京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

『月を見あげて』 3.11

2019年03月11日 | 日々の暮らしの中で

雨後の路に、咲き出した沈丁花の香りが漂う。

何冊かの小説を拝読し、山形のライター講座で講師役を務める氏をネット上で追い、また、河北新報の夕刊に連載されるエッセイが本となった『月を見上げて』の存在を知っては第3集まで購入したりと、私は佐伯一麦氏のファンなのです。

東日本大震災のあった8年前の3月11日の夕刊に掲載されたという「柊鰯」が収められ、震災からひと月後、三か月後、1年後、その合間の日々の身辺を綴る中に震災、原発の話題が顔を出す。
「震災からの数日間、街中の灯りが消えた空には、半月から満月に至る月と、満天の星が眺められた」と氏も言われてる。「地上は地獄みたいなのに、見上げると天には星がまたたいていて、星だけは変わらないのかと思った」という閖上に住む氏の知人の言葉もある。震災後を生きる小動物の生態系にも思いを寄せ、原発事故による影響も案じている。そんな第1集にあたるものを読み返していた。

仙台と福島県のいわき市には従妹の家族、叔父夫婦がそれぞれ暮らしている。今日は電話をかけて声を聞いた。叔父は耳が遠くなったが二人揃って暮らせているのはおかげさまだ。連絡を取るために、できることはしてみようとあがいた、あの3月11日から数日のことを思い出す。

    叔父家族を一人訪ねた昭和46年8月の記念。遠くなりにけり…。
コメント (2)
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