東京都中央卸売市場長 比留間英人様
「豊洲地区試錐コアの開示ならびに保全」ならびに
「都民・消費者へ早急に同地区土壌汚染とその対策に関し説明責任を果たすこと」
に関する要請文
この程、「NPO法人 市場を考える会」に、都から豊洲地区試錐コア(以下、コアサンプル)を廃棄処分した旨の通知が入りました。
コアサンプルの開示については昨年11月、日本環境学会の坂巻幸雄先生や都民の皆様が、情報開示資料を閲覧した際に、情報開示担当者に、現物のコアサンプルの閲覧を希望しており、ことあるごとに口頭で請求を繰り返してきました。
しかし、都は、「開示対象になるかの調査中」として回答を引き伸ばしてきました。
本年3月30日には日本環境学会が「豊洲地区試錐コアの開示ならびに保全に関する申入書」を都知事と比留間英人市場長宛に提出されました。
又、5月21日に都説明会に川内博史代議士が訪れた際も、コアサンプルの廃棄をしないことをあらためて申し入れをしたばかりです。
日本環境学会の申入書に対する6月25日付での都からの回答によりますと、コアサンプルの開示、保全ならびに公開討論会の開催のいずれもお聞き入れいただけなかったということでした。
7月6日都に廃棄の詳細をたずねたところ、建設調整担当課長より「廃棄の内部手続きを開始した。業者選定の後1,2ヶ月程度で廃棄完了の予定。」として、実際「廃棄」までは行っていないが、その過程にあるとの回答がありました。
廃棄の詳細は、同建設調整担当課長によれば「今回廃棄の対象は、先行ボーリング(不透水層の位置を確認するためのもの)の62箇所分と、絞込み調査の441箇所分」だといいます。
尚、10mメッシュで表層土と地下水の調査した「詳細調査」にあたるコアサンプルの採取保存はしていないとのことです。「詳細調査」は、コアサンプルを保存していない以上、再度検証することができなくなりました。科学的検証の効かない不完全な調査と言えます。
コアサンプルは、豊洲土壌汚染の現状を把握し、土壌汚染に対する有効な対策を実施するための重要な資料であります。
自然科学分野での研究成果の確度は、追試等の厳密な検証手段によって、同一の結果が得られるのか、どうかによって決まります。
従って、専門家会議・技術会議の結論が、何らの学術的検証を経ないまま「安全宣言」の形で一人歩きしたり、また、その「暫定的な結果」が「確実な結論」と化して広報されることは、事実の正確な把握と、都民の真の安全保障という見地からは、甚だ問題があると言わざるを得ません。
豊洲新市場建設計画は、生鮮食料品を扱う市場を日本最大級の土壌汚染地へ移転する計画です。食の安心・安全のために、慎重に慎重を重ねて、検証検討していかねばなりません。
コアサンプルを破棄することなく、きちんと保全と開示を行うことを、ここに強く要請いたします。
あわせて、公開討論会など都民・消費者に納得の行く形で説明責任を早急に果たしていただけますよう要請いたします。
平成21年7月7日
第五回築地市場を考える勉強会
参加者 一同