1.あわてず騒がず、状況確認
2.携帯ラジオをポケットに
3.作っておこう帰宅地図
4.ロッカー開けたらスニーカー(防災グッズ)
5.机の中にチョコ/カロリーメイト(簡易食料)やペットボトル(飲料水)
6.事前に家族で会議(連絡手段や集合場所)
7.安否確認(伝言ダイヤル・メール・遠くの親戚など)
8.歩いて帰る訓練を
9.季節に応じた冷暖準備(雨具・携帯カイロ・タオルなど)
10.声を掛け合い、助け合おう
(『大地震 東京危険度マップ』より)
下のブログの続きですが、区民の有志の皆様の、防災をテーマにした勉強会に講師として、お招きいただきました。
会に先立ち、難しい(“厳しい”)質問が寄せられました。いつもは、質問する側ですが、攻守交替といったところで、質問を受ける側の辛さが身にしみて分かりました。
以下、いただきました質問と、それへの回答です。
いつもは、回答といえば、「中央区の回答」を聞いたものを書いていますが、今回は、中央区の防災のあり方を分析して、私なりに見出した「小坂の回答」です。また、【課題】とは、回答したような現状から見出された「小坂の考えた課題」です。
質問(1):中央区の防災計画に基づく区民への啓発の活性化をどう進めるか。
回答:『中央区地域防災計画』を、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条に基づき、中央区防災会議が作成しています。
現在、平成18年度修正のものが最新版として現在用いられるとともに、同様な問いは、平成18年度修正版でのパブリックコメントでも出されておりました。
パブリックコメントより、
「コメント:地域防災計画に、どのような役割や効果があるのかわかりません。また、書かれている内容に関してもよくわかりません。どんなに優れた計画であっても、住民に届いていないのでは意味がないと思います。専門知識のない一般住民にも分かりやすい形で広報・周知していただけないのでしょうか。
回答:地域防災計画は、防災関係各機関が全力で、区民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的としています。また、災害対策基本法で作成を義務付けられており、計画に記載すべき事項についても細かく定められています。
区では、この計画について、区民及び事業者の方々に知っておいていただきたい、重要な部分をわかりやすくまとめた「概要版」を作成し周知を図っていきたいと考えております。」
皆様、ご指摘のように、区民への啓発の活性化がとても大切です。
そのために、中央区が行っている事柄は、1)~5)があります。
1)中央区防災会議への市民代表の参加
中央区防災会議は、中央区長を会長とし、委員59名(定員60名)で構成されています。(「中央区防災会議条例」(昭和38年3月中央区条例第13号))市民が防災政策の形成に主体的に参加する仕組みとして、この中央区防災会議にも市民代表を3名(日本橋、京橋、月島の各町会連合会会長)が参加することになっています。
ただし、多くの関係者が一堂に会した会議開催の場では、実質的な審議を深めることが、とても難しいのが実情です。
○中央区防災会議(委員59名) 会長 中央区長
中央区、東京都(建設局、港湾局、水道局、交通局、下水道局)、警視庁、東京消防庁、 消防団、陸上自衛隊、海上保安庁、郵便局、NTT東日本、首都高速道路、 東日本旅客鉄道、東京地下鉄、東京ガス、東京電力、医師会、歯科医師会、薬剤師会、 地域町会連合会会長、社会福祉協議会
2)「概要版」を作成し周知を
パブリックコメントの回答のように『中央区地域防災計画』の「概要版」を作成し、周知を図っています。
3)パブリックコメントの実施
パブリックコメントを実施し、区民の意見を取り入れて『中央区地域防災計画』を作成しています。
4)パンフレット『わが家わがまちの地震防災』の全戸配布
平成20年1月に分かりやすいパンフレット『わが家わがまちの地震防災』を作成し、全戸配布を行い、周知を図っています。
『わが家わがまちの地震防災』では、『中央区地域防災計画』の「概要版」の内容が、わかりやすく網羅され、盛り込まれています。
5)防災拠点運営委員会と防災区民組織の整備(『わが家わがまちの地震防災』24、25ページ)
