森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「輝くか、狂うか」の感想

2020-10-30 01:58:42 | 海外ドラマ

チャン・ヒョク繋がりで、この作品を選びました。

これは歴史ドラマの形を成してはいますが、どちらかと言うとラブロマンスに感じました。最初の方のワン・ソとシンユルのパートは、時代劇のラブコメかと思えるほど楽しかったのですが、徐々に深いお話になっていきました。

登場人物も、そのワン・ソ(チャン・ヒョク)、シンユル(オ・ヨンソ)以外にも、高潔な貴公子ワン・ウク(イム・ジュファン)、魔女のように恐ろしかったけれど、すこぶる聡明な美女のヨウォン姫(イ・ハニ)、最強の戦士でまた愛の戦士でもあったセウォン(ナ・ジョンチャン)など、登場人物は皆魅力的でした。

「ホテルキング」のイ・ドクファもワン・シンニョム役で出ていました。またやはり「ホテルキング」にも出ていたと言ったら、キム・ソニョンもですね。

徐々に韓国ドラマのバイプレーヤーに詳しくなってきました。

 

詳しくなってきたと言ったら、なんだかドラマを見るたびに、ほんの少しだけですが、お隣の国の歴史に詳しくなってきたように思います。

その前に簡単なあらすじを載せておきます。と言いましても、テレ朝のHPからお借りしました。

《時は高麗初期。皇宮に不幸を招くという破軍星の下に生まれた皇子ワン・ソ(チャン・ヒョク)は皇宮を追われ、金剛山で育つ。ワン・ソの父、ワン・ゴンは権力争いの絶えない皇宮を建て直すため、ワン・ソを呼び戻すが、自身は何者かに暗殺されてしまう。ワン・ゴン暗殺の犯人を追って中原の開封(ケボン)にやって来たワン・ソはその地で渤海最後の王女、シンユル(オ・ヨンソ)に出会う。
―5年後、ワン・ソは腹違いの姉であり、豪族ファンボ家を母に持つヨウォン(イ・ハニ)と結婚していたが、今もワン・ゴン暗殺に隠された陰謀を追っていた。その頃、シンユルも青海商団を率いて高麗にやって来ていた。ワン・ソとの再会に胸をときめかせるシンユルだが、ワン・ソは彼女に気付かず、さらに彼が結婚していると知り、すっかり失望してしまう。
一方、ワン・ソの妻ヨウォンは弟のワン・ウク(イム・ジュファン)を次期皇帝の座に就けるべく、密かに陰謀を巡らせていた。その先には死んだワン・ゴンの従弟で皇宮の支配者、ワン・シンニョムの姿があった。 》HP→こちら

 

以下はネタバレを気にせず書いています。

高麗を建国させた太祖が、この物語の主人公ワン・ソのお父さんです。その太祖が亡くなった後、皇帝になったのは長男の恵宗。恵宗を排除する事に加担して次の皇帝になったのは、ワン・ソと同母兄である定宗。

この兄の皇帝をワン・ソは必死に守ろうとしていましたね。

この兄は、自分は皇帝の器ではなかったと気付き、ワン・ソに譲位することを決めるわけですが、実際にも4年で病死と在籍期間は短かったようで、気の毒な皇帝でしたね。

なんだかんだと困難を乗り越えて、ワン・ソが高麗4代目の皇帝になりました。

一緒に宮廷に来てくれると信じて疑っていなかったワン・ソに、シンユルは別れを伝えるのでした。

せっかく繋いだ命だから、限りある命を大切にしてやりたかった事にをやるとシルクロードを目指して旅に出るシンユル。

 

だけどシンユルは、本当は分かっていたのかも知れません。

破軍星の下に生まれた皇子ワン・ソを光り輝かせるのは、ある星の元に生まれた女性で、それがヨウォン姫と自分なのだと。だけど一人は死ぬか去らねばならない事を。

 

別れる事が辛くても、旅立つシンユルの顔は晴れ晴れとしていました。

それなのに玉座について、豪族から祝辞を受けるワン・ソの顔は無表情に近く、その対比が切なかったです。

 

ワン・ソは光宗になり次々と善政を行います。

その16年後。

光宗は険しく寂しそうな顔をして、蝶の片羽だけのギョクハイだったものを、何故か対で持ち、そして見覚えのあるシンユルの婚礼衣装にそれを仕舞うのでした。

そして物語の冒頭の子供たちの宮廷大冒険が始まるシーンに戻るのです。

呪われた皇子様はお姫様に出会うのか ?

どっちのお姫様に ?

と、子供たちはためらうことなく老いたウンチョンに尋ねます。

「出会う人とは会おうとしなくても出会うものでございます。」とウンチョンは語ります。

そして、ワン・ソとシンユルの再会のシーンになり、二人は抱き合ってこの物語は終わりです。

 

ファンタジーのように始まって、そして皇子様とお姫様はまた出会い幸せになりましたと言うおとぎ話の終わりのようなイメージなのか、ラスト近くから何もシーンに説明がありません。ボーっと見ていると、さっぱり訳が分かりません。

 

見た人の自由解釈で良いのかなと思いました。

16年後のあの日、たぶんシンユルは亡くなったのだと思います。

どんなに「会うな」「行くな」と言われても、なんだかんだと言って「ケボーン、ケボーン」と会いに行っていたワン・ソ。別れた後も、それでもいつか再会を夢見ていたに違いありません。

深い絶望の顔で部屋を出て行った理由が分かると言うものですね。

そしてあの子供たちは誰なのかという疑問があったのですが、それはヨウォン姫との子供たちでしょう。

ヨウォン姫には皇后になると言う野望がありました。でもそれは強い皇帝を助け、皇帝の子供たちが豪族たちの権力争いの道具にされ殺し合わなくて良い世界を作ることと、高麗と言う国を輝かせることのためでした。

星の占いは当たっていて、ヨウォン姫はワン・ソの政治には欠かせない人だったのですね。だけど女性としての幸せを思うと寂しくはなかったのかと思っていたので、子供たちに恵まれたと分かってホッとしました。

ラストのシーンが、よく分からなかったので「光宗」について調べてみたら、5人の子供を儲けていて、どの子も皇后との子供なのです。

そしてその側室の欄を見てみたら、二人の側室がいてその一人は「渤海国王族出身」と書かれていて、思わず「おおっ」と思いました。

 

光宗の在位は26年。

それから更に10年の時が経ち、ようやくワン・ソはシンユルと会えたのだと思いました。

別れの時に、「次にあったらなんて言えばいいのだ。」と問うワン・ソにシンユルは

「『元気だったか。また会えて嬉しい。』と言ってください。」と応えました。

 

美しいままのシンユルに、若々しくあの時のままのワン・ソは、蝋梅の花が咲き乱れる丘の上で、

「すまない。ここまで来るのにずいぶん掛かった。」と言い、そしてあの時の言葉を言うのでした。

「元気だったか。また会えて嬉しい。」と。

 

美しくも切ないラストで、私はちょっと泣けました。

 

 

 

 


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