「一体私たちってどれだけおしゃべりなの?」と私は友人に言った。
一年に一回ぐらいしか会わない彼女だけれど、今年は二回会った。二回目は、彼女と食事した後に、又久しぶりになってしまった友人の家に一緒に行く予定でいたのだ。だけど彼女とのおしゃべりが弾んで、既に3時間が過ぎていた。
「もう行かなくちゃ、行きそびれちゃうよ。」
「そうだよね。こんだけ話したからって、この半年のあなたの近況を結局知ったわけではないし。」
「本当だよね。そう言えば私、病気の話しかしていないし。」
「私はね、今年はあちらこちらに行って、紅葉を見まくったよ。」
「ええ~、何処で・・・ってまた話が始まっちゃうじゃない。何でそれを最初に言わない!!」
私たちは笑いあって、ようやく店を出た。
今年は家の周りの紅葉は余り綺麗ではなかった。
台風が来て葉が落ちてしまった後で紅葉が始まったからだ。
綺麗な紅葉を求めて、あちらこちらに行ったのか。
ちょっとだけ「いいな!」って羨ましかった。
でも今年はそれどころじゃない。羨ましいけれど、まあいいかと言うところ。
だけど、又別の日、用があって駅前まで出かけた私。
その帰り道で、その銀杏を見つけたのだ。
この街に何十年も住んでいる。
でもこの季節に、この木を見た事がなかったのだ。
三つの道路に囲まれた小さな小さな公園。囲いもなくてベンチがひとつ申し訳程度においてある。小さな公園なのに高い木が何本も植えられている。ここを通る人たちは、この場所を余り公園だと脳内で認識していないのではないかと思う。私もそうだったから。だからここの木が銀杏だなんて意識した事がなかったのだ。
こんなに輝いていたのにね。
街の中で。
松ぼっくりも銀杏の葉っぱも綺麗。
松ぼっくりは12月の飾りにはいろいろ使い道があるのよね。
綺麗な葉っぱは栞にしたい。
でも拾わない。
悲しいけれど、この地がホットスポットなのは事実なんだよ。
だけど、・・・
ほら見て。
町の街路樹の銀杏が貧弱だった今年の秋、周りの木々に守られて、台風の時にも葉を落とすことなく見事に色づいた小さな公園の大きな木。
ああ、いいな♪
きっと誰も気にとめもしない、だけど私の素敵なウォームスペースを見つけたよ。