森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

ツキヨの黒猫

2019-10-03 02:23:46 | 梢は歌う(日記)

10月1日、バイトが終わってから近所のスーパーに行きました。

 

増税後の初日から買い物なんて嫌だなと思いましたが、パンと牛乳が無いので仕方がありません。

だから絶対に8%の物しか買わないぞと決めていました。行ってみたら、カードで買えば1日限定で7%引きだとか。

このスーパーではいつもカードでお買い物なので、何の抵抗もありません。だからと言ってわいのわいのとは買ってはきませんでしたが、ちょっとしたお得感はありました。

お店側だって、この増税から買い控えが起きる事は分かっている事なので、いろいろと策を講じているのでしょうね。

 

さてさて、うちの方は東京よりの千葉と言っても、けっこう田舎で、路地に入れば家のお向かいは家庭菜園の畑などと言う所も結構あって、そんな所は夜は本当に暗いのです。

危機管理能力が高いナイトウォーカー(吸血鬼ではない)など、決して歩かない道です。

だけど私はこちらの方が近道で、危ない人も待ち伏せている甲斐がないほど人が通らない事を知っているので、フネフネとその道を行くのです。(別の言い方をすれば、危機管理能力欠如)

暗い視界に暗い道、そこに1匹の黒猫が歩いてきました。

自由に歩き回る猫を見たのは久しぶりだったので、嬉しくなって

「はーい !」などと声を掛けましたが、無視されました。

 

えーっ!?

「はーい」って何  ?

ってなものですが、猫好きさん、歩いている猫をスルーなんて出来ないと、むしろ私は思います。

そして私は大人げない人なので、その猫に

「ニャイニャイ」と言ってやりました。

「無視してるんじゃにゃいよ。」という意味です。

すると黒猫は驚いたような顔をして、しっかりと横を向き私を見たのです。

 

ジィーーーーっと、見ながら歩いて行く猫。

誰だったかしらと言う顔だったと思います。

すれ違ってしばらくして、また私は気になって振り向くと、その黒猫も同じように振り向いていたのです。

目を合わせる私たち。

ちょっと嬉しい私。

 

そしてまた歩いて、そしてまたも振り向くと、黒猫はツンツン歩いて去って行く所でした。

 

未練タラタラで恋人と別れた人のように、私はしょんぼりして月夜の・・・・あっ、嘘ついちゃった !?

月なんか出ていたかしら。見た記憶が無いな。しょんぼりもしていなかったかも。

世の中にはさ、大ウソつきでありながら、「正直すぎる」と言われているとまた嘘をついている人もいるらしいですから、この程度なら良いんじゃないかしら。

持って帰りますと言いながら、ふと気が変わってパン屋の外のベンチで腰かけて座っても、良いんじゃないかしら。

映画館内で食べようと思って買い求めたポテトを、ロビーでつまみ食いしたってこっそりやればいいんじゃないかしら。

ああ、そうやってどんどんと姑息になり、貧しくてもちっぽけな人生でも、公明正大で堂々と真っすぐに生きて行こうと思っていたささやかな願いまで、この国の税制は、その根元をチマチマと食いちぎって行くのではないかしら。

 

だけどその日の空は確かに藍色で、なんだか二度も振り向いた私がちょっと可笑しくで、暗い夜道を明るい顔をして歩いて行きました。

暗い視界の暗い道、向こうからやってきた黒猫。

ただすれ違っただけですが、ほんの微かな明るさを感じた夜の道だったのでした。

 

トップ画像はその猫にあらず。

じゃあ、何処に居た猫かと言うと、明日からはその猫がいた場所の話から始めて、その後もずっと同じテーマで書いて行く予定です。

 

 ※ 朝、ちょっと追記しました。


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