23の防災拠点すべてに、防災拠点運営委員会(21委員会)及びその下部組織の防災区民組織を整備しています。
各地域の防災拠点運営委員会で、その地域の「防災拠点活動計画書」や、その活動内容の手順を具体的にまとめた「防災拠点活動マニュアル」を作成しています。
そのような、区の取組みはあるものの、私が考えている課題を述べます。
【課題】
①防災拠点運営委員会を、開かれた会にしていく必要があります。
例えば、いつ開催されるかを、事前にその地域にお知らせし、関心のある住民は、会へ、傍聴者として出席を可能にします。委員会で話された内容は、「お知らせ」が作成されますが、その「お知らせ」を対象地域にきちんと配布します。
②「中央区防災基本条例」を制定し、区民参画の下、『中央区地域防災計画』を作成していくことを明確にすることや、区民、事業者、区の責務を明らかにすると共に、防災のひとづくり・まちづくりの推進、災害時の要援護者への配慮などを謳うことが、さらなる防災への取組みの向上につながると考えます。(例、板橋区防災基本条例)
「中央区防災基本条例」を、住民参加型で作成していくプロセスそのものが、防災に対する区民の意識の啓発の活性化につながります。
質問(2):大地震発生時の中央区内住宅の建築上の安全度の把握はどうなっているか。
回答:「応急危険度判定」についてのご質問となりますが、余震による被災住宅の倒壊、部材の落下等による二次被害を防止するため、区は専門のボランティアの協力を得て「応急危険度判定」を行います。
現在、103名の建築士の資格を有したボランティアが在籍しています。
参考:平成19年決算 土木建築費の5項都市整備費 2目建築行政費「防災ボランティアの育成支援」250,221円支出。備品購入に満てました。
ちなみに、
* 耐震診断などへの支援(『わが家わがまちの地震防災』40ページ)
耐震診断、耐震改修への助成制度があります。
【課題】
①耐震改修を施行し、耐震化率の向上をもっと目指していく必要性があります。
質問(3):避難誘導における注意事項、町会など自治組織との連携についての準備状況。
回答:町会など自治組織との連携についてですが、各町会は、防災担当者を決め、当該地域の防災拠点運営委員会に参加しています。(『わが家わがまちの地震防災』42~45ページ)
避難誘導における注意事項は、パンフレット『わが家わがまちの地震防災』12、13ページに書かれていますが、
「いつ?」「どこへ?」「どのように?」避難するかを明確にして、避難することが必要です。
「いつ?」とは、
①「通常避難」では、家屋が焼失や倒壊(またはその危険がある)時。
②「避難勧告・避難指示」が出された時。
③火災が拡大した時。
「どのように?}とは、
①避難に先立って、)ガスの元栓を締め、電気のブレーカーを落とす。)窓や扉を閉める。)連絡メモを目につく場所に残す。)非常用持出袋(『わが家わがまちの地震防災』16、17ページに持ち出しものの詳細あり)を持って。
②避難に出発する時は、)家族、隣近所と声をかけあって、)目的地を理解し、)要援護者優先で行動、)徒歩で、)防災区民組織等のリーダーの指示に従い、秩序よく。
「どこに?」とは、地震時、基本的に、防災拠点(避難所)になります。(大火災の危険があるときを除き)
① 防災拠点(避難所) ;住居を失った人や被害を受ける恐れがある人を一時的に保護するための場所で、小中学校など公共施設23箇所を指定。防災拠点の受け入れ能力を超えた場合、「副拠点」が設置される。
② 広域避難場所 ;地震発生時に大火災の危険があるときに避難する場所。大規模公園や大規模な耐火建築物地域等区内に5箇所指定(東京都指定)。なお、銀座・日本橋などの地域は、大火災の危険が少なく避難する必要がないことから「地区内残留地区」となっています。
③ 一時(いっとき)集合場所;広域避難場所へ避難する前に、一時的に集合して様子を見、または避難のための集団を形成するための場所。公園など38箇所指定。
避難誘導の留意事項として、「福祉避難所」のことがあります。
* 福祉避難所(『わが家わがまちの地震防災』26、27ページ)とは、
福祉避難所の開設は、避難所として予定している施設の安全を確認後、受入体制が整い次第開設します。その時点で、いったん通常の避難所である学校に避難されている方のうち学校での生活が困難な方を、福祉避難所へ移送することを旨としております。
