映画、王兵(ワン・ビン)監督の作品「無言歌」を見た。
文化大革命の隠された悲劇。
1956年、毛沢東が、未来を思い自由にいきいきと発言することを歓迎すると言ったその数ヵ月後、「反右派闘争」と称する弾圧が始まった。思惑を越え、党支配の正当性にまで及ぶ批判が噴出したとある。55万人と言われる右派分子とされた人々が送られた再教育収容所。ゴビ砂漠の収容所では、農場作りの強制労働に従事させられ、食料さえも飢饉続きでほとんど当たらない。
スクリーンには、極限の状況を生き抜いた人々の尊厳のために… と言った言葉が示された。
そうした彼らによる証言や証拠からも、この時代の未曾有の悲劇の根底には圧政、恐怖、組織的暴力があったことが実証されるとしている。今なお名誉回復がなされてはいない人たちがいるのだという。 (…パンフレットを参照しながら)
食料が底をつき、その代用のものを探しに外へ出た。ポスターのこの男性は、厳しい寒さの中這いつくばりながら枯れ草をちぎり、砂埃を払い胸のポケットにしまっているのだ。「それでも、人を想う」…。
息が詰まる。肩に力が入ってしまうのをほぐしながら見た。自分がどんな年代を過ごしていたかと考えあわせていた。
中国本土での上映は禁じられているそうだ。