京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

なんというタイミングで

2018年05月01日 | こんな本も読んでみた
今朝は、寝床の中で鶯の鳴き声をしばらく聴いていた。ちょっとゆっくりしてしまった朝。


4月27日から京都非公開文化財特別公開が始まている(~5月6日)。伏見区にある長建寺で、幕末・明治の女性歌人大田垣蓮月の短冊も公開されるとあって、足を運んでみた。この界隈は、秀吉によって宇治川と濠川を結ぶ形で港が設けられ交通の要衝となり、三十石船が伏見と大阪を行き来した地で、長建寺は水と縁のある弁才天を本尊とする真言宗の寺院。寺田屋も近く、NHK大河ドラマでの福山龍馬人気にあやかって私も周辺を散策した思い出もあるが、これまで長建寺は脇を素通りだった。

額入りだった短冊。和歌をひかえる筆記具も持たず、しかしメモる手段はあったのに気が回らず、詠われていた内容は忘れてしまった。鶯のつまがどうとか…だった? ここ長建寺に残されていたものだというだけで、古文化保存会の腕章を巻いた若い女性3人がいたが説明はなかった。勤王の志士たちと交流のあったとされる蓮月のこと、この界隈を歩いたかもしれない日々、時代に思いを馳せている。

連休明けの一日。今日ばかりは自分のために自分で楽しく使おうと、このあと古書市が始まった岡崎にあるみやこめっせに向かうことにした。心なしか空いている。会場の左端の書店の棚からと、いつものように順番を決めて背表紙を追っていく…。と、何というタイミング!? 


連休が明けたらネットの古書店で注文しようか、と思っていた杉本秀太郎著『大田垣蓮月』が目の前に現れたのだ。なんとも言いようのない驚き、嬉しさで手に取った。初版、帯付き、丁寧にカバーで覆われてあって1800円。
帯にはこうある。【「技芸を磨くには長生きすることが一番大切」 蓮月尼はこう語って人に長寿をすすめ、八十五歳で没するまで和歌と陶芸に励み、また心のこもった多数の手紙を書いた。その筆跡は音楽のように美しい。】

つい先日、街に出て同書店で杉本氏の『半日半夜』を求めたところでもある。 
先行き思わぬことがあれこれ待っているからこそ愉快。娘宅でLukasの相手を務めた2日あまりの褒美を得たような?気分に満たされた。

西方寺の小谷墓地にある蓮月尼の墓にお参りしたのは4月21日。墓石の裏に回れば、「寛政二年生明治八年十二月十日没 享年八十五歳 大田垣氏建」と刻まれていた。富岡鉄斎によるものだとか。

            
コメント (16)
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