をしました。短い挨拶でした。ただ一言

「これからもお姉さんをよろしくお願い致します。」と言うもの。

 

私は母の涙にも叔父の挨拶にも心がジンワリしましたが、この父方の叔父の一言にもジーンとしました。もちろん私たちの連れ合いたちは、母とは血の繋がりはないわけですが、それでも後はみな血縁のものばかりです。父の弟とその妻と息子と言ったら、やはり母とは血の繋がりのみで言ったら他人です。だけどその人が、娘とその連れ合いたちに向かって、母をよろしくと言ってくださるなんて、優しさを感じずにはいられませんでした。

 

母が言いました。

「お父さんが亡くなってから、一度も夢に出てきたことが無いわ。なんでかしら。」

だから私は答えたのです。

「それはね、お母さんがやるべきことを全部やっているからよ。」

母は月命日の墓参りを今まで欠かした事がありません。

「きっと墓参りを二・三回サボれば、『どうして来ない~?』って、夢に出てくるよ。」ってね。

 

お食事。

 

そしてお土産。

 

この一年で、母の老いを凄く感じている私たちです。

この七回忌が終わって、母はたぶんホッとしていると思うのですが、力が抜けないように、また新たな目標を見つけ、みんなで楽しんでいきたいと思っています。

 

・「キシキシと心が軋む音がする」   一周忌の時の記事です。

・「時は奪うのみにあらず」      三回忌の時の記事です。

 

※ お父さんへ

お食事の時、誰も、お父さんの思い出話とかしなかったけれど、だけどそれはお父さんの事を忘れたからじゃないから安心してね。
お母さんがお父さんの写真をお墓に飾って、みんなで手を合わせた後、お母さんが
「お父さんが笑っているね。」と写真を見て言った時、
「本当ね。」と答えたみんなの言葉に嘘はなかったんだよね。

お父さんは、きっとみんなの事を見ていたのかもね。

 

 

 

 

コメント (2)
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