
朝、いつまでも腰をあげることなく、テレビもつけっぱなし状態の日が多くなってしまったこの頃。そのせいで、今頃になってこの一週間、朝の連続ドラマ「カーネーション」を見ることになった。なんとまあテンポのよいしゃべりかと驚かされて…。大阪人はこんなに歯切れがよく、こ気味よいほどにポンポンとした物言いをするのだろうか。誰かをモデルにしたものなのかと尋ねるほどだった。
今朝ものんびりしていたら、映画に行こうとのお誘いがかかった。大抵は即答だ。けど今日は一瞬迷いが生じた。とても映画に行っている場合ではない、よなあ…。やらねばならないことができていない。今日明日でする予定だった… けどなあ… まあいいか~…。
結局、待ち合わせ時間を決めた。あたふたと支度して飛び出して、帰宅してみたら5時に近かった。
数日前、新聞で見かけたシネマ歌舞伎上映開始の案内を、大事に切り抜いておいた。泉鏡花作品『天守物語』(1月)、『海神別荘』(2月)、『高野聖』(3月)の三作が順次上映される。見逃す手はない。ちょっとタイミングが悪かったけれど、見たかったのだ。
幕は上がって
「餌は白露」「千草八千草秋草が、それはそれは、今頃は、露を沢山(たんと)欲しがるのでございますよ」と侍女たちは「お天守の五重から釣を」している。言葉の美しさが感じられて心地よい。
「奇異妖変さながら魔所のように沙汰する天守」に住む異界の富姫(玉三郎)。
「美丈夫、秀でたる眉に勇壮の気満つ」る、凛々しい若き鷹匠・姫川図所之助に海老蔵さん。
「真の恋は心と心…」「千歳百歳(ちとせももとせ)にただ一度、たった一度の恋だのに」「あのお方を 私にくださいまし」富姫だ。
文章を読む以上に美しいセリフとなって繰り出される言葉が印象深かった。
人間は疑い深い、卑怯で臆病でわがままだ。昨日今日、今までもお互いに友と呼んだ人たちが、手の裏を返すように刃を向ける。鏡花は富姫にそんなことも言わせながら、やはり「幻想的な」と言う表現が一番似合うのか、終りよし・・・。
恥ずかしそうに見える きまりの悪そうに見える が、やっぱり嬉しそうに見える
はっはっはっは 睦まじいな、若いもの
無性に焦りを感じるばかりで何も手につかない。こりゃあかんわ…。今夜は諦めて明日に勝負をかけて~、でよしとしよう。