森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

母の誕生日会

2015-06-08 09:56:58 | 家族スナップ

月一実家帰りを出来る範囲でですが、数年前から心がけています。

それは両親がちゃんと健在だった頃に、どちらかが具合が悪くなってから急に通いだすと、「いかにも」と言う感じがして嫌だなと思ったからです。

実家に帰るのは日常の習慣にしようと思ったのでした。

細かい事は述べませんが、こう言うことを当たり前にしておくと、いろいろな場面で自分が楽だと思います。

 

ところで今月は6日の日に、東京まで出掛ける用があったので、そのまま横浜に帰る事にしました。

でもその翌日の7日は、なんと母の誕生日ではないですか。

 

私たちが帰ると、母はいつもお寿司を取ってくれたり新しく出来た洋食屋さんで出前を取ってくれたりするのですが、今回は誕生日でなくても自分で作ろうと思っていました。

実はこの月一帰省には、昨年からもう一つの意味合いが私には生じてしまったのです。

それは独立して出て行ったラッタ青年に会う事なんです。

〈やっぱり子離れしていないのかも。〉

この数か月は二人で外で食事をしたこともあったし、この彼にとっては祖母の家でもある実家で会った事も数回。

私は今回は母にもですが、この息子にも自分の作ったご飯を食べさせたかったのだと思います。

だって自分の作ったものをみんなで食べるって、本当に素敵な事だと思うんですよね。

別にお料理は得意ではありません。それに自分では作ることの出来ない美味しいものを、素敵なお店や出前で頂くのも楽しい事だとは思うのですが、私的にはそれは「一番」じゃないんです。

 

最初は私一人の帰省の予定でしたが、呼び掛けたら姉妹全員集合になり俄然楽しさが増してきました。

エビフライは妹からのリクエストで、てまり寿司はラッタ君の提案。

朝、早くから家を出てやって来た妹も入れて全員でてまり寿司のネタを買いに行き、みんなで作りました。

 

姉が母の誕生日会ならぬ昼食会を始める前の挨拶を私にしろと言うので、

「お母さん。私たちはこれからもお母さんのすねをかじって生きて行こうと思います。だから出来るだけ長く生きてそのすねをかじらせてくださいね。」と言うろくでもない、いかにも私らしい挨拶をしました。

 

食事を作っている時にラッタ君が

「ばあちゃんは、一体いくつになったんだ。」と聞いてきたので

「82歳よ。」と伝えたら

「もうそんなになるのか。若いな。まったくそんな風には見えないよ。」と言ったのです。

 

もちろんこの話は、さっきのろくでもない挨拶にさりげなくねじ込みました。

 

母はすごく嬉しそうな顔をして、そして言いました。

「82歳で初めてこんな事をしてもらって・・・・」

 

この言葉は別に嫌味でも何でもないんです。でも、私は「本当だなあ~、」としみじみとした気持ちになりました。

父の時は何か節目の時には、その誕生日に合わせて集まったりしたのですが、母にはそういう機会もなく、またそう言う発想もなく今まで来てしまいました。もちろんささやかなプレゼントは渡してはいますし電話などでお祝いも言ってきましたが、このようにこの日に合わせて集まったことなどなかったのです。

なんだか親不孝だったなー。

一瞬の短い間にそんな想いが過りました。

 

「あっ、なんだか涙が…」と母は言いました。

こんな程度の思い付きでそんなに喜んでもらって・・・・と思ったら、母がせき込みだしました。

咳をしながら

「涙が喉にまわったみたい・・・」などと

その続きを言うので、コホッコホッゲホッっとなり思わず心配になって

「気合を入れて、咳をした方が良いよ。ちょっと今日、何かあったらね、新聞に載っちゃうからね。
『82歳の誕生日の涙の挨拶で咳き込んで死亡。』
シャレになりませんて。」 !

