※ 今シーズンも何気に全話の感想を書いているので、遅れている分から簡単ですが、書いておこうと思います。
私、子供の頃から二時間サスペンスを見過ぎてしまったせいか、お涙頂戴的なネチネチもしくはジトジトしたお話は嫌いです。温泉女将が頑張る話も、人情何とかが推理する話も、もうあまり見ません。最後の犯人への同情が大きすぎると言うか・・・・・。
だけど今回、時にはそのネチネチモードも必要だなと思えて来てしまったのでした。
宇野は、奪われた自分の本当の人生を取り戻したかったと言うような事を言いました。
私も、ひどい話だなと思いました。
もしもその時、彼が養子に行っていたならば、その会社の社長になり政治家の娘を妻に持ち、ゆくゆくはその政治家の後継者になるだろうと言う人生は自分の物だったと、彼が思うのも、分かるような気がするのです。
そしてその養子の話を止めてしまったのは、その殺してしまったかつての親友の
「行かないでくれよ。」という一言からだったのですから。
裏切られた気持ちがするのは当たり前ですし、会いに行けばけんもほろろ。
でもまあ、その男から見れば、後ろめたさもあっただろうし、何を言い出すかも分からないし、関わり合いたくない相手だったと思います。
だけどその時、そのかつての親友だった男が謝ったら、宇野は許したのでしょうか。そうとう怪しい事だと思いますが・・・。
そして宇野は、男を殺し妻になる政治家の娘を脅迫し、尚且つ娘の行いをその政治家に知らしめて、その政治家さえも言いなりにさせてしまうのです。
とうとう宇野は、自分が取り戻したかったものを手に入れたのでした。
だけど、彼は結婚式の時に屋上から式に集まった人たちを見下ろしていました。祝う気持ちなど一欠けらもない人たちの集まりです。そこにあるのは偽りだけ。
この時彼は何を思って見降ろしていたのでしょうか。
「自分の人生を取り戻す云々・・・。」と、宇野。
「その人生を選択した。その時点でそれは紛れもないあなたの本当に人生だったんですよ。」(いつもながらセリフは不正確です。)と、右京。
右京の簡潔すぎる正論。
宇野は、その言葉を否定はしませんでした。
ただこの時私は、
「××さんは、子供の時、お母さんの再婚相手とそりが合わず、それで養子に行ったのですよ。お母さんは××さんよりも新しい夫を選んだのです。彼には家に居場所がなかったんです。彼は親に捨てられたと思っていたかも知れませんよ。
それにあの人が死んでも、婚約者の奈穂美さんは一欠けらの涙さえ流しもせず、全く悲しんでもいませんでした。
だけどあなたのお母さんは、体も弱くひとりであなたを育てるのは大変だったはずなのに、ずっとあなたを見守り、あなたが警察に捕まった時には、『すまない』と言うような陳情書を書いたくらいなのですよ。またあなたには、ずっとツイてなかった人生を共に嘆いて、アリバイ工作までしてくれる女友達までいるじゃないですか。
あなたはその人生を選択したのです。紛れまないあなたの人生だったのでは ?」
とネチネチと言って貰いたかったです。
でもきっと、彼には十分すぎるほど分かっていたのですね。自分が手にしていたかも知れない人生の夢を見る。それは一夜の夢であり、そして彼は最初から、その夢の目覚め方を決めていたのかも知れません。彼にとって、その夢は華やかな夢のような夢ではなく、悪夢にすぎなかったのかも。
後味の悪い回でしたね。
しかし、捜一の皆さんの悪夢は始まりそう。(いや、実際には描かれないと思いますが。)だってあれ、減俸ものの失態ですよね。
と言うわけで、次の回の録画を見なくっちゃ♬