本日6/20、中央区教育会定期総会が開催された。
そこで、講演会が開催され、私も拝聴した。
演題:民間からみた「これからの日本」-“Made by Japan”の時代
講師:野村グループ本部 コーポレート・シティズンシップ推進室
シニアコミュニケーションオフィサー
池上 浩一氏
まず、世界と日本の状況分析をし、
日本の教育の在り方の提言をした。
日本の状況分析は、“少子高齢化”
世界の状況分析は、“グローバル&フラット”
この二つの状況で、
日本が、世界と共存し、競争に勝つには、
教育が大切であるということであった。
投資という異色の分野から、
提言は、ある意味新鮮であった。
また、投資という異色の分野の方も、
教育の重要性を理解していただいている点に、
感銘を受けた。
拝聴して、若干、違和感を感じる部分はあった。
それは、
結構、池上氏は、“競争に勝つ”ことに、
大いに重きを置いているという印象を受けたことである。
投資の世界は、まさに勝つか負けるかであり、
負けてしまっては、お客さんに損を掛けてしまうわけで、
ゆるされない。
そんな厳しい世界の人であるがゆえに、
“競争に勝つ”ことが、体に染み付いており、
それが、講演にも現われたのであろう。
あくまで、私の受け取った印象であり、
参加されていた中央区の学校の先生方が、
どのように受けとっていらっしゃるか、
聞いていないので、なんとも言えないが。
教育の目標の一方に、
「子どもたちの可能性が開け、才能が伸びること」が
あってよい。
才能が伸びた結果、「競争に勝つこと」が、
ついてくるかもしれない。
もう一つの目標として、「人間性を豊かにすること」がある。
こちらの視点が、本日の講演では、
弱いような気がした。
ただ、池上氏の講演は、学ぶべき点が多くあり、
非常に参考になったのは、確かである。
以下、参考になったことを、書き置く。
①何を次世代に託すか
有名な音楽家バーンスタイン氏の挨拶を引用:
私は、確かに年をとっていますが、
まだこうして生き永らえています。
年老いた私は、今再び選択をせまられています。
残された人生をいかに音楽と人々に尽くすことができるかを。
善良なる神は私にピアノが好きであった頃の昔に戻って
ベートーヴェンのソナタを全部弾きなおすことを、
それとも総てのブラームスのシンフォニーを
今一度毎年指揮することをお望みでしょうか。
また作曲家として様々な音楽を書くことにこそ専心すべきでしょうか。
この問題について私はずっと考えてきました。
皆さんも71歳にもなればわかるでしょう。
結論は残されたエネルギーと時間を「教育」に捧げることです。
とりわけ若い人たちとできるだけそれを分かち合うことです。
私の知る限りの音楽や芸術一般について、
さらに芸術だけでなく芸術と人間の関係について、
そして一人の人間であることを自覚し、
自分を見つめ、己を知り、
自分に最もふさわしい仕事をすることです。
⇒高齢者の技や知識を、
子ども達が学べる場作りが大切だと、
私も思います。
②国が滅びるのはなぜ?
塩野七生氏の文章を引用して:
私が歴史から学んだことの一つは、
才能ある人間が少なくなったから
国が滅ぶのではなく、
才能ある人間を活用する
メカニズムが機能しなくなったから
滅ぶということです。
能力ある人間は、
いつの時代にもいるんです。
⇒ローマ帝国のように日本も没落していくのでしょうか。
今まさに、その分岐点に日本はあると私も思います。
才能ある人間、やる気のある人間が、
活躍できるメカニズムを整備するのが、
政治であると考えます。
③Made in Japan ⇒ Made by Japan
Made in Japan ;
日本で商品を生産し、
世界に供給して
日本が高度経済成長(戦後から1970年代を経て1989年まで)
↓
Made by Japan;
日本の資本や技術を