と言うわけで、母の涙のもらい泣きバージョンと言うシーンはボツになりました。

 

 

メニューの品数は少ないけれどなんたって量が多いので、お腹がいっぱいになりました。

 

 

 一人ひとり個別のケーキ。私はココナッツのケーキ。母は普通のショートケーキでしたが、凄く美味しそうでした。

近所に美味しいケーキ屋さんがあるって素敵な事ですよね。

 

帰る時に、仏壇に手を合わせ、父の写真に心の中で

「じゃあ、またね。」と言うと、なんだか写真の中の父は、本当に笑っているように見えました。

― まさかね。

と思いましたが、この日に実家に帰ろうと思ったのはたまたまだと思っていたけれど、本当は

「この日に来い。」と父に呼ばれたのかもしれないと感じたのです。

「うん。またね。」と私はもう一度父に言い、ちょっとだけ涙で瞼が濡れたのでした。



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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おかあさま (はなこころ)
2015-06-08 14:17:31
82歳
おめでとうございます。
あったかい誕生ランチでしたね~
なんだか、私までうれしい。

私も、月一で
父のところに帰るようにしています。

・・はなこころ
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うちのお父ちゃんと (koumama)
2015-06-09 07:57:45
同じ年ですね。
お母さん嬉しかっただろうなぁ。
家族でお祝い。。最高だよね。おめでとうございます

こういう時間をたくさん
作ってあげたいと私も思う。
いい日だったね。
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おめでとうございます (ヤマザキ)
2015-06-09 18:03:03
おかあさまおめでとうございます♪
お誕生日、私と一日違いなんですね~~!
おとうさまも本当に笑ってくださったんだと思います☆
いいお話しをありがとうございました☆
またね!!
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ゥン((^ω^ )ゥン (キミコ)
2015-06-09 23:00:24
こんばんわ!
やっと落ち着いて書く事が出来ます^^
kiriyさんの文章には生半可なコメントが出来ないもので^^

そうなんですよ!
自分の作ったものを人に食べてもらえるのは幸せです
料理の醍醐味は食べてくれる人においしいと言ってもらう事です
食べてくれる人が居ないのは気楽ではあっても張り合いがありませんよね

ご姉妹でよってたかって料理出来るって幸せなひと時ですわ^^
私の妹はもう亡くなっていてそんな幸せな時間を共有する事はできません
それを思い出すにつけ寂しさを感じますよ

お母様にしたらきっとすごく大きな意義のある食事会でしたね
幸せを噛みしめた言葉でしたねえ(σωv、)ホロリ

良いものを読ませて頂いてありがとうございました^^

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はなこころ様 (kiriy)
2015-06-09 23:04:17
ありがとうございます♪

みんなで集まる事が出来て、それも嬉しかったです。

>私も、月一で
父のところに帰るようにしています。

やはり。
そう言うお年頃なんですよね、私たち^^
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koumama様 (kiriy)
2015-06-09 23:10:06
ありがとうございます☆本当にいい日でした。

そして、お父様と同じ年だったんですね。

>こういう時間をたくさん
作ってあげたいと私も思う。

頻繁に訪れて、いつもたくさんのいい時間を持たれてる
koumamaさん。大切な時間ですね。私ももっともっと見習いたいと思います。
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ヤマザキ様 (kiriy)
2015-06-09 23:14:16
ありがとうございます。

そうなんですよ~☆一日違いなんです。
たぶんこの事、密かに毎年思っていたと思うんです(笑)

ヤマザキさんの誕生日も素敵でしたね。
さりげなく「おめでとう」と家族に言われることが、一番嬉しいですよね。手作りカードならさらにその上。

女の子は良いな。ちょっと羨ましいです^^
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キミコ様 (kiriy)
2015-06-09 23:54:06
>kiriyさんの文章には生半可なコメントが出来ないもので^^
えええーーー!?

てけとーで良いですよ~ (笑)

>自分の作ったものを人に食べてもらえるのは幸せです
そうですよね、本当にそう思います。

だけど私、普段は手抜き料理ばっかりしています。
そんな私でも、特別な日の一番はみんなで〈もしくは自分で〉作ったご飯をみんなで食べる事なんだと思います。

.>ご姉妹でよってたかって
フフフ。前の記事を覚えてくれていたのねって思ったら・・・
妹さん…お亡くなりになっていたんですか。

この日はとっても楽しい日だったのですが、ほんのちょっとだけ妹と心がすれ違う場面があって、後から反省したんです。

でも共有する時間が持てるって、本当に幸せな事なんですよね。
それは母にとっても・・・。
またもちょっと涙ぐむ私・・・・。

ありがとうございます、キミコさん。




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