最初は、防災拠点に避難することになります。
①「地域福祉避難所」(6か所)
専門的な補助は必要ではないが通常の避難所での生活を続けることができない方(要介護1~3、身体障害者2~6級の方)を対象とします。
実施施設:築地社会教育会館、日本橋社会教育会館、浜町区民館・浜町敬老館・浜町児童館、 月島社会教育会館、佃児童館・シニアセンター、月島社会教育会館晴海分館「アートはるみ」
②「広域福祉避難所」(6か所)
要介護、障害の程度が高く専門的な補助が必要な方(要介護4~5、身体障害者1級、知的障害者、精神障害者の方)を対象とします。
実施施設:特別養護老人ホーム「マイホーム新川」、特別養護老人ホーム「マイホームはるみ」、 介護老人保健施設「リハポート明石」、知的障害者生活支援施設「レインボーハウス明石」、福祉センター、教育センター
もうひとつ、避難誘導の留意事項として、「要援護者」「災害時地域たすけあい名簿」のことがあります。
* 「要援護者」への手助け、災害時地域たすけあい名簿(『わが家わがまちの地震防災』26、27ページ)
区では、高齢者、障害者など災害が起きたときにひとりで避難するのが困難な方の避難を支援するため「災害時地域たすけあい名簿」を作成しています。
「災害時地域たすけあい名簿」とは 、ひとりで避難するのが困難な方が名簿への登録を希望した場合、地域の防災区民組織や民生委員、警察署、消防署に名簿を事前に提供し、災害時の避難を支援する仕組みです。
【問い合わせ先】福祉保健部管理課庶務係 電話 (3546)5342
【課題】
①災害時地域たすけあい名簿の周知が、不十分。
その制度があること自体の周知と、個人情報を保護しつつも、災害時に、有効に機能しうるように、その方を守る人にきちんと情報を伝えておくことが必要です。
質問(4):中央区に勤務している方や居合わせた人々(区民以外)への対応をどのように考えているか。
回答:「帰宅困難者対策」の件ですが、区内に事業所45,000で733,000人の従業員、約45,000人の買物客がおり、帰宅困難者は、381,583人発生すると予想されます。(都内全域3,918,359人)
(東京都防災会議「直下型地震による東京の被害想定」平成18年5月発表より)
帰宅困難者に対し、①広域的な対策、②都の対策、③区の対策がとられます。
①広域的な対策
首都圏を構成する埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市及びさいたま市の八都県市が、コンビニエンスストア等と協定を結び、水道水やトイレの提供、道路や避難所などの情報提供を行うこととしています。
②都の対策
徒歩で帰宅する人を対象とした道路の指定
幹線道路16路線を指定、この幹線道路から半径2km以内に帰宅支援ステーションを配置
帰宅支援ステーション
都立学校・都税事務所・集配普通郵便局などを帰宅支援ステーションに位置づけ、水・トイレ・情報提供などの支援を行う。
災害時サポートステーション
都内約1600箇所のガソリンスタンドなどと協定を締結し、水・トイレ・情報提供などの支援を行えるようにする。
③区の対策
集客施設
区内の劇場や映画館などのホールを持つ集客施設と、帰宅困難者の一時休息場所やトイレなどの設備使用する支援を行えるように協議中。
事業者への普及啓発
災害時、事業者の果たす役割として、①従業員、顧客の安全確保、②経済活動の維持、③地域住民への貢献の三つがあります。
中央区では、「組織は組織で対応する」ことを基本とし、事業所の役割として、以下の対策を推進するように普及啓発しています。
その一貫として、事業所防災対策推進のための冊子「防災スコープ」「事業所地震対策マニュアル例(防災スコープ追補版)」を配布しています。
なお、事業所の防災マニュアルは、都の条例に基づき、事業者が自ら作成することとなっているところです。
<事業者が【平常時】すべきこと>
・徒歩での帰宅が困難な従業員を把握する。
・従業員や顧客の3日分の支援物資を備蓄する。
・ 帰宅ルートの確認の徹底、訓練を行う。
・ 帰宅に必要な情報収集、提供方法を確立する。
・ 従業員と家族の安否情報手段を周知する。
・事業所防災計画に帰宅困難者マニュアルの作成を盛込む。