世界に供給して
世界経済が発展
⇒日本が生き残る考え方である。
④経済的競争力をつける必要十分条件
元財務官 行天豊雄氏の文章を引用して:
企業、個人が国境を越え始めたからこそ、
労働者だけでなく、国や県のサービスが
世界レベルで比較される時代に。
民に出来ない仕事は、極端に言えばない。
どちらが費用対効果に優れているかで、
官と民の分担を決めればよい。
今の日本で必要なのは、
経済、外交、軍事、理念、文化、技術(知識水準)の
各分野のバランスを取って、
国の競争力を高めること。
経済的な競争力を強めるための
必要かつ十分条件は、
Ⅰ自由な市場の確保
Ⅱ市場参加者によるリスクの理解
Ⅲ公正なルールの厳格な適用
⇒まさにI~Ⅲは、とても大事なことである。
ただ、市場原理が先走り、
肝心の公正なルールの適応があいまいになると
最悪な結果を招きかねないとも思う。
そのひとつが、コムスン問題。
⑤世界に起こっている変化(フラット化する世界)
トーマス・フリードマン著『フラット化する世界』より引用して:
世界に起こっている変化は、
第一の変化;ベルリンの壁の崩壊と共産主義体制の終焉
第二の変化;中国とインドが資本主義経済に門戸を開放
第三の変化;オフショアリング(労働集約型産業の空洞化)
賃金コストの圧倒的に高い日本から、
安い中国、ベトナム、ポーランドなどへ
生産拠点だけでなく、研究開発拠点も含め、産業が移動すること。
第四の変化;インフォーミング(グーグル図書館)
ネットでいつも、さまざまな文献にすぐに行き当たり、
容易に知識を得ることができるようになったこと。
第五の変化;アウトソーシング(IT革命とインドの目覚め)
ITを利用して、米国での様々なことが、インドでなされるようになってきた。
インドは、知的水準が高く、英語が使える特性があるため。
アウトソーシングの例は、
*米国の所得税申告の処理がインドでなされる。
*米国企業のコールセンターはインドにある。
*米国企業はインドに遠隔アシスタントをおき、翌朝には、
資料作成終了
*インド人学生が、ネット家庭教師として米国の子どもに数学を教える
⑥フラット化する世界
トーマス・フリードマン著『フラット化する世界』より引用して:
我々の子ども達は、中国やインドなどアジアの子ども達と
いよいよもって真っ向から競うことになる。
教育を軍隊的にしろというのではない。
ただ、米国の若者をぬるま湯的な状態から出して、
物事をきちんとやらせ、
長期的利益のためにほんの短い間の苦しみに耐える心構えを
持たせるために、
もっと手を尽くさないといけないと言っているのだ。
不幸なことに、
米国には国民につらい事をやってほしいと呼びかける
気概と意思のある指導者が絶えて久しい。
今がよければいい、
というのではなく、
未来の国の大きな大義のために犠牲を払い、
もらうのではなく、
差し出すように、と国民に求める指導者がいない。
いや、そういう指導者がいないのは、
我々の責任なのだろう
ー今の我々の姿、子どもの育て方が、
そっくりそのままそこに反映されているのだ。
⇒米国のことが書かれているが、日本こそ、
アジアに追い越されると池上氏が、言っていた。
⑦短期的日本復活論と長期的日本楽観論
短期的日本復活論;
企業の経常利益(連結)が、バブル期を抜いて、
右肩上がり
長期的日本楽観論;
その要因は、
1)民営化
2)移民政策(500万人移民受け入れ?)
3)東アジア自由経済圏(共通通貨の導入?)
4)国家エネルギー政策(新エネルギーの創出?)
5)国際分業
アジアを中心に国際分業を深化させ、
生産性の上昇と分配率の安定を図り、
成長するアジア市場と共存共栄しつつ、
グローバル・レベルの企業統治で
リスクマネーを呼び込む。
例えば、情報家電、ロボット、燃料電池、コンテンツなどへ
⑧“地方格差”は実はない!!!
