昨夕から降り続いた雨の朝。芍薬の莟多きに、葉の色濃きに、雨を帯びた風情も美しい。
雨に濡れた芍薬から連想したわけではないが、雨ではなく露を思い浮かべるとき、何年か前に出会って素晴らしいと思え、深く心に沈めた米田律子さんの歌が思い出される。
木のあれば露の宿りて地の上のよきことひとつ光を放つ
小さな露の玉に、ふっくらと「地の上のよきこと」を見るという心もち。何度も読んできた。清澄な朝の気が心に射し入ってくるようで、作者の慎みある控え目な歌いぶりに心は洗われる。15、6歳から歌を始めたという米田さんのキャリアは70余年に及ぶとあって、若い人のちょっと及ばない趣き、煌めき、深さがあることを思ったりする。
連休は明けた。かといって翌日から緩んだ気持ちは一つところに向かうことはかなわなくて、こんなことを想いながら、綴りながら、日常を取り戻していくのがわたし。こぅしたことが私には妙薬となるみたい…、心の持ちようか。