<事業者が【災害時】すべきこと>
・交通機関の運行状況や道路の被災状況、給水所、休息場所など帰宅に必要な情報を提供する。
・食料や飲料水を提供する。
・就寝場所を提供する。
・従業員と家族の安否確認を行う。
【課題】
①企業との連携を強化し、災害時は、地域の「戦力」となってもらえる関係を構築していく。
②企業が、防災区民組織や防災拠点運営委員会と連携をとっていくように指導する。
③企業が、どれだけ防災マニュアルを整備しているかを把握し、整備している率の向上に努める。
質問(5):河川、運河を避難や救助への運搬、移動に活用する方法について検討しているかどうか。
回答:水辺輸送の活用についてですが、地震で橋梁交通に支障があった時や、風水害で広域が浸水したとき等陸上交通が遮断された場合、本区は水辺環境が豊富であり、かつ防災船着場も整備しているため、水上輸送を活用することが有効であります。
区は、災害時に水上交通を利用した救護、復旧活動ができるよう国や都、関係団体などと連携し、災害時の水上輸送のしくみを整備しています。
現在、災害時に遮断された陸上交通網の補完や緊急物資輸送、救助活動等船舶の効率的な活用を図るため「防災船着場」 を、次の5箇所に設置しています。
日本橋川常盤橋防災船着場
隅田川明石町防災船着場
隅田川浜町防災船着場
隅田川箱崎町防災船着場
隅田川新川防災船着場
【課題】
①再開発に伴うスーパー堤防整備時(例、湊二丁目東地区再開発計画)に、防災船着場の整備も同時に行うことを都に働きかけていく。
②食料の海上輸送訓練を、銚子市などと行う。
質問(6):地下街対策についての取り組みにつて、地震はもちろんの事、ゲリラ豪雨の対応等も合わせてお願いいたします。
回答:(『わが家わがまちの地震防災』32、33ページ)
中央区では、時間雨量50㎜程度の降雨(バケツをひっくり返したように降る雨)では、河川の氾濫が起こらないように下水道施設の整備が完了しています。
しかし、短時間に局地的な大雨が降る集中豪雨の場合には、地階や地下室で雨水の流入や下水道の氾濫などに注意が必要です。
また、中央区を流れる隅田川・神田川・日本橋川流域に、既存下水道施設の処理能力を超える大雨が降り、水があふれた場合の浸水予想結果にもとづいて、浸水する範囲とその浸水深、避難場所等を示した地図として、「洪水ハザードマップ」を作成し、区民部防災課、土木部管理課で配布しています。
また、区のホームページでもご覧いただけます。
【中央区洪水ハザードマップのアドレス】
http://www.city.chuo.lg.jp/kurasi/saigai/saigai1/kozui01/index.html
【課題】
①個別で、洪水時危険と思われる箇所がございましたら、教えてください。個別ケースへの対応が必要です。
質問(7):街は至る所に不法看板、桃太郎旗、はみ出し商品、違法自動二輪・自転車等が歩道に溢れ無秩序な街を作っております。
これでは震災が起こればたちまちこれらが障害物となり被害を大きくします。
この取り組みについてどの様にお考えでございますか。
回答:(『わが家わがまちの地震防災』11ページ、外まわりの安全対策)
防災の観点からは、防災拠点までの避難経路を事前に、上記の障害物の状況も踏まえて把握し、改善の余地がある場合、当局(私達地元区議や、防災区民組織、行政の防災課等)に改善を求める旨を報告してください。
安全な避難経路の確認のためには、「DIG(Disaster Imagination Game)」という災害時のための図上訓練で、地域の危険場所を地図に書き込みながら、手作りのハザードマップを作成する手法もあります。
避難経路としては、大きな道を通ることを考えて設定してください。『中央区防災計画』では、「緊急道路障害物除去路線」を指定し、災害時に緊急物資輸送が支障なく行えるように道路上の障害物を端に寄せ、陥没・亀裂を応急的に補修する路線を設定しています。
その路線を移動時に用いることが、安全であると考えられます。
なお、中央区としては、違法自動二輪駐車や違法自転車駐車を減らす様に、再開発時に、駐輪場を整備するなど、駐輪場・駐車場の拡大に努めています。
【課題】
①『わが家わがまちの地震防災』などの「防災拠点マップ」に「緊急道路障害物除去路線」を同時に記載するように提案しています。