世界中の企業が次々と国境を越え
労働者がネットと通信で国境を越える
フラットな地球社会が出現した。
世界中の労働者と自治体が
国境を越えた競争に直面する時代。
韓国の流行語は「両極化」、
中国でも一日の収入が1ドル未満の
貧困とされる層が、
現在でも1億人以上いるとされる時代。
“地方格差”という言葉に惑わされてはいけない。
ウオールマートの本社は、
人口が1万5000人に満たない
アーカンソー州ベントンビルにある。
フラットな世界では、誰でも、
どこにいてもチャンスがつかめる。
⇒私も講演を聴いていて、「はっ」ときづかされた。
現在は、首都圏に機能や人口が集中しているが、
ただ、地方にチャンスがないわけではないと。
トーマス・フリードマンのいうように、
フラット化しているのであるから、
同じようにチャンスはあると。
自治体の破産の話が多々出ているが、
資金があれば、地方は再生するチャンスを大いに
もっていると考える。
以上のようなところが、ポイントであると感じた。
そこで、講演会が開催され、私も拝聴した。
演題:民間からみた「これからの日本」-“Made by Japan”の時代
講師:野村グループ本部 コーポレート・シティズンシップ推進室
シニアコミュニケーションオフィサー
池上 浩一氏
まず、世界と日本の状況分析をし、
日本の教育の在り方の提言をした。
日本の状況分析は、“少子高齢化”
世界の状況分析は、“グローバル&フラット”
この二つの状況で、
日本が、世界と共存し、競争に勝つには、
教育が大切であるということであった。
投資という異色の分野から、
提言は、ある意味新鮮であった。
また、投資という異色の分野の方も、
教育の重要性を理解していただいている点に、
感銘を受けた。
拝聴して、若干、違和感を感じる部分はあった。
それは、
結構、池上氏は、“競争に勝つ”ことに、
大いに重きを置いているという印象を受けたことである。
投資の世界は、まさに勝つか負けるかであり、
負けてしまっては、お客さんに損を掛けてしまうわけで、
ゆるされない。
そんな厳しい世界の人であるがゆえに、
“競争に勝つ”ことが、体に染み付いており、
それが、講演にも現われたのであろう。
あくまで、私の受け取った印象であり、
参加されていた中央区の学校の先生方が、
どのように受けとっていらっしゃるか、
聞いていないので、なんとも言えないが。
教育の目標の一方に、
「子どもたちの可能性が開け、才能が伸びること」が
あってよい。
才能が伸びた結果、「競争に勝つこと」が、
ついてくるかもしれない。
もう一つの目標として、「人間性を豊かにすること」がある。
こちらの視点が、本日の講演では、
弱いような気がした。
ただ、池上氏の講演は、学ぶべき点が多くあり、
非常に参考になったのは、確かである。
以下、参考になったことを、書き置く。
①何を次世代に託すか
有名な音楽家バーンスタイン氏の挨拶を引用:
私は、確かに年をとっていますが、
まだこうして生き永らえています。
年老いた私は、今再び選択をせまられています。
残された人生をいかに音楽と人々に尽くすことができるかを。
善良なる神は私にピアノが好きであった頃の昔に戻って
ベートーヴェンのソナタを全部弾きなおすことを、
それとも総てのブラームスのシンフォニーを
今一度毎年指揮することをお望みでしょうか。
また作曲家として様々な音楽を書くことにこそ専心すべきでしょうか。
この問題について私はずっと考えてきました。
皆さんも71歳にもなればわかるでしょう。
結論は残されたエネルギーと時間を「教育」に捧げることです。
とりわけ若い人たちとできるだけそれを分かち合うことです。
私の知る限りの音楽や芸術一般について、
さらに芸術だけでなく芸術と人間の関係について、
そして一人の人間であることを自覚し、
自分を見つめ、己を知り、
自分に最もふさわしい仕事をすることです。
⇒高齢者の技や知識を、
子ども達が学べる場作りが大切だと、
私も思います。
②国が滅びるのはなぜ?
塩野七生氏の文章を引用して:
私が歴史から学んだことの一つは、
才能ある人間が少なくなったから
国が滅ぶのではなく、
才能ある人間を活用する
メカニズムが機能しなくなったから
滅ぶということです。
能力ある人間は、
いつの時代にもいるんです。
⇒ローマ帝国のように日本も没落していくのでしょうか。
今まさに、その分岐点に日本はあると私も思います。
才能ある人間、やる気のある人間が、
活躍できるメカニズムを整備するのが、
政治であると考えます。
③Made in Japan ⇒ Made by Japan
Made in Japan ;
日本で商品を生産し、
世界に供給して
日本が高度経済成長(戦後から1970年代を経て1989年まで)
↓
Made by Japan;
日本の資本や技術を
世界に供給して
世界経済が発展
⇒日本が生き残る考え方である。
④経済的競争力をつける必要十分条件
元財務官 行天豊雄氏の文章を引用して:
企業、個人が国境を越え始めたからこそ、
労働者だけでなく、国や県のサービスが
世界レベルで比較される時代に。
民に出来ない仕事は、極端に言えばない。
どちらが費用対効果に優れているかで、
官と民の分担を決めればよい。
今の日本で必要なのは、
経済、外交、軍事、理念、文化、技術(知識水準)の
各分野のバランスを取って、
国の競争力を高めること。
経済的な競争力を強めるための
必要かつ十分条件は、
Ⅰ自由な市場の確保
Ⅱ市場参加者によるリスクの理解
Ⅲ公正なルールの厳格な適用
⇒まさにI~Ⅲは、とても大事なことである。
ただ、市場原理が先走り、
肝心の公正なルールの適応があいまいになると
最悪な結果を招きかねないとも思う。
そのひとつが、コムスン問題。
⑤世界に起こっている変化(フラット化する世界)
トーマス・フリードマン著『フラット化する世界』より引用して:
世界に起こっている変化は、
第一の変化;ベルリンの壁の崩壊と共産主義体制の終焉
第二の変化;中国とインドが資本主義経済に門戸を開放
第三の変化;オフショアリング(労働集約型産業の空洞化)
賃金コストの圧倒的に高い日本から、
安い中国、ベトナム、ポーランドなどへ
生産拠点だけでなく、研究開発拠点も含め、産業が移動すること。
第四の変化;インフォーミング(グーグル図書館)
ネットでいつも、さまざまな文献にすぐに行き当たり、
容易に知識を得ることができるようになったこと。
第五の変化;アウトソーシング(IT革命とインドの目覚め)
ITを利用して、米国での様々なことが、インドでなされるようになってきた。
インドは、知的水準が高く、英語が使える特性があるため。
アウトソーシングの例は、
*米国の所得税申告の処理がインドでなされる。
*米国企業のコールセンターはインドにある。
*米国企業はインドに遠隔アシスタントをおき、翌朝には、
資料作成終了
*インド人学生が、ネット家庭教師として米国の子どもに数学を教える
⑥フラット化する世界
トーマス・フリードマン著『フラット化する世界』より引用して:
我々の子ども達は、中国やインドなどアジアの子ども達と
いよいよもって真っ向から競うことになる。
教育を軍隊的にしろというのではない。
ただ、米国の若者をぬるま湯的な状態から出して、
物事をきちんとやらせ、
長期的利益のためにほんの短い間の苦しみに耐える心構えを
持たせるために、
もっと手を尽くさないといけないと言っているのだ。
不幸なことに、
米国には国民につらい事をやってほしいと呼びかける
気概と意思のある指導者が絶えて久しい。
今がよければいい、
というのではなく、
未来の国の大きな大義のために犠牲を払い、
もらうのではなく、
差し出すように、と国民に求める指導者がいない。
いや、そういう指導者がいないのは、
我々の責任なのだろう
ー今の我々の姿、子どもの育て方が、
そっくりそのままそこに反映されているのだ。
⇒米国のことが書かれているが、日本こそ、
アジアに追い越されると池上氏が、言っていた。
⑦短期的日本復活論と長期的日本楽観論
短期的日本復活論;
企業の経常利益(連結)が、バブル期を抜いて、
右肩上がり
長期的日本楽観論;
その要因は、
1)民営化
2)移民政策(500万人移民受け入れ?)
3)東アジア自由経済圏(共通通貨の導入?)
4)国家エネルギー政策(新エネルギーの創出?)
5)国際分業
アジアを中心に国際分業を深化させ、
生産性の上昇と分配率の安定を図り、
成長するアジア市場と共存共栄しつつ、
グローバル・レベルの企業統治で
リスクマネーを呼び込む。
例えば、情報家電、ロボット、燃料電池、コンテンツなどへ
⑧“地方格差”は実はない!!!
世界中の企業が次々と国境を越え
労働者がネットと通信で国境を越える
フラットな地球社会が出現した。
世界中の労働者と自治体が
国境を越えた競争に直面する時代。
韓国の流行語は「両極化」、
中国でも一日の収入が1ドル未満の
貧困とされる層が、
現在でも1億人以上いるとされる時代。
“地方格差”という言葉に惑わされてはいけない。
ウオールマートの本社は、
人口が1万5000人に満たない
アーカンソー州ベントンビルにある。
フラットな世界では、誰でも、
どこにいてもチャンスがつかめる。
⇒私も講演を聴いていて、「はっ」ときづかされた。
現在は、首都圏に機能や人口が集中しているが、
ただ、地方にチャンスがないわけではないと。
トーマス・フリードマンのいうように、
フラット化しているのであるから、
同じようにチャンスはあると。
自治体の破産の話が多々出ているが、
資金があれば、地方は再生するチャンスを大いに
もっていると考える。
以上のようなところが、ポイントであると